10.26小金井市の「放射能測定室」訪問記

東京の小金井市には「放射能測定室」があります。10月26日の午前9時半にそこを訪ねました。この「測定室」は21年前の1990年9月、チェルノブイリ原発事故の後に主婦たちが市に働きかけて作らせたものです。全国でも珍しい先進的な「測定室」だと思います。

3.11以後の今では全国各地から見学したいという希望者が増えているそうですが、それまでの21年間は大変な苦労の連続だったようです。放射能汚染などわれわれに直接の影響がないのだから税金の無駄だと、市議会で「仕分け」の対象にされたこともあったといいます。

「測定室」では毎日交代で何人かが測定作業に当たっていますが、一回の測定に6時間かかります。全て主婦たちがボランティアで日参して、データ作りまでやっているそうです。測定する「検体」は主に食品(ときには公園の落ち葉や土壌なども測定することもあるようです)で、一日に二回測定しているとのことです。検査は無料ですが、今は「検体」の持ち込みが多くて、当分は予約でいっぱいな状態だといいます。

このような「測定室」は都内では立川市や杉並区などにもあった(ある)ようです。立川市では「仕分け」の対象にされて廃止されたそうですが、最近また、復活の機運があるそうです。

小金井市の「測定室」は『こがねい放射能測定室だより』という小冊子を定期的に発行しています。その冊子の2011年第19号より「測定結果の発表にあたって」という記事を抜粋紹介しておきたいと考えます。(以下引用)

○福島原発事故を踏まえて政府が暫定的に設定した食品に関する放射能の基準値(汚染された食品の出荷や販売を規制する基準、規制値とも言う。)は、セシウムの場合、水、牛乳、乳製品は200ベクレル、野菜、穀類、肉、魚などは500ベクレルです。

○事故以前、日本には基準値というものはなく、チェルノブイリ事故の後出回った放射能汚染輸入食品を規制する暫定限度370ベクレルが設定されていました。この値はアジアの周辺国に比べると高いものです。それが、今回の事故で更に引き上げられてしまいました。

○放射能には、これなら安全という「しきい値」はありません。(中略)

○人間には有害物質によって傷つけられた細胞を修復する力が備わっています。放射能を取りこまないようにすることも大切ですが、あまり神経質になりすぎず、抵抗力や免疫力を高めることでリスクを減らすことも大事です。

○放射能の影響が大きい乳幼児や子ども、妊婦に一般の大人と同じ基準値を用いることには、批判も多く反対の声が上がっています。できる限り取り込まないようにすることが大切です。

○国や東京都の機関が行っている測定だけでは全く不十分です。各市町村単位などで測定器を設置して、きめ細かな測定と情報発信を行うことが求められています。(引用終わり)

彼女たちは定期的な勉強会や講演会などもやっているそうです。彼女たちに脱帽するとともに、このような運動が全国に広がっていくよう強く望みたいと思っています。

測定サンプル

測定装置

放射能測定室入口

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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