居城ハットヴァンプスタ
オルバン首相一家が所有するハットヴァンプスタ(Hatvanpuszta、オーストリア=ハンガリー帝国時代の邸宅農場)が、注目を浴びている。二重帝国時代のモデル農場として建設されたもので、歴史的建造物として保護されてきた。
Fidesz 政権が誕生した翌年の2011年に、この歴史的不動産はオルバン首相の父親 オルバン・ジューズー(Orban Győző)の所有になり、一介のガス配管工で、オルバン・ヴィクトルの保護を受けて不動産事業に手を出し始めたメーサーロシュに10年リースで貸し出された。それから10年にわたって、オルバン一家とメーサーロシュは周辺の土地を買い漁り、周辺の25ヘクタールの土地がオルバン家とメーサーロシュ家の所有になった。メーサーロシュは Forbes の長者番付で2023年よりトップに躍り出て、2025年の推定資産総額は 1 兆 4000 億 Ft 超である。ほとんどすべて、公共事業の受注で儲けた資産である。
2018年からハットヴァンプスタの改造が始まり、長い時間をかけて現在の形を整 えるようになった(https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=HiW9r1M32ug)。
ブダペスト通信(2025年8月20日)ハットヴァンスタ全景①ブダペスト通信(2025年8月20日)

当初、秘密裏に改造が始められたが、それが反政府系のメディアで報じられるようになって、ハットヴァンプスタはスキャンダルの焦点になってしまった。ここがハトヴァンプスタ。オルバンが育ったアルチュトドボズ郊外に存在する。
オルバン自身が述べるところによれば、ハットヴァンプスタは少年時代から農業支援に通っていたところで、現在も農場であると強弁している。
周辺の広大な土地がオルバン家とメーサーロシュ家の所有に
ハットヴァンプスタ周辺の土地は、10年の歳月をかけて、オルバン家とメーサーロシュ家の所有になった。
オルバン首相はメディアの質問に、「ハットヴァンプスタは農場で、しかも父親が所有しており、自分には関係のない」と答えている。しかし、再開発された居城は農場ではなく、国外からのゲストを迎え入れる邸宅である。農機具など備えていない。しかも、隣接する広大な土地は、オルバン自身が身請けしたシマウマのほかに、アンテロープが動き回るサファリになっている。
シマウマについてはオルバン首相自らが首都動物・植物園にたいして、身請け要請の手紙を送っている。副首相でキリスト教民主人民党党首であるシェミエン・ジ ョルトはキリスト教信者を名乗りながら、北欧から南アフリカまでライフルを担いで動物殺傷に出かける狩猟マニアで、キリスト教徒を名乗る似非政治家である。 人々は、「まさか彼の狩猟のためにアンテロープを飼っているのではないでしょうね」と揶揄している。



エキゾティックな動物を好む権力者
Politico は8月14日付け記事で、(https://www.politico.eu/article/zebra-king-yanukovych-viktor-orban-bidzina-ivanishvili-shark-ramzan-kadyrov-lion-silvio-berlusconi-donald-trump/)世界の権力者が好むエキゾティックな動物を紹介している。
Politico によれば、ロシアに亡命したウクライナの元首相ヤヌコヴィッチは、別荘 に孔雀、キジ、鹿、熊を飼育する動物園を所有していた。カンガルーもいた。ジョージアのオリガルヒで事実上の支配者であるビズナ・イヴァニシュヴィリは、トビリシの上空にそびえるネオ・モダニズムの鋼とガラスの城に居住し、水槽でサメを飼っていた。チェチェンの指導者カディロフもまた、ライオンを含む種々の動物を飼っている。
この記事で思い出したが、1990 年代半ばにしばしばハンガリー社会党副党首のマーティ・ラースロー(旧社会主義労働者党会計責任者)と会う機会があった。当時、 南アフリカからダチョウを持ち込み、それを飼育していると話したのを覚えている。 彼はダチョウ肉を販売すると言っていたが、その後どうなったのかは知らない。
突然、格安航空便に乗り始めたオルバン・ヴィクトル
2023年の長者番付のトップに躍り出たメーサーロシュは2年の間で資産を2倍に増やし、1兆5千億 Ft に近い富を積み上げている。それもこれも、オルバン・ヴィクトルの後ろ盾で公共事業を一手に引き受けてきたからである。ブダペスト-ベオグラード間の鉄道近代化プロジェクトでも、メーサーロシュの会社が大儲けしている。 オルバン・ヴィクトルは「自分はビジネスの世界と関係をもっておらず、誰がどれほど稼いでいるか知らない」など、見え透いた嘘で白を切っている。しかし、多くの国民はオルバン一家とメーサーロシュ一家は一心同体だと思っている。オルバン個人の資産の多くが、メーサーロシュの名義で所有されていると考えている。
オルバンの個人資産は隠されていて分からないが、ロスアトムから得た裏金はメーサーロシュの総資産に匹敵すると考えられる。ブダペスト-ベオグラードの鉄道近代化の総工費は8000億 Ft で、元請けになったメーサーロシュの会社に総工費の3-4割が流れ込んでいる。ハンガリー国民は今後数十年にわたって、中国から借り入れた6800億 Ft の借入金を返済しなければならない。また、オルバンへの裏金で膨張した原発増設経費のほとんどはロシア輸出入銀行から借り入れた資金(およそ 100 億 ユーロ)で賄われ、数十年にわたって、ハンガリー国民が返済しなければならないものだ。あまりに理不尽である。
2026年の総選挙を控えて、反オルバンのマジャル・ピーテルが台頭してきたことに慌てたオルバン・ヴィクトルは、このところ、ヨーロッパ内の旅行にLCC機を使い、これみよがしのパフォーマンスを披露している。これまで、公共事業で儲けた 会社が所有するプライヴェットジェットでサッカー試合観戦に出かけていたが、それではまずいと思ったのだろう。
下の写真はスペイン旅行時にLCCに搭乗した際に撮影されたものである。もっと も、ビルバオ行きの定期便はなく、LCC機を利用せざるを得なかったのだが、プライヴェットジェットではまた叩かれると考えたのだろう。


2013年にプーチンに懐柔される前までのオルバン・ヴィクトルは、青年将校風の精悍な雰囲気を醸し出していたが、それ以後は体形も顔つきも醜くなるばかりだ。 思想信条が変わったのか、それとももともとの地が出たのか。
この程度のパフォーマンスで国民を騙すことはできないだろう。2025 年 8 月 20 日
初出:「リベラル21」2025.08.28より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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