中国コロナ感染10億人

―八ヶ岳山麓から(412)――

 日本など数ヶ国が中国は新規感染者数の増加が深刻だとみて、中国・マカオからの直行便での入国者に入国前72時間前の陰性証明書、到着時PCR検査を求めるなど水際対策を強化した。これに対して中国政府は差別的な入国制限だとして、日本人、韓国人の入国ビザの発給を停止した。
 中国政府が12月7日に居住地封鎖など厳重なゼロコロナ政策やめて以来、爆発的な感染拡大があったが、あれから1ヶ月、実際に近い最近の感染状況は発表されなくなっている。WHO=世界保健機関も、基礎疾患が原因で死亡した人を中国政府が統計に含めていないことを「死者数については定義が狭いなどの問題があり、感染の影響が過小評価されている」としている。
 これに対してイギリス健康調査会社エアフィニティーの1月時点の推計では、中国の1日当たり感染者数は242万人で、死者は1万5850人。昨年12月1日からの累計死者は19万2400人に達するという。同社はさらに、中国のコロナ感染の最初のピークは1月13日と予想。23日には死者数がピークとなり1日約2万5000人、4月末までには計170万人に上るという(ニューズウィーク 2023・01・10)。
 中国ではこれとはやや異なる推計が行われている。以下の推計は中国各省市防疫当局の公式発表を分析したものである。そのおもなところをブログ「新思潮・第三思惟(2023・01・07)」から抜粋して提供する。
国家衛健委員会の推測では、12月21日現在で、感染者は2億4800万人、感染率は全人口の17.63%、比較的多い北京や四川では50%程度で、ゼロコロナ政策停止から17日経っても、全国の3分の2の省市はまだ感染のピークには達していないとみられていた。
 だが同ブログは、12月20日から1月7日までの間にオミクロン株は急速に感染を拡大し、感染者9億9200万人、70.52%に達したという。

 12月26日、四川省防疫当局のアンケート調査の結果、15万8500人のうち63,5%の感染が明らかとなった。28%は検査をしていないが、咳・発熱があると答えた。これを(強引だが)すべてコロナ感染とみれば91.5%の感染率である。
 海南省当局の12月30日発表によると、27日現在の3万3700人のアンケート調査では、12月19~25日の新規感染率は35.5%となった。前回の12~18日の調査では5.6%だったから5.3倍の増加である。この勢いで拡大すると1月7日現在では70%に達するだろう。
 海南省は中国の亜熱帯地域で、従来コロナ感染率は全国最少だったから、これからすれば全国の感染率は1月7日現在で70%をはるかに超えたとみるべきである。冒頭の感染者10億という数値は単なる憶測ではない。

 浙江省は公表された数値からいうと感染率は比較的低い。12月25日の発表だと、発表までの1週間の発熱外来の診察は毎日最高40万8400人、うちコロナ陽性は100万例という(この数値は曖昧)。
 サンプリング調査によると、12月25日前後にはピーク寸前、正月にはピークに達するが、その持続期間は1週間と思われる。これは1月中旬にピークに達するという予測よりも2週間早いが、全国レベルの感染状況とほぼ合致している。
 浙江当局は新感染者を毎日100万人と報告している。だが、PCR検査が取り消されてから、数値の根拠がわからなくなっている。理に適う推測をすれば、省当局の発表は少なすぎ、実際の感染者はもっと多いだろう。

 中国検索エンジンの「百度」の推計では、感染のピークは12月22日で、1月6日には12月8日からの感染対策の転換時のレベルに下がるという。これは一般の感じ方も同じで、北京などでは誰もが感染したという理由で、人々は感染状態にあまり関心を持たなくなっている。
 とはいえ、感染ピーク期から2週間後には重篤死亡のピークが来る。これは感染のピークよりは期間が長引く。1月7日現在まさに全国の病院は重篤患者であふれており、医療要員は死神との闘いのために24時間労働を強いられている。北京では12月23日から2週間、重篤死亡のピークが続いている。全国的には、感染症との戦いのもっとも困難な段階が今始まったところだ。
 
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