イスラエル軍が破壊と殺戮を尽くしたガザのことは、もう見たくも知りたくもない、という人が多いかもしれない。でも、いま現在も「救援チームは建物の残骸から犠牲者を救い出そうとして働いている。パレスチナ人の死者は少なくとも1,843人、大多数はその大部分が身分証明書などで確かめられた一般市民で、うち救急車で運ばれた後、死亡した子供たちが415人。停戦しても、何千もの不発弾が、子供たち、農民たちはじめ避難から帰る住民や人道支援要員たちを脅かしている。UNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)が運営する学校に避難した住民は、ピークの8月4日には27万3千人に達した。避難民のうち6万5千人は自宅が破壊ないし大破したため、住む場所が必要である。」(OCHA=国連人道問題調整事務所の8月6日ガザ緊急報告)から私は目をそらすことができない。
7月8日から始まったイスラエル軍のガザ爆撃・侵攻作戦は、2005年8月にガザからイスラエル軍と入植地が撤退してから4回目だが、180万ガザ住民の人命殺傷と建物の破壊は、前3回に比べてはるかに大きい。そのなかで、必死に避難してくる住民たちを国連の小中学校に受け入れ、国連旗を掲げて守ろうとしたUNRWAの活動が目立ったが、その学校まで砲爆撃して、子供たちやその家族を殺傷したのも、今回のイ軍の作戦の特徴だった。
UNRWAは8月7日、UNRWAジャバリア難民キャンプ内の女子学校へのイスラエル軍の砲撃について次のように緊急報告したー「8月6日早朝、イスラエル軍の砲弾3発が、ジャバリア難民キャンプ内の国連学校内で爆発した。同所には、3,300人が避難していた。この爆発で、教室内の床で両親とともに寝ていた子供たちが殺された。15人の一般市民が死亡し、うち4人は子どもたちだった。イ軍のこの攻撃は、避難所になっている国連の学校への攻撃の6番目である。避難民の洪水と校内の限られた収容能力のため、破壊されずに済んだ同校の他の場所は、依然、避難民が埋めている。われわれはこの攻撃を、イスラエル軍による受け入れがたい国際法の侵犯であると非難し、直ちに全面的な調査を要求する」
イスラエル軍は、7月24日にも避難所になっている国連の学校を砲撃して避難民15人が死亡。同30日にもジャバリア難民キャンプ内の避難所になっている別の国連学校を砲撃、少なくとも16人が死亡した。このさいに潘基文国連事務総長が「今回の攻撃は重大な国際法違反であり、加害者は責任を取らなければならない」と非難したばかりだ。
イスラエル・ロビーが強い影響力を持っている米国のオバマ政権は、イスラエルへの名指しをせずに「国連施設への砲撃」を非難しただけだが、国連、国際機関、国際人権団体、米国以外の主要諸国はこぞって、ガザ住民の避難所になっている国連学校への攻撃を厳しく非難している。各学校はUNRWAを通じてイスラエル側に、多数の子供を含め一般住民の国連指定避難所になっており、戦闘員はいないと何回も繰り返し通知し、国連旗を掲げていた。なぜイスラエル軍は国連学校の攻撃を執拗に繰り返したのか。長年にわたりパレスチナ難民を支援し、イスラエルのパレスチナ占領政策―東エルサレムを含むヨルダン川西岸での入植地拡大、分離壁の建設、ガザの封鎖などを非難し続けてきた国連諸機関への敵意が、その理由の一つに違いない。
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