BBC取材チームの求めに応じ、まず、説明役のハジ・ヘクマット首長(市長)が案内したのは、初級学校。女子生徒と男子生徒と教室は別で、女子生徒教室はヒジャーブ(イスラム教徒の女性が頭からすっぽりかぶる服装)で満員。先生も女性。
タリバンの現地教育委員会の中学教育担当の責任者サラフディンは、当地では女子生徒の中学進学も積極的に奨励されているが、年長の女子生徒の進学は認められていない地域もある、と説明した。同氏は、女子中学では、女性の教師だけが認められ、ヒジャーブ着用は義務で「教師たちがシャリーア(イスラム戒律)に従えば、まったく問題はない」と語った。
現地の関係者の説明では、タリバンは学校でのカリキュラムから絵画と市民権に関する授業を削除し、代わりにイスラム教関係の授業を入れ、そうでなければ、全土的な教育指針にしたがうという。
サラフディンに「あなたの子供は学校に行っていますか」と尋ねると、彼は「私の娘たちはまだ幼すぎるが、成長したら、彼女たちを学校かマドラサ(イスラム教の学校)に行かせる。学校がヒジャーブとシャリーアの場である限り」と答えた。
アフガニスタン政府は、タリバンの支配地域でも学校のスタッフ(教師と従業員)の給与を支払い、タリバンが運営の責任を負っている。これが、全国のタリバン支配地域で実施されているシステムだ。
国際援助組織が運営している近くの病院も、同じような男女分離の仕組みだ。タリバンは女性のスタッフが働くことを許可しているが、彼女らが夜間勤務するときには、付き添いの男性が必要。女性と男性の患者は分離しなければならない。避妊と家族計画は活用されている。
タリバンが私たちに、女性たちの地位をより積極的に見せたいと望んでいたことは確かだった。私たちが車で走っていた時、学校から帰宅途中の女子学生たちと行き交った。
そのさい、ハジ・ヘクマットはエキサイトして、私たちに彼女らを見せようとした。彼はタリバン支配下の地域での女性の地位について、私たちの不安を払拭しようと努力した。
私たちがバルフ地域の村々をドライブしている間、自由に歩いている女性たちを多数見たが、すべての女性がイスラム衣装のブルカ(頭にかぶる布)をかぶっていたわけではない。ハジ・ヘクマットは、彼女らには何の制限もないと強調した。しかし彼は、保守的な社会では、女性たちはなるべく表に出ようとはしない、とも言った。(つづく)
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