ブタペスト通信

黄昏のオルバン政権 – マフィア国家への転落

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ハンガリーはマフィア国家
総選挙を控えたハンガリーでは、16年続いた親ロシア反EUのオルバン体制に終止符が打たれるのか、それともオルバン体制がさらに継続するのかが最大のテーマになっている。オルバン体制をどのように捉えるのかについても議論が交わされている。

民間調査機関のRepblikonIntézetは、2月初め、「オルバン体制をどう特徴づけるのがもっと適切か」についての世論調査結果を公表した(https://republikon.hu/media/171249/RI_rendszerdefiniciok-elemzes.pdf)。回答者の27%が「マフィア国家」を選択している。一部の政治学者が唱える「非自由主義的民主主義」は多数を得ていない。深夜に法案を提出して翌午前中に採決する、政府にとって好ましくない裁判所の判決を無効にする法律を即座に採択する、公共放送を与党・政府の広報放送として利用するような政治体制は、まさにやりたい放題の政治体制である。一国の首相が家族のための蓄財に励み、政権周辺の人物が犯した重犯罪者の逃亡を見逃している国が、民主主義国家であるはずがない。国立銀行資産詐取事件とその顛末は、「国家機構を利用した犯罪」の現実を教えてくれる。

マジャル・バーリントはオルバン体制を、国家機構全体を組織犯罪に利用する「マフィア国家」と規定する。国家機構が、権力の独占的利用と政治家(高級官僚)の私的蓄財に利用される犯罪組織(bűnszervezet,criminalorganization)になっているという意味である。共産党一党支配の旧体制下でも、個人的蓄財は許されなかったから、オルバン体制はたんなる一党独裁、専制政治の枠では捉えきれない。一部の知識人に流行(はや)った「非自由主義的民主主義(illiberaldemocracy)」という特徴づけは、あまりに無色・無内容で誤解を招く規定である。マフィア国家という規定の方が倫理的・政治的な含意を伝えるより適切な概念であるとしている(https://www.youtube.com/watch?v=-rEaSWZl_8w)。

オルバン体制のマフィア性を象徴するのが、国立銀行資産の詐取である。オルバン・ヴィクトルの右腕と呼ばれたマトルチ・ジョルジュ前国立銀行総裁の重大犯罪を見逃し逃亡を手助けする権力は、剝き出しのマフィア国家である。このような体制に「民主主義」という形容詞を与える政治学者は世間知らずと言われても仕方がない。

なぜ国立銀行資産詐取事件の捜査が進まないのか
2025年3月に国家会計検査院は実行者不詳で4,000億Ft(商業銀行融資を含めておよそ5,000億Ft)ものハンガリー国立銀行資産が詐取された事件を告訴したが、捜査はまったく進んでいない。告訴から1年弱の時間が経過していているにもかかわらず、誰一人として取り調べを受けていない。ハンガリーの警察・検察が無能なのか、それとも政治的案件としてオルバンの指示に従っているだけなのか。多分、その両方だろう。

不真面目な捜査が続いている間に、首謀者と見られるマトルチ・ジョルジュ前国立銀行総裁とその息子アーダムはすでにハンガリーを離れ、ドバイに住居を移したと言われている。アラブ首長国連邦とハンガリーの間に犯人引き渡し条約はない。オルバン首相とスィーヤルトー対外経済外務大臣は2025年の1月末にドバイを訪問しているが、オルバンは9月にも突然、「実務訪問」という名目でアブダビを短期間、訪問している。あの訪問はいったい何だったのだろうか。重要案件があるわけでもないのに、首相が二度にわたってアラブ首長国連邦を訪問した目的は何か。国家資産詐取事件の首謀者の逃亡を助けるために、口利きを行ったのではないかという疑惑を消すことができない。オルバン・ヴィクトルはイデオロギー的に近い、犯罪に絡んだ他国の政治家を積極的に「政治難民」としてハンガリーで受け入れている。だから、オルバンの右腕と呼ばれたマトルチをアラブ首長国連邦の庇護下に置く交渉など、良心の呵責に苛まれるような案件ではない。オルバン支配に組み込まれたルーティーンに過ぎない。

