小出先生、「三重水素自体が放射能で、核融合にも将来はない」

みなさまへ   

小出先生の「たね蒔きジャーナル」12月1日分の転送です。翌2日は、小出先生も原発コスト試算の正確さでたびたび参考にされていた立命館大学の大島堅一先生のお話がありましたので、あわせて紹介させていただきます。

小出先生、中性子を浴びることによる「脆性遷移温度」について、玄海原発の危険性について再び警告しています。また、国は子供用の食品を40ベクレルにしたと言っていますが、これは事故前の400倍の値。核融合についても、すでに三重水素自体が放射性物質で危険であり、実現化することはきわめてむずかしいと語っています。

大島堅一先生、「国民にとってのコストと、電力会社のコストとは違う」といいます。

●「小出裕章非公式まとめ」に生の声がアップされています。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

======小出先生、12月1日のお話======

永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日は千葉猛さんの司会、毎日新聞本社論説委員の藤田悟さんの案内で放送されました。

 原発関係のニュース、東電は1~4号機の泥から19~87万ベクレル/kgのセシウム137を検出です。浚渫して、船の出入りで拡散しないようにします。セシウム134はもっと多く、東電はシルトフェンスを設置し、その外からは最大6万ベクレルのセシウムであり、外では1/10、しかし外でも6万ベクレルです。

 給食のセシウム、40ベクレル/kg以下にするように国が通知しています。17都県のことで、年間1ミリシーベルトの被曝の達成のためです。40ベクレル以上の食品を除きます。

 そして、小出先生のお話、運転開始から36年の玄海1号機が定期検査で、圧力容器が脆くなり、温度変化に耐えられない可能性があり、どうやって原子炉を止めたらいいかについて、原子炉は鋼鉄で、伸び縮みはするが、応力がかかり、材料に悪影響になる、原子炉を止めるにはゆっくり止めないといけないのです。事故でいきなり止めるのは好ましくないのです。圧力が通常70気圧、温度270度を少しずつ下げるのです。

 定期検査は、山ほどの検査内容があり、原発はたくさんの部品からなり、ポンプは重要、分解して点検することもある、流量を調べる、計測器のチェック、制御棒が動くか、たくさんの検査があり、検査をするのは経産省の認可のものでやります。ストレステストのようにコンピューターでやるのではないのです。

 定期検査が長引くことはあるのですが(柏崎は地震でやられて再開に時間がかかった)、玄海も脆性遷移温度が高くなり、気になるのです。検査項目をきっちりやるのです。

 脆性遷移温度、通常の温度では金属は伸びるが、ガラスは割れる、ガラスを脆性と言い、金属は延性と言い、金属が中性子を浴びて脆性に変わる。玄海は98℃以上で延性、それ以下で脆性で、冷やしたら壊れやすくなる、厚さ20cmの鋼鉄ですが、危ないのに変わりはない、低温で置く、圧力をかけるのは避けないといけないのです。なぜこうなったか調べないといけないのです。

 藤田さん、検査中は低温になり、その時に地震が起きたらと聞くと、圧力容器が割れる可能性がある、しかし検査中は燃料はなく、燃料溶融にはならないのです。

 文科省、給食の目安に40ベクレル/kgの通達を出して、今まで飲料水と乳製品で200ベクレルで、内部被曝を5→1ミリシーベルトにするためのことで、これは子供用にこの値ではなく、単に1/5にしただけではないかと千葉さんは聞くと、米は500ベクレル/kg、その1/12、仮定に過程を積み重ねて引き出したが、子供はもっと守らないといけない、事故前は米は0.1ベクレル/kgであり、40とは400倍を許すことで、子供はもっと低くしてほしいのです。

 リスナーより、アメリカの大学院で核融合を研究している人で、自分の研究テーマである核融合も同じ、研究を続けることに疑問があり、小出先生の見解を、というメールで、小出先生、言いにくいが、「核融合に将来はない」、とても難しい、可能性があるのはDT核融合、重水素と三重水素の核融合で、核融合では核分裂廃棄物は生まないものの、三重水素はそれ自体放射能で危険、DT核融合で中性子が出て、核融合炉が膨大な放射能の塊になる、並大抵な技術ではなく、実現しない、放射能汚染になるのです。

 今日も、小出先生の貴重なお話を聞けました。

=====大島堅一先生のお話=====

 永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞専門編集委員の近藤勝重さんの案内で放送されました。今日は小出先生のお話はお休みで、原発のコストについて試算された、立命館大学の大島堅一先生の電話出演がありました。

