尖閣諸島が位置する東シナ海で中国海空軍の行動が活発化しているとの報道。また南シナ海ではベトナム漁船との衝突が伝えられるなど領土・領海問題の行方が心配だ。
そんな折、防衛省は「東シナ海公海上空で5月24日午前11時と正午ごろ、海上自衛隊のOP3C画像衛星収集機と航空自衛隊のYS11EB電子測定機が、中国軍のSU27戦闘機2機の異常接近を受けた」と発表。数秒間だったが、約50~30㍍にまで接近したとことに驚愕した。防衛省によると、東シナ海中央部の日本の防空識別圏と、中国が昨年設定した防空識別圏が重なる空域だったというから、〝領空侵犯〟が避けられたのは幸いだった。
陸海空3自衛隊の離島上陸訓練は5月18~23日の6日間、沖縄東方沖と奄美群島の2カ所で実施した。明らかに〝離島奪還〟を想定したもので、国内での3自衛隊上陸訓練は初めてという。約1330人が参加、22日には奄美大島南の無人島・江仁屋離島(鹿児島県瀬戸内町)でも訓練が行われた。
オバマ米大統領は「日米安保の適用範囲」と言うが・・・
4月末、来日したオバマ米大統領は安倍晋三首相の〝願い〟を入れ、「尖閣諸島は日米安保の適用範囲」と明言。「反中国」に凝り固まっていた人は大喜びしたが、額面どおりにはいくはずがない。記者会見で大統領は「米国は中国と非常に密接な関係を保っており、中国の平和的台頭を支持している」と語っており、「領土問題では、どちらの側にもつかない」との姿勢が感じられる。同盟国の米国でさえ、中国と共存共栄を図らなければならないグローバル化の時代を反映したものであろう。
「日本のイスラエル化」の見方も
日中紛争について、寺島実郎氏の「周回遅れの日本」との論評(毎日新聞5月20日付夕刊)の切れ味は鋭かった。「米国には今『日本と中国の戦争に日本が巻き込まれる懸念』が芽生えています。ワシントンの一部研究者やジャーナリストの間では『日本のイスラエル化』と呼ばれているという。米国には「同盟国・イスラエルがイランと武力衝突したら、中東での戦争の泥沼に米国が引き戻される」との危機感が強い。「イスラエル化」とはこれまでは「好ましく都合の良い同盟国だった日本が、「厄介な同盟国」になり始めたことを意味する」との寺島氏の分析には、特に感銘した。
三沢基地に米軍無人機を配備
米軍の無人偵察機グローバルホーク(GH)が5月24日朝、在日地米軍三沢基地(青森県三沢市)に飛来した。朝日新聞24日付夕刊が報じたもので、防衛省によると、米軍は週2回程度の飛行になる予定。グアムは5~10月に台風に見舞われることが多く、三沢を拠点にして稼働率を高めるための措置という。
いずれにせよ「尖閣周辺波高し」の現状は危険きわまりなく、日中両国の外交努力が望まれる。
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