逃亡してしまった者を取り調べることはできないし、犯人引き渡しを求めることもできない。マトルチにとってもオルバンにとっても、これが最善の策である。マトルチを逮捕すれば、オルバンにとって都合の悪い事実が暴露されて返り血を浴びる。だから、警察・検察の捜査が進まないうちに厄介払いしたのだろう。オルバン政権要人もまた、この事件について沈黙を貫いている。あたかも何もなかったかのように振舞っている。わざわざ裁判所の判決を無効にする法律を制定して、詐取の窓口となった国立銀行財団の設立を積極的に支援した与党Fideszの責任が問われるからである。今のハンガリーの国家指導者は、政治家や側近、政権に忠実な高級官僚が絡んだ不祥事を厳しく律する社会的倫理を持たない。この点で、ハンガリーの政治的指導者の倫理意識は発展途上国並みである。

ちなみに、マトルチ父子が溶かした5,000億Ft近いお金は、ほぼハンガリーの年金生活者200万人が受け取る月額総額に匹敵する(年金平均月額25万Ftx200万人=5,000億Ft)。実に、平均年金月額の200万カ月分、月額年金を100万Ftとすれば年金50万カ月分(41,667年分)にもなる。

政府系Nézőpontの世論調査手法が明らかに
選挙を控えて、民間調査機関は世論調査結果を発表している。各種民間調査機関の結果がほぼ同じ傾向を示しているのにたいし、政府系調査機関(政府の補助金で運営)のNézőpontは民間の調査結果とは正反対の結果を発表している。民間調査機関のほとんどは、Fideszの支持率は35%(221万人)前後と発表している。ところが、政府系調査研究所NézőpontはTiszaの支持率を35%(およそ270万人)と推計している点は民間調査機関と同じだが、Fideszの支持率を40%(およそ316万人)と発表している。政府系Nézőpontと民間の調査機関のFidesz支持者の差異はおよそ90万人である。

政府系調査機関と民間の調査機関の政党支持率の差異がどこにあるのか、多くの人々は疑問を感じている。つい最近になって、政府系調査機関の調査手法が、当該機関の代表によって明らかにされた。Nézőpont代表(MrázÁgostonSámuel)と、民間調査機関の一つである21Kutatóközpont代表(RónaDániel)との調査手法を巡る討論が、Valaszonline上で公開された(https://www.valaszonline.hu/2026/02/04/mraz-elismeri-rona-visszautasitja-a-partkotodest-mi-befolyasolhatja-a-kutatasokat)。そのなかで、Nézőpont代表が問題の核心について触れている。Nézőpontの主張を簡単にまとめると、次のようになる。

「生のデータをそのまま集計するだけは790万有権者の実像を捉えることはできない。だから、生データに一定のウエイトを付けて集計している。なぜなら、(これまでの選挙から)Fideszの潜在支持者(Fideszに好感を持っている有権者)は300万人超だと考えられ、その三分の一程度がいわば眠っている不活動の支持者と考えられる。だから、Fidesz支持を明言しなかった人についても、他の政策の是非について政府の政策を支持した人をFidesz支持者に数え、潜在支持者に近づくようにしている。こうすることで世論調査が母集団を代表するようにしている。この種の補正は統計学で認められた方法である」。

確かに前回の総選挙で、Fideszの全国比例区の得票は300万票を超えた。Nézőpontはこの事実を根拠に、Fidesz支持層は300万という前提を立て、その前提から実際に集計された調査データを加工して、潜在支持率に近くなるようにしている(具体的な集計補正については明らかにしていない)。

しかし、これを世論調査と呼ぶのは間違っている。世論調査というより、たんなる予見を持った推定にすぎない。前提とする値に近づけるためのデータ加工を行っただけではないか。この操作によって、Fidesz支持率は、実際の生データの集計値より大きく出る。Fidesz支持率がTisza支持率より大きく出ることが重要で、政府の補助金を受けている調査機関の組織が守られる。

