SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】343 南アフリカ、元宗主国を撃破!
- 2019年 11月 4日
- 評論・紹介・意見
- サハララグビー国連平田伊都子西サハラ
元植民地南アフリカが元宗主国英国を打ち負かし、歴史的な大勝利を成し遂げました。
南アフリカだけではなくアフリカ諸国が、そして西サハラが、初の黒人キャプテン・シヤ・コリシを冠したラグビーW杯での優勝に歓喜しました。 それは、被抑圧者が抑圧者を打倒することの象徴でもあるからです。
しかも、会場にはわざわざ英国ハリー王子が駆けつけ、英国チームへの英国女王檄文を読み上げた、その試合で英国チームを倒したのです! 二重三重に、おめでとう !!
① 国連で起きた招致国の変更問題:
2019年10月30日、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)の1年延長を、国連安保理はさっさと決めた。西サハラごときに構っていられないという、国連事務総長の意向が反映されている。
実は、この日の国連事務総長はご機嫌ななめで、MINURSOどころではなかったのだ。
1か月後に予定されているCOP25 の開催国チリが、突然、10月30日の朝に、COP25など開催できる状況ではないと、国連事務総長に電話で断ってきたのだ。10月30日の国連定例記者会見で国連事務総長副報道官が、「招致国と実際の開催国が異なることは、これまでにもあった。目下、開催国を検討中だ」と、国連の立場を説明した。確かに2017年COP23の招致国はフィジーだったが、国際会議をやれるような会議場がないということで、ドイツが引き受けたという例がある。しかし、これは予め予定に組まれていたことで、今回のような土壇場にきてからの<ドタキャン>ではない。
同じ頃の日本では、マラソンと競歩の競技地を東京から札幌に変えろとの指令が、IOCから出されていた。何もかも準備が整い、発着となる競技場の入場券も完売し、予定コースを走る予行演習も終わった段階での<ドタ・チェンジ>だった。
そして、2日後の11月1日、東京では、<札幌マラソン競歩>が確定した。一方、国連定例記者会見では、「COP25 は、12月2日から13日までスペインのマドリードで開かれる」と、国連事務総長副報道官ファラハンが冒頭で発表した。
➁ 国連事務総長は、なぜ、西サハラを放置しているのか?:
同日11月1日国連定例記者会見の最後に、デュキー記者が、「西サハラとMINURSOに関して、ホルスト・ケーラー国連事務総長個人特使の後任をどうして決めないのか、不思議でならない。彼が辞任してから6か月も経とうとしている。後継者を決めるのに反対する、あるいは西サハラ解決の作業を止めている、何らかの圧力があるのではないか?」と、誰もが不思議に思っている6カ月間の空白を問い質した。彼女の質問に副報道官は、「ウ~ン、そういう問題ではない。ただ、私はいまのところ、お伝えするようなニュースは持っていない。ご存知のように、任命に関して、情報があればお伝えする」と、答えた。退席しようとする副報道官を捕まえて南アフリカ国営放送国連担当シャ―ウィン記者が、「西サハラ紛争解決が急がれているこの時期に、この後任延滞を、我々はどう解釈すればいいのか?我々はシリア紛争でもたくさんの交代劇を見せられてきた。しかし、6か月間も空席のまま放置されているのは、異例のことだ」と、追っかけ質問を浴びせた。「西サハラ同様に、国連には多くの空席があり、我々は適材適所の人選を試案中だ。これは単に、任命手続きの問題だ」と、ファルハーン副報道官は答えた。
しかし、国連事務総長にやる気があれば、COP25移転のように、どんな難題も2日で解決できるのだ。要は、国連事務総長に西サハラ問題を早急に解決しようという気が、まったくないということだ。これからさらに一年間、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)を延長し、その予算を確保しさえすればいいというグテーレス国連事務総長の思惑が明白に滲み出ている。パンギムン前国連事務総長は、西サハラ難民と被占領民を救おうと、西サハラ難民キャンプを訪れ、努力した。が、前国連難民高等弁務官のグテーレス現国連事務総長は、難民救済の行動を起こさないどころか、占領国モロッコ、旧モロッコ占領国フランス、そして元植民地支配者の欧州諸国などをCOPで括り、モロッコ占領地・西サハラを抹消してモロッコに併合しようと企んでいるようだ? 国連担当記者たちが、「6カ月間も西サハラ問題を放置しているのは、どこかの圧力がかかっているからだ」と、検証し始めたのは当然のことだ。現行の国連事務総長に実行する気がなければ、国連憲章も国連決議もリップサービスの台本に過ぎず、強制力のない死文書になってしまう。
➂ 元国連西サハラ事務総長個人特使クリストファー・ロスが難民キャンプ入り:
2019年10月30日、元国連西サハラ事務総長個人特使のクリストファー・ロス大使が、
アルジェリアにある難民キャンプに入った。
2016年3月、国連西サハラ事務総長個人特使(当時)ロス大使は、パンギムン国連事務総長(当時)と西サハラ難民キャンプや西サハラ難民政府解放区を視察した。そして、「モロッコ占領政策下で苦しんできた40年に及ぶ西サハラ人民の苦難に、一日も早く終止符を打たなければならない」と、正式表明をした。西サハラ人民を始め、当時の良識ある世界の人々は、パンギムン国連事務総長の英断に喝采を送った。しかし、モロッコが「占領という言葉を訂正し、土下座してあやまれ!」と、パンギムン国連事務総長に迫り、なおかつ、モロッコ占領地・西サハラのミヌルソMINURSOで働く文民全員を、モロッコ占領地から追放した。かくして、モロッコは元の植民支配者フランス指導の下で恫喝外交を展開したのだった。
一方、フランスは2015年にパリ協定COP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)を開催し、続くCOP 22の招聘をモロッコに命じ、気候変動抑止の最高責任者である国連事務総長を巧妙に抱き込んだ。 かくしてCOPはフランスとモロッコと国連の共通テーマとなり、西サハラ難民と被占領民を支援していたパンギムン国連事務総長(当時)は、引退間際になって、占領支配する側についてしまった。
COP21パリ協定は1997年に採択された京都議定書から18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加するものとしては史上初の快挙だった。しかし、この問題は全世界の問題で、フランスと国連の特許でもなければ、尻馬に乗るモロッコの外交切り札でもない。西サハラが独立すれば、当然、気候変動枠組条約に加盟することになる、国際的義務事項だ。
COP25 をドタキャンしたチリは、11月16日と17日に決まっていたAPEC首脳会議もドタキャンしました。 あおりを食らったのは、APEC会場で<日露首脳会議>を目論んでいた日本で、首脳会議は中止になりました。
一方、ジェリー・マジラ南アフリカ国連大使は輝けるラグビー優勝の日に、何故、南アフリカが国連安保理決議2494の採決で棄権したかを説明しました。 何故ならば、決議文書が公平さを欠き、不正確で誤解を招く不適切用語をたくさん使っていたからだそうです。
そして南アフリカ国連大使は、ミヌルソMINURSO(国連西サハラ人民投票監視団)に、その名称に値する人民投票作業をさっさとやれと、ハッパをかけました。
南アフリカ国連大使ジェリー・マジラと
西サハラ難民政府SADRの国連代表シディ・オマル博士
Youtube2018年7月にアップした「人民投票」(Referendum)をご案内します。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いいたします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2019年11月4日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion9148:191104〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。