師走の総選挙では、安倍内閣全体の政策評価と審判を!

著者: 加藤哲郎 かとうてつろう : 一橋大学名誉教授・早稲田大学客員教授
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symbolnonukeかと 2014.12.1  あっという間に師走です。「中国のハワイ」海南島で、中国風リゾート開発の豪快な展開、6千万人といわれる富裕層の豪勢な別荘保有、消費漁りに驚いて帰ってくると、日本の国会は、解散していました。かといって、総選挙の熱気が感じられるわけではありません。消費税上げの先送りなら、なにもこの時期にとなりますが、アベノミクスを目くらましに、集団的自衛権も特定秘密保護法も沖縄も原発再稼働も、さらには憲法改正まで、一度に白紙委任を取り付けようという魂胆ですから、見逃すわけにはいきません。アベノミクスのからくりと国民生活の実情・格差を十分見極めたうえで、安倍政権そのものへの評価と判定を、下すべきです。共同世論調査では、ついに内閣不支持率が支持率を上回り、安倍内閣の安保政策も不支持多数、景気がよくなった「実感はない」が実に84%なそうですから、小選挙区で野党がしっかり政策・候補者調整できれば、政権批判票を集中できるのですが。

かと 12月10日は、ノーベル賞授賞式。以前から予告していたのですが、ノーベル賞選考経過については、決定から50年たったものから、推薦者・対抗最終候補者・評価と受賞理由についての資料公開がストックホルムで進んでいて、日本でもいくつかの研究が現れています。この力学を「ノーベル賞の政治学」風にまとめて工夫すれば、村上春樹の文学賞も、日本国憲法9条の平和賞も、誰がどう推薦し、どういう運動をしていけばいいかが見えてくるはずです。文学賞については西野由希子さんの、平和賞については吉武信彦さんの研究がありますが、あくまで歴史の問題ですから想像力が必要です。例えば戦前1939・40年に、なぜ中国抗日戦争下で胡適・林悟堂が続いて最終候補に残ったのかを、考えることができるでしょう。当時の世界的な文学者たちの中で、日本のアジア侵略がいかに野蛮なものと映ったか、反ファシズム・言論の自由擁護がいかに強かったのかがわかります。時節柄、タイムリーな宮内広利さんka「竹内好論ーーナショナリズムと奴隷の論理」(2014.12)を、学術論文データベ ースにアップしました。

 

初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Home.shtml
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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