私は7月初めから10日間、スペインに滞在していました。ちょうどEUのワクチンパスポートが導入されたばかりで、どのように機能しているのか、たいへん関心を持って観察してきました。
1.夏の期間、欧州内では各種のチャーター機が数多く飛んでいます。7月初めのブダペスト空港の状況は例年の6割方の混み具合でした。ハンガリーでは公共空間でのマスク着用義務がなくなり、空港でもマスク不要でした。チェックインカウンターで、接種証明書の提示が求められました。また、スペイン入国の事前許可書の提示も求められました。空港内のショップはほぼすべて休業状態でした。
2.飛行機内はマスク着用が義務になっています。また、スペインマラガ空港内でもマスク着用が義務化されています。
3.スペイン入国にあたっては、事前にスペイン政府のHPから申告書をダウンロードし、それを返送するとQRコードが送られてきます。これがないとスペイン入国はできません。入国にあたっては、このQRコードを見せるだけで、他のチェックはありませんでした。マラガ空港の入国者数は、この時点で、ほぼ例年の3割程度です。レンタカー会社の受付は閑散としていました。
4.スペイン出国にあたっては、チェックインカウンターで、接種証明書とハンガリー滞在ビザの提示が求められた以外に、チェックはありませんでした。
5.ハンガリーへの入国においては、通路に係官が数名立っており、接種証明書の提示を求められました。カード内容のチェックは一切ない簡単なもので、移動しながらカードを見せるだけでした。
以上がハンガリーとスペイン往復の実経験です。
この間、ブダペスト市は7月に入って、独自に、60歳以上の市民で抗体検査を希望する人々の検査を実行しました。以下が1760名の抗体検査結果です。検査は SARS-Cov-2 IgG II Quant Assayテストによるものです。
1. アストラゼネカ 90名全員 IgG 抗体50 AU/ml 超 100%効果
2. ヤンセン 4名全員 IgG 抗体50 AU/ml 超 100%効果
3. モデルナ 42名全員 IgG 抗体50 AU/ml 超 100%効果
4.ファイザー 244名が IgG 抗体50 AU/ml 超 2名に抗体不足を確認 99.25%効果
5.シノファーム 936名が IgG 抗体50 AU/ml 超 294名に抗体不足を確認 76.10%効果
6.スプートニク 121名が IgG 抗体50 AU/ml 超 7名に抗体不足を確認 94.53%効果
免疫不全の疾病を抱えている人々はワクチンの種類にかかわらず、抗体形成ができないことが分かっています。筆者の友人のなかにも、ファイザー製の接種を2度受けても、抗体が形成されない人がいます。免疫疾患のため、外部の人との接触を極力さけています。
昨日公表されたセンメルワイス大学の検査結果です。これは6月15日に1195名の希望者(年齢制限なし)にウィルスタンパクにたいする抗体検査結果を発表しました。これによれば、次のような結果が出ています。
1. ファイザー製の効果 95%
2. モデルナ製の効果 94.5%
3. アストラゼネカ製の効果 82%
4. スプートニクの効果 97.6%
5. シノファーム製の効果 79.4%
シノファーム製のワクチンについては、世界中でその効果が問題視されていますが、高齢者への効果が低いことは事実のようです。若い人々への効果は高いようです。政府は抗体検査だけでは効果を測れないと主張し、シノファーム製ワクチンを受けた人への3回目の接種を否定しています。しかし、今後、シノファームの接種を受けた高齢者へのファイザーあるいはモデルナ製のワクチン接種が、課題に成りそうです。政府は市場価格の2倍の価格で購入したシノファーム製ワクチンの効果が低いことを否定し、そのような噂を流すのは政治的意図があってのことだと批判しています。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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