11月3日、JR水道橋駅近くの「韓国YMCAスペースYホール」で行われた「憲法公布65年集会―沖縄と福島、そして憲法」に参加した。200名以上の方々が集まりメモを取りながら熱心に報告や講演を聞いていた。
当日の講師としては、沖縄からわざわざ来られた新崎盛暉(沖縄大学名誉教授)さん、福島県いわき市で反原発の闘いを続けている佐藤有正さん(いわきアクション!ママの会の代表代理)が、また反原発の歌や演奏を大阪から来た「浪花の歌う巨人・パギやん」こと、趙博(チョウ・パギ)さんが披露した。
佐藤有正さんはその報告の中で、いわきの女性たちが「いわき放射能測定室」を民間で立ち上げようとしているということにふれられた。このことの背景には3.11の事故以来、政府、東電、NHKなど大手メディアの「安全報道」に対する不信感があるという。よく言われたことであるが、福島現地、特に直接の被災地圏内や放射能汚染の特にひどい地域への情報の決定的な遅れ、いや情報隠ぺいにも等しい「安全報道」(詳細な放射能汚染度の報告を欠いた「今直ちに身体に影響はないものと思われる」式の発表)、これらの不適切でまったく無責任な情報に対し、「情報操作」を疑いたくなるような不信感を抱いたという。子供たちを含めて、自分たちの「生存権」を守ろうというのがその直接の動機であったと思われる。
今は町中で盛んに除染が行われているが、この除染作業は除染された放射能が下水を通り、あるいは地面にしみ込んで地下にたまっていく、その結果、下流域では濃縮された放射能が地下水となって、また海や川に流れだして、再び地域全体に還流する結果となる。「負のリサイクルである」といわれた。
また、いわき市の例だけ見ても、現在街には多くの人々が流れ込んできている。その多くはボランティアなどの善良な方たちではあるが、中にはこの混乱に乗じて何かをたくらむよからぬ人もいる。犯罪が多発して、子供たちは放射能の危険からだけではなく、こういう犯罪に巻き込まれないためにも夜の外出は禁止させられている、という。
新崎盛暉さんの報告(講演)は「沖縄から問い直す日米関係の現状」というテーマでのものだった。およそ70分間にわたって話された。沖縄問題の由来、現在の「平和憲法」がアメリカの対日占領政策として沖縄の差別の上に成り立ったものだということ、この点が「護憲派」の人々からも忘れられていること。「基地問題」がだんだんと「地域問題」「沖縄問題」へとすり替えられてきている現状への批判。1950年代の本土での「反基地闘争」(例えば「砂川闘争」)は、国内法に守られた戦いであったが、沖縄での闘争はそれとはまったく別種のものであり、「銃剣とブルドーザーに対する徒手空拳の闘い」であったこと。沖縄での「反基地闘争」の再燃は、95年の「少女暴行事件」をきっかけに広がった、「一人の少女の安全も守れない『安全』(基地)とは何か」が根本的に問い直されたからだ。
これらのことを新崎さんは次のようにまとめられた。「構造的沖縄差別の上に構築された日米関係(対米従属関係)と平和憲法」であると。
これらのことを序論としながら、Ⅰ.政権交代と民主党政権の軌跡…ここでは「ジャーナリズムの思考停止」ということが強調された。Ⅱ.アメリカの圧力とその実態 Ⅲ.政権交代と沖縄…沖縄での基地反対の声は、世論調査でも60%から80%に急増している。Ⅳ.尖閣問題に見る日米中関係…現在米中関係は、米国経済が中国に「経済的に依存している」状態である、そのことは「軍事的対抗関係と両立しうるのか」と問われた。
そして最後に、「東日本大震災」が「もう一つの構造的差別を浮き彫りにした」こと、「偽りの平和」「偽りの豊かさ」が越えられていかなければならないと訴えて話を締めくくった。
途中で、経済産業省前で座り込みをやっている女性たちの代表者が挨拶に来た。毎日数百人もの支援者が訪れてくるとのこと、座り込みも当初予定よりもかなり延長していること、などが報告された。
閉会のあいさつに立った日本消費者連盟の富山洋子さんは、「憲法改悪のための『憲法審査会』の即時廃止を」強く訴えられた。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0670:111104〕