醜いのは、海外派兵をなんとか合憲にしようと、砂川事件最高裁判決から集団的自衛権を導こうとするダブルバッジ(代議士兼弁護士)の高村正彦自民党副総裁。「憲法の番人は最高裁判所であり、憲法学者ではない」などと言っていますが、もともと砂川判決をどう読んでも無理筋です。高村副総裁ご本人も、かつて外相時代に集団的自衛権の行使は憲法違反と明言していたことは、ウェブ上で拡散しています。そもそも砂川判決そのものが、米国の司法介入によって生まれた屈辱の最高裁判決でした。ぜひ歴代最高裁判事からも、意見を聞きたいところです。もう一つ醜いのは、結党以来の絶対平和主義と憲法第9条護持を投げ捨てた、公明党の現在。与党のうまみを捨てきれないためか、戦争法案成立に異様なご執心です。かつて公明党に近い『潮』という雑誌は、有名人好きで、護憲と平和主義の主張が売り物だったんですが、さて集団的自衛権合憲を主張する、少数派の極右憲法学者を登場させるのでしょうか。さしあたり、戦場に送られるのは自衛隊員です。創価学会員も多いようです。いのちの尊さを忘れた宗教政党、哀れです。
今日は6・15です。1960年のこの日、安保改定反対の国民的闘争・国会デモの中で、東大生樺美智子さんが犠牲になりました。昨14日の国会前は、2万5千人の集会・デモが「戦争法案廃案」を訴えました。渋谷でも名古屋でも、大きなデモがありました。安保法制を憲法違反とする憲法学者の署名は、200人を越えました。でも、安倍首相には、祖父岸信介のDNAが刷り込まれています。岸首相は、国会周辺のデモを無視して、後楽園球場の「声なき声」を根拠の一つに、安保改定を強行採決し、成立させました。安倍首相は、3・11後の脱原発の声にも耳を傾けず、再稼働を進めようとしています。安倍首相が毎日チェックするのは、株価と世論調査結果とか。それも安保法案そのものへの反対世論過半数は無視して、「強いリーダーシップ」への内閣支持率の方を、気にしているようです。読売新聞やNHKで5割の支持率がある限り、強行突破しても大丈夫、いざとなれば、小泉内閣風の解散・総選挙をちらつかせて正面突破、の作戦のようです。すでに維新の会の抱き込みに、自ら乗り出しています。しかし、これも流動的です。一番新しい日本テレビNNN(読売系列!)の先週末内閣支持率は、これまで最低の41.1パーセントまで、落ち込みました。「支持しない」39.3パーセントを辛うじて上回っていますが、「戦争法案反対、集団的自衛権は違憲」の声がさらに強まれば、黄信号の支持率30パーセント台、不支持率が支持率 を越えるのは、もうすぐです。 なお政局は流動的で、国民の不安が増大しながら、拮抗している状態です。「2015年の尋ね人」=「占領期右派雑誌『政界ジープ』と731部隊「二木秀雄」について情報をお寄せください! 」には、更に新しい情報が寄せられましたが、次回に回します。今回は、情報収集センター(歴史探偵)の参照のみをお願いして、平和憲法と立憲主義の危機を憂うる皆さんの、アピールと行動を呼びかけます。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Home.shtml
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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