トランプ米大統領、アフガン和平トップ交渉をキャンセル

トランプ米大統領は7日、昨年10月から中東カタールで9回重ね、9月1日に基本合意した、米国とアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの和平交渉の仕上げとして、ひそかに準備していた、ガニ・パキスタン大統領、タリバン代表とのキャンプデービッドでの会談をキャンセルすると明らかにした。その理由は、タリバンの最近のカブール攻撃で米兵一人が死亡したためだという。トランプ大統領は「私はこの会談を直ちに中断し、和平交渉を中止することを決めた」とツイートで発表した。
これに対してタリバンは8日、声明を発表、“米国は、18年間にわたるアフガニスタンでの戦争を終らせるための、和平交渉の成果のほとんどを失った。われわれは、最後の瞬間を目指し、すべてが前進している“と主張した。
この声明の中で、タリバンのムジャヒド・スポークスマンは、「1件の出来事を理由に、交渉をやめる米国は、成熟度と経験に欠けている。」と米国を非難。また、タリバンとアフガニスタン政府は、9月23日に会談することになっていた」と述べている。BBCによると、この会談については政府側は確認していない。
9月5日の本欄で書いた通り、和平交渉のカリルザーデ米交渉団代表は、各国テレビとの会見で、現在1万4千人駐留している米軍のうち5,400人を135日以内に撤退すると発表、タリバン側もその説明は正確だと認めていた。ガニ・アフガニスタン大統領は、その合意について側近と協議を始めたと英BBCは伝えていた。
アフガン政府内には、タリバンとの停戦に反対も根強いが、国内ではタリバンの支配地域が政府軍支配地域よりも優勢になっているとの見方が有力。政府側とタリバンがまず停戦に合意できるかどうかが、本格的な和平交渉のカギとなるが、トランプの交渉成果ぶち壊しによって、少なくとも当面、アフガン和平は絶望的になった。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

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