世界戦争の危機と反戦闘争の課題 ②沖縄と台湾の自己決定権

 台湾統一は中国にとって、米国から覇権を奪取する決戦である。だから軍事的に侵攻し占領しようともする。しかし、この中国による台湾統一に対して、日本の新左翼各派の多くは、支持か反対か、態度を明確にしていない。問題は「一つの中国」であろう。
①中国の台湾統一は侵略と併合 台湾の反侵略・祖国防衛と自己決定権を支持
 中国による統一は、かっては民族解放であったが、現在は、たとえ平和的でも侵略と併合である。そう変質し転化している。中国が資本主義化し帝国主義化した結果である。
 台湾人民の意志は明白に、現状つまり事実上の国家的独立の維持である。それは自己決定権である。その意志は強い。反侵略・祖国防衛で闘争するだろう。
 台湾は、長く中国の統治下にはなく、清の時期に統治下に入った(1683年)。日清・帝国主義戦争(1894~95年)で犠牲にされ、日本に割譲され植民地支配された(沖縄と似る)。
 1990年前後、人民が開発独裁(権威主義)と闘争して民主化に勝利した(韓国と似る)。対照的に中国は、天安門事件で共産党一党独裁を確立した。同じ資本主義国家であっても、台湾はブルジョア民主主義、中国は全体主義、人民にとっては大きな差異である。
 こういう歴史がある。台湾の国家的独立と自己決定権は支持されなくてはならない。
・「一つの中国」を承認 少数民族や台湾などの自己決定権を支持
 日本帝国主義による、中国に対する植民地支配(台湾と中国東北部)および侵略戦争という歴史がある。この反省を込めて、日本人民は「一つの中国」を承認している。そこから、中国による統一に反対するのを躊躇している。
 しかし、封建制中華帝国の歴史がある。大民族の漢族がチベット・ウィグル・モンゴルなど少数民族を抑圧してきた。社会主義国でも少数民族の自決権を認めなくてはならない。
 レーニン・ロシアは認めたが、スターリン・ソ連と毛沢東・中国は認めなかった。これがソ連と中国が資本主義化し帝国主義化した要因の一つとなった。
 香港人民の要求は「一国二制度」下の民主、つまり自治であったが、強権で抑圧された。台湾統一は侵略と併合、必ず軍事独裁の人民支配になる。だから、反対する。
・日本人民は台湾支援に日米安保反対と9条護憲を貫く ウクライナ戦争で経験済み
 米国・日本と中国は①帝国主義と帝国主義の関係である。中国と台湾の関係は②帝国主義と被抑圧民族・被圧迫国である。これは現代世界の基本矛盾である。米国・日本が台湾を援助しても、その覇権主義は変わらないし、台湾の反侵略・祖国防衛も変わらない。
 日本人民は日本帝国主義と対立し闘争している。③ブルジョア階級とプロレタリア階級という第3の基本矛盾である。そこでの立場は変えられない。立場を堅持し、台湾支援に貫く。つまり、米国と日本の参戦には反対し、日本の軍事援助にも反対する。

②沖縄も非軍事化で自己決定権の闘争 沖縄と台湾の連帯は反覇権を切り拓く
 沖縄も犠牲にされた歴史である。長く独立国であったが、日本に併合され(1872年)、日米・帝国主義戦争(1941~45年)で戦場にされ、米国に占領されて軍事植民地支配された。米軍支配に対して闘争し、日本との国家的結合を選択して「本土復帰」した(1972年)。
 しかし、その後も軍事植民地支配は続き、それに対して、沖縄人民は非軍事化で闘争し続けている(米軍だけでなく自衛隊も撤退と基地撤去)。広範な自治の要求である。沖縄のことは沖縄人民が決定する。この自己決定権を日本人民は支持しなくてはならない。たとえ国家的分離・独立になっても、支持しなくてはならない。
 沖縄の自己決定権は対日米で、台湾は対中であるが、似通った地位が必ず人民を結びつけ連帯させる。それが米国・日本と中国、両方の帝国主義に反対する反覇権を切り拓く。
・アジアは資本主義の中心で覇権闘争の中心 そのアジアに反覇権と自己決定権の陣営
 韓国・台湾やASEANなどでは、民族解放のヘゲモニーをブルジョア階級が握り、「上からの革命」=開発独裁で資本主義の内在的発展を実現した。それだけでなく、それによって、労働者階級が増大し成長し、その階級闘争が民主化、「下からの革命」となっている。この労働者階級の階級闘争は、さらに反覇権へ向かうだろう。
 沖縄人民と台湾人民が連帯し、加えて韓国人民が米日にも中ロにも依存しない自主、つまり自己決定権の南北統一を主導する。そうすると、アジアに、反覇権と反米(反日)・反中の国際的な陣営、人民の第3の陣営が登場する。そう願望し期待したい。(おわり)

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