ーー八ヶ岳山麓から(555)ーー
はじめに
ご存じの通り、今回の総選挙では自民党が単独3分の2強の議席をかち取り、立憲民主党と公明党の中道改革連合は元の議席の3分の1に転落した。なかでも左派政党は、日本共産党4議席、れいわ新選組1議席、社会民主党は零と惨敗し、瀕死状態になった。
わたしは長年、共産党の支持者として選挙ごとに投票依頼やカンパなどをしてきた。今回も親戚・知人に10人ほど投票依頼をしたが、そのなかに、「このままでは共産党も社民党同様、次の選挙で国会から消えるのでは」という人がいた。まったく同感であった。
我が年を考えると、次の総選挙ではこの世にいないかもしれない。共産党支持者のひとりとして同党に遠慮のない意見を言っておきたい、そう思って村の共産党に選挙総括のための共産党後援会総会を開くようメールを送った。その際、あらかじめ後援会総会での発言内容を党支部に送るから反論を準備して、総会で討論するよう希望した。
以下、いま共産党に求めたいことを述べる。
わたしが共産党に求めたいこと
3月の共産党中央委員会では、志位和夫・小池晃両氏を始め常任幹部会委員は全員辞任させてほしい。この人たちには、党勢を衰弱させた責任がある。そして、党再建委員会を組織して党大会を開き、公開討論によってこの数十年の後退を総括し、新しい幹部と路線を採用してもらいたい。
そこでは、党首は全党員による直接選挙にして欲しい。役員選出に当たっては、前期委員会が次期委員を推薦するという事実上の任命制もやめてもらいたい。こんなことをやっていては民主的な政党とは言えない。
共産党には役員の定年と任期の規定がない。不破哲三氏は90歳を経ても常任幹部会員だった。志位氏はもう30年も指導者の地位にいる。しかもその間ずっと負け戦だ。今回志位氏は、落選を恐れて総選挙に出なかったという評判だが、今なお中央委員会議長を続けている。
今回選挙で気になったのは、共産党が自民党と維新の会への批判に明け暮れたことだ。むしろ、自党が何をするか、日本国民のためにどう働くかをもっと説かなければならなかったはずだ。なぜなら、過度の他人批判はとかく「上から目線」という非難を受けやすいからだ。この点、髙市早苗氏は「強い日本、豊かな日本」「責任ある積極財政」というプラス志向のスローガンで人々を惹きつけた。ネット世代のかなりの人々は批判一方の野党に嫌気をさして高市自民党を支持したのではなかろうか。
また、自民党の大軍拡政策・軍国への道を批判する際は中国の軍事力強化も批判すべきではないか。トランプ米大統領のグリーンランドなどの領土要求を批判するならば、中国の南シナ海や尖閣海域への出方を取り上げるべきで、日本の軍拡批判だけでは、共産党は「中国の代弁者」だと思われるに違いない。
中国は、レーニンの『帝国主義論』にあてはめれば、立派な帝国主義国家である。軍事力では日本の4,5倍、国防予算も日本の数倍である。空母3隻、原子力潜水艦12隻、核弾頭とともに中距離ミサイルを多数配備している。昨年末は、東シナ海で海上民兵船2000余隻の集団訓練を行った。尖閣諸島では日常的に圧力を加えている。
日本の有権者の多くはこれに不安を感じ、自衛力増強を「抑止力」と思っているから、疑問を持ちながらも軍拡に反対できないのだ。
いままで共産党は台湾有事の参戦には「反対」と言ってきた。だが、今度の選挙では、「台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきです」という文言が入った。これは台湾の人たちが「独立」と言ったら支持するということだろうか。
今も共産党中央は、党員に機関紙と党員の拡大を求めている。だが、これは何年も続けたがまったく成果の上がらない方法である。党員は「自由な時間」が限られ疲れている。そのうえ、党機関紙のしんぶん赤旗は志位氏らの長々しい発言を頻繁に掲載している。一般紙も読者の減少に苦しんでいる世の中だ。これでは拡大ができるはずはない。
しかも、党機関紙は年間10億円もの赤字を出し、それを党員のカンパによって埋めている。こんな経営が許されていいものだろうか。
さらに、『Q&A』(「赤本」「青本」)――つまり志位氏の『資本論』解説本をすべての党機関と支部で学習し、さらに国民のなかに広げると言っている。もともと『資本論』は難しくて読むのに忍耐力の要る本である。だから、この解説本が社会に普及するとは思えない。経済学の基礎を学ぶのが目的ならば、臨時工・契約社員・外国人労働者の問題とその解決方法、「コメの生産者価格、小売価格」などを示し、党員はこれらを学習、宣伝するほうがよいと思うのだが。
我々共産党支持者が意見を言っても、党員は党内の討論を漏らすまいとするのか、「上級に反映します」などといって言葉を濁すことがある. これが、共産党は閉鎖的といわれる所以である。松竹伸幸氏は、党首公選と防衛問題に関する本を出版して除名されたが、外部の者からすると、松竹氏が言っていることは、党首公選以外は共産党の路線とたいして違いはない。ところが党大会では除名に疑問を呈した発言者を最高幹部が「階級的自覚がない」などと言って全く取り合わなかった。
党員が自分の意見を公表して自由に討論し、その声が党の政策の中に取り入れられるようでなければ、若者は共産党に寄り付かないだろう。ここのところは、参政党は巧みにやった。またAIエンジニアの安野たかひろ氏が立ち上げた「チームみらい」のやり方も参考になると思う。ぜひ彼らの手法を知ってもらいたい(たとえばYouTube 「報道1930,2月19日」参照)。
党員は共産党という党名に誇りを持っているという。だが、世間では「共産党」という響きは暗黒なものである。ソ連以来の現存社会主義は、例外なく共産党の専制支配であって、計画経済は実現せず、生産手段の社会化は非能率と官僚の特権化をもたらした。
人々はそれを知っているから、党員が「現存する社会主義は本当の社会主義ではない」と説明しても受け入れられることはない。
だから「社会主義」は、今日、左翼政党の当面の目標として適切ではない. むしろ共産党という党名を変え、目標も市場経済と民主主義を前提とした高度の社会保障制度に変えてはどうだろうか。
共産党は「憲法を真ん中にした共同」をとなえている。できれば、次の国政選挙では社会民主党、新社会党、沖縄の風、れいわ新選組などリベラル左翼とともに統一候補者名簿を作る努力をしてほしい。もう、比例区でも共産党一党だけでは当選は見込めないから。
また、中道改革連合を「反動派」とか「裏切り」としないで、反ファッショ、反高市自民党の政党と考えて協力を呼びかけてほしい。
おわりに
わたしはリベラル左翼の再興を願い、その主なところを共産党に期待する。というのはほかにあてにできる政党がないからである。また、高齢党員が大部分とはいえ、共産党は全国に支部を持ち、なお20数万の党員を擁するからである。
この人々が赤旗拡大・配達・集金に追われることから解放され、社会変革の決意をもって入党した原点にたち返り、職場や地域で人々のために働くならば、共産党は息を吹き返すに違いない。
初出:「リベラル21」2026.02.25より許可を得て転送
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-6990.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14698:260225〕







