新型コロナウイルス感染症流行は、昨年12月下旬、中国の武漢市(人口約1千百万)から始まったとする見方が定説だ。一月に中国政府は同市を厳重に封鎖したが、感染症は中国国内そして世界に広がっていった。
そして7月17日現在:主な国の感染者数、前日比、死者数を順に並べるとー
(米ジョン・ホプキンス大学集計)
順位 国名 感染者数(人) 前日比(人) 死者(人) 前日比(人)
世界計 1380万9681 +24万4661 59万0005 5620
1.米国 357万6430 +7万7032 13万8359
2.ブラジル 201万2151 +4万5404 7万6688
3.インド 100万3832 +3万4975 2万5602
4.ロシア 75万1612 0 1万1920
5.ペルー 34万1586 +3835 1万2615
8.英国 29万3469 +647 4万5204
中国 8万5314 +68 4644
韓国 1万3672 +60 293
ベトナム 381 0
日本 2万4318 +594 985
(筆者注)日本時間の18日、世界の死者数は60万人を超えた。
▼隣国が中国、韓国でよかった
毎日、この表を見て、隣国が米国やブラジルでなく、中国と韓国でよかった、と改めて思う。
もちろん私は、中国の習近平政権が、香港国家安全維持法を施行して、香港住民の民主化運動弾圧を強行しつつあることを、最大限に非難する。しかし、それはそれとして、中国政府の強力な支援のもと、武漢市では、全国から送り込まれた医師はじめ医療従事者たちが全力を集中して、支援に当たり、武漢市の厳重な封鎖(1月23日~4月8日)下で奮闘した。流行が拡大し始めた北京市でも7月には新規感染者が8日連続でゼロを記録するまでになった。中国でも韓国でも新規感染者は1日に100人以下が続いていている。
人民日報が1997年に開設した、中国最大の日本語メディア「人民網日本語版」7月14日によると、中国疾病予防管理センターの疫学主席専門家の呉尊友氏は12日の「秋・冬の新型コロナウイルス感染拡大をいかに防ぐか」をテーマにした国際ネット・フォーラムで、「現時点で、世界ではさらに悪化すると判断している」、中国での感染状況は依然として予断を許さない状況だ。ただ、総合的に判断すれば、秋から冬にかけて、感染が拡大したとしても、中国では武漢ほどの深刻な状況は二度と起きないだろうーと発言している。
また同フォーラムで、英オックスフォード大学医学院の疫学専門家の陳そう鳴(そうの字は金ヘンに争)氏は「新型コロナウイルスをめぐっては。二つの基本的な科学的判断をしている。一つはこのウイルスを消失させることは不可能で、長期的な持久戦になるため、ウイルスと共存し、長期戦を覚悟しなければならない。二つ目は、中国の経験は、このウイルスと予防、封じ込めが可能であることを教えてくれている。今年の秋から冬にかけて、大きな山場となる」と指摘した。
▼拡大一方の米国と南米1の大国ブラジル
米国と南米1位の大国ブラジル両国では感染の拡大が続いている。どちらも、中国はじめアジア諸国、欧州諸国から遠いことを良いことに、大統領は独裁的に新型コロナ感染防止対策を軽視し、対策に大きく遅れ、経済活動最優先で都市交通、外出規制を行わないか、早期に解除した。
感染者順位で特に際立っている米国は、経済力が世界一の先進国、医療水準、医療体制も整っているはずなのになぜなのか。
その最大の原因は、トランプ政権の対策の軽視。立ち遅れだ。
武漢閉鎖の段階、米国が対策に取り組まなければならない段階で、軽視した。米政府が警戒行動を開始したのは3月7日。1か月半の遅れ。感染者数は402人、世界で10位だった。WHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的流行)を正式の宣言する11日の直前だった。すでに中国では感染者が8万人を超え、韓国、イタリアはじめ欧州諸国で感染者が急増し始めていた。3月22日には、感染者数はまだ中国1位、米国3位だったが、3月27日には1位の10万人台となり、さらに急増しだした。
トランプ政権が、武漢閉鎖の重大な意味を理解していたら、せめてWHOがパンデミック宣言をした直後であっても最大限の拡大防止対策を実行していれば、これほどの拡大にはならなかったと思う。
ブラジルについてはここでは詳しく触れないが、最悪の独裁者ボルソナロ大統領のパンデミックの軽視と行動が、同国史上最悪の不幸を国民にもたらした。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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〔opinion9950:200720〕