 原発のニュース、事故について、東電は副社長を委員長とした中間報告を作成し、1号機、非常用復水器が止まっていることを4時間半把握できず、炉心は損傷した、人為的なミスはなかったと言うものの、情報共用に問題があったのです。近藤さん、人為ミスなし=津波のせいと言いたいが、人為ミスなら、原発に問題なし、輸出してかまわない、地震では大丈夫だったと言いたいのです(これは来週、小出先生のお話を聞く予定です)。

 そして、水野晶子のどないなっとるねん、で大島さん登場、3・11以降、小出先生の解説があり、原発のコストで小出先生大島さんの名前を挙げられ、一番信頼できるデータを出しておられます。

 大島さんにぜひお話を水野さん聞きたかったのですが、原発のコスト、一番安いと電力会社より出ており、いろいろ見方があり、「誰にとってのコストか」なのです。電力会社にとって、払わなくていいコスト~電気料金を通してだけでなく、税金=国家財政を通しても払っているのです。これは国民のコストで、大島さんは国民がどれだけ払うのかを考えられています。国民にとってのコストと、電力会社のコストは違うのです。

 国民にとっての原発のコストは高く、火力より高く、国が原発のコストの見直しをしており、大島さんもメンバーで、事故の前に原子力委員会で大島さん発言されて、水力や火力より高いと言うと、ここの近藤委員長は反論し、大島さんは仮定のもとに計算したのではなく純粋なデータをもとに計算し、事故後わかったデータもあるものの、財務資料を基に計算したら高く、近藤委員長は「君の研究は学問ではない」とまで言ったのです。原子力が安い、安全なのは常識であり、それに反するものにはこうなるのです。しかし、事故後は政府もコストを検証し、まじめに認識しているのです(国家戦略室)。

初めから安いと言う計算をするのではないのです。これに大島さんが入るのは、空気が変わっている、一筋縄では行かないが、役人はまじめであり、大島さんも驚かれました。良い計算が出来るのです。しかし、委員は12人いて、大島さんの意見がすぐ通るのではない、全体の基調は、事故のコスト、国家のコストを入れる方向になり、画期的な委員会と思われるのです。年内に結果が出るものの、異論がたくさん出てなかなかまとまらないのです。

事故のコスト、今まで考えていなかったが、どこまでを事故のコストとするのは意見が分かれ、国家戦略室は入れているものの、原子力委員会は保守的で除染費用が入っていない、除染で出たものの処分費用なしですが、コスト検証委員会ではそれも入れているのです。払うのは国民であり、後出しじゃんけんを禁じているのです。今わかっている最大のものを出しているのです。

国の試算は一つではなく、進めてきた責任者による試算と、別の試算があるのです。原子力委員会の試算は、除染なし、被害補償に入っているからない(土地価格より高い除染費用はない)という、土地価格を上限としたものであり、一般の人からしたら理解できないものであり、土地価格は固定資産税の評価額という低いデータでやっており、大島さんは異論を言われているのです。損害賠償費用の少なさも指摘しています。

専門家がいくらと出すと、どういう計算をしたかは分からないが、よく見ると、「エッ!」というものがあるのです。根本的からおかしいものを出しているのです。ズルをしているのではありませんが、計算には問題があるのです。

土地でも、農地なら前と同じ価格で出荷できるまでの除染が当然いるのですが、土地が失われただけでなく、生活している、生きている、それが普通の感覚なのに、生活で見るか、土地だけを見るかで全然違うのです。最大限見ないといけないのです。

近藤さん、それぞれの委員の立場があり、推進側は安く見せるのかについて聞かれて、1回目は事故のコストを入れるのは感情的だとすら言われたのです(感情的ではなく払わないといけないお金で、8兆円を超えている=除染なし)。これが10~20兆円となると、国家税収の半分になり、しかし、こういう発言は最近なくなり、責任を問われるので、本当のコストはどれくらいか、示さないといけないのです。これは大事で、払うのは国民だからです。

これを聞くと、必要なコストを詐取していたのは、詐欺、粉飾決算など(刑事罰もあり、粉飾は物凄く重い)かと思われました。今回は、大島先生のお話をお届けしました。

 なお、たね蒔きジャーナルの年末スペシャル、12月30日、夕方5時45分~夜中の12時30分までやるそうです。6時間45分もやると言うことで、この番組、報道特集のカメラも入り、とてもメジャーになりました。