ミャンマーのクーデターから1か月半(その2) 抵抗を続ける市民たち

 2月1日にクーデターを起こしたミャンマー軍に対して、全国の主要都市で市民のデモ、抗議行動が絶え間なく続いている。抗議行動の主力は若者たちだ。軍と治安警察部隊によるデモ参加者たちへの攻撃、逮捕はますます乱暴になり、一般市民の死者は50人を超えた。
 クーデターを起こし、国家権力を握った軍に対して、これほど長期間、活発な抵抗闘争をつづけた他国での前例は、あっただろうか。
 なぜ、ミャンマーの人たち、とりわけ若者たちは、これほど軍と戦い続けることができるのか。おそらく、世界のどのメディア以上に、ミャンマーのクーデターとその後の事態を克明に報道している英BBC放送電子版(3月6日)から、一部を和訳して紹介しよう。

ミャンマーの若い反乱者たちの根性と決意
 ミャンマーは軍クーデターから1か月以上が経過した。その間、軍の支配の終わりを要求する国民は、インターネットの切断、夜襲、逮捕状なしの不法逮捕、街路での尾行、殴打、近接射撃、遠距離からの頭部や胸部射撃などに、耐えなければならなかった。実弾、ゴム弾、暴動鎮圧用電気銃、催涙ガス、水射銃、発煙弾。この1か月のうちに、これらすべてが使われた。
 そして毎日、抗議の波が起こっている。
 人々は軍の暴虐に怒りを燃やしたが、なお抗議行動はおおむね平和的だった。

腰布姿などでの大胆な挑戦も 
 学生たち、僧侶たち、女性たち、公務員たち、そして一部の警察官たちも反クーデター勢力に加わった。市民たちの不服従運動に加わった警察官の一部は、自分たちはこれ以上、軍の支配者たちに奉仕せず、人民に奉仕すると公然と発言した。
 これまでのところ、クーデター反対勢力は組織的であるとともに、確固としている。夜明けから夕闇まで、抵抗はさまざまな形で行われている。
 拍手、合唱、あるいは高いビルにサロン姿でぶら下がって、軍の支配拒否をはっきり示す人もいる。なぜサロン姿なのか?人々は、サロン姿が、兵士たちの強さと精神力を弱めると信じているからだ。
 デモの人々は、大通りでは治安部隊に鎮圧されてしまうが、かれらの住まいの近所に集合し、行動を起こす。砂袋や水を満たしたビンを積んで小さな砦を作り街中を見渡す。
 近所の住民たちは、助け合いが密接。食べ物や防護用品の配布は無料のときが多い。住民たち共通の願いは、将来の世代のために軍事独裁を根絶することだ。人々は、お互いに元気に生きていくことに気を配りながら、クーデター勢力と戦い続けようとしている。
 夜、人々は鍋をたたく。人々はそれによって悪魔を追い出すと信じている。いまやそれはクーデターに対する抗議になった。人々は毎晩、自宅のバルコニーや居間に座り、民主主義を支持するスローガンを叫び、クーデター勢力の厳しい弾圧と戦い続ける精神を維持しようとしている。{続く}

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

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