ミャンマー国軍は8/25以降の掃討作戦にともなう死亡者は430名(民間人は28名のみ!)として虐殺行為を否定してきたが、国境なき医師団Medecins Sans Frontieres (MSF) がそれを反証する調査結果を14日発表した。
MSFの推計によれば、難民キャンプに逃れたロヒンギャ の人数は647,000名である。8/25から1ヶ月間で9000名以上が死亡、そのうち暴力による死亡は6700名(子供730名)と推計、しかし実際はもっと多い可能性が強いという。この推計は、MSFは難民キャンプで6回にわたり自分の親類で死亡したものがいるかどうか、いた場合、それはいつかを聞きとり調査した結果に基づいている。暴力関連の死者の69%が銃撃で死亡したもの、9%が家で焼き尽くされたもの、5%が殴られて死亡したものとしている。だが、この調査は1万人強を対象にした限定的なもので、MSFはすべての難民キャンプでインタビューを実施しておらず、バングラデシュに入国していない家族に対してはインタビューすることもできなかったという。
「大部分の援助団体がミャンマー現地に入域できない現状では、最近のバングラデシュとミャンマーの本国帰還協定は、この情報に照らして時期尚早である。強制帰還はすべきではない」と革新系の南ドイツ新聞(12/14)はコメントしている。
またBBCの東南アジア特派員ジョナサン・ヘッド氏は、「MSFによるこのよく調査された数字は、人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)に提訴するに十分なほど残酷である。問題は、ミャンマーがICC国際刑事裁判所のローマ法規を批准しておらず、それに協力する義務を負っていないということである。 提訴には国連安全保障理事会の常任理事国5人全員の承認が必要であり、中国はこれまでミャンマー政府の危機対応を全面的に支持してきた」(12/14)ために承認は不可で、提訴に現実性がないことを明らかにしている。
2017年12月16日
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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