森友疑惑、財務省の担当者自殺の真相明らかに 「週刊文春」が遺書公開、遺族は1億1千万円の賠償を提訴

 森友疑惑。直接の担当者、赤木俊夫・上席国有財産管理官(57歳)の自殺にもかかわらず、安倍首相・同夫人―麻生財務相―佐川元理財局長(当時、事件の全容を指揮)は国会での厳しい再調査要求を拒否し続けている。2年前の2018年3月7日に自殺した赤木氏はひそかに手記を記していたが、残された赤木夫人は、A4の用紙7ページに克明に記されていた遺書の公開を断り続けてきた。
 事件当時、NHK大阪報道部の記者、相沢冬樹さんは、司法キャップとして森友疑惑取材を指揮、森友事件をいち早く報道していた。赤木さんと親しかった相沢さんは、赤木さん自殺から半年余り後の18年11月、赤木さんの妻、昌子さんと初めて会い、故人が残した手記を見せられた。昌子さんは故人となった夫から、相沢さんのことを良く聞かされていた。
 相沢さんは、それ以前にNHK大阪報道局の記者を外され、NHKを辞め、大阪日日新聞に移っていた。そのことを知った赤木夫人から、相沢さんと会いたいとの連絡があったのだ。その席で、昌子さんは、夫が残した遺書を相沢さんに見せた。相沢さんは遺書をメディアで伝えたいと要望したが、昌子さんははっきりと拒否した。相沢さんによると昌子さんは、夫の後を追うつもりで、その際に公表するつもりだったという。それを察した相沢さんは、生き続けて亡き夫を死に追い込んだ安倍首相を頂点とする国と直接の指揮官である理財局長を提訴し、真相を明らかにするよう、昌子さんを必死に説得し、成功した。
 昌子さんは、国と佐川元局長が逃げられないよう、1億1千万円の賠償請求を大阪地裁に提訴した。おそらく相沢さんの発案で、週刊文春に独占取材を委ねた。週刊文春は3月26日号で遺書の全文「赤木俊夫氏が遺した『手記』」を3ページ、関連取材記事、解説を7ページ掲載した。同誌は一両日で売り切れてしまって店頭では入手できなくなった。
 NHKの関西NEWS WEBによると、亡くなった赤木俊夫さんの妻昌子さんは3月28日から、インターネットサイト「チェンジ・ドット・オーグ」(Change.org)で第三者委員会による再調査を求める署名活動を始めた。30日午前11時の時点で、17万7千人余の署名が集まっている。
 共同通信社が26~28日に全国で行った、財務省の公文書改ざん問題を再調査する必要性について尋ねた世論調査では「再調査が必要」の回答が73.4%、「必要ない」の回答が19.4%だった。安倍首相も麻生財務相も再調査を拒否し続けているが、それ自体、森友汚職を認めているようなものだ。(了)

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

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〔opinion9604:200403〕