政権与党に忖度する姿勢は、政府補助金で運営されているすべての組織や機関で見られる現象である。なぜなら、政府与党に批判的な議論や結果をだせば、補助金が停止され、組織を解体せざるを得ないからである。大学ですら、補助金を失うことを回避するために、政府に批判的あるいは政府の政策に反するような研究を内部検閲し、時には研究者を解雇している。政権への忖度はFidesz支配に特徴的な現象である。オルバン体制は政府の政策に反する調査や研究を処罰することで、政府の支持基盤を固めようとしているのだが、このやり方こそが政権与党の腐敗の根源である。

事実調査に忖度や事前的仮説を介入させれば、調査の信頼性が失われる。事実、Fidesz幹部はNézőpontの忖度世論調査を信用しておらず、民間調査機関の調査結果にもとづいて選挙戦略を考えている。それなら、いったい何のためにNézőpontが存在するのか。たんなるプロパガンダ機関か。これこそ、Fideszの一党独裁支配の自縄自縛現象である。

犯罪者を匿うマフィア国家
民主主義が機能している先進国で、5000億Ft(現在の為替レートでおよそ2000億円)近い資産が詐取されれば、政府の存続を揺るがす重大事件になる。ところが、会計検査院の告訴にもかかわらず、いまだに誰一人として逮捕されていない。なぜなら、警察も検察もすべてオルバン首相指揮下にあるからである。オルバン・ヴィクトルは事実上、重犯罪者を庇っている。これもマフィア国家と呼ばれる理由の一つである。

筆者が得たマトルチ元側近からの情報によれば、「マトルチはオルバンに10億Ft(およそ4.5億円)を支払ってドバイへ逃げた」という。しかし、10億Ftはマトルチ父子が詐取した公的資産の額に比して端金である。オルバンがなぜこの程度のお金でマトルチの逃亡を認めたのか。

マトルチは長期にわたってオルバンの片腕として働いていた。だから、オルバン家の蓄財の秘密を知っているだろう。オルバン一家の秘密の最たるものはロスアトムからの裏金である。この秘密を知られているので、マトルチ逮捕はオルバンにとって選択肢とはならないのだろう。

マトルチにすれば、「ヴィクトルがそれほどの金を蓄財できるなら、俺だって4000億Ft程度の銀行資産を流出させても文句はないだろう」ということだ。ロスアトムからオルバンに渡った賄賂は少なくとも1兆Ft、マトルチが溶かした銀行資産はその4-5割に当たる。それぞれの役割に匹敵する割合である。

ハンガリーとアラブ首長国連邦との間には、犯罪者引き渡し条約がない。だから、政権交代が行われても、新政府はマトルチ父子の引き渡しを求めることができない。ドバイ逃亡はマトルチがオルバンの同意を得て、実行したものだろう。2024年から2025年にかけて、オルバン政権はアラブ首長国連邦からの投資を見込んで、ブダペスト・ズグロー地域に「ミニドバイ」構想を企画したが、激しい抗議に合って断念せざるを得なかった。しかし、オルバン政権とアラブ首長国連邦の外交的な交流が活性化され、種々の話し合いがなされ、既述したように、たいした要件もないのに、オルバン首相は2025年に二度にわたってアラブ首長国連邦を訪問している。この二度目の訪問の目的はマトルチ父子の庇護打診だったのではないか。マトルチがオルバンに払ったお金は国立銀行から詐取した額に比べ端金だが、10億Ftは逃亡先確保の口利き料だったなら、合点がいく。

オルバン政権とロシア正教会の醜い関係
オルバンはマトルチ父子の逃亡を手助けしただけではない。ロシア、マケドニア、ポーランドからの腐敗政治家や宗教家に庇護を与えている。

すでにロシア正教会ヒラリオンのブダペスト移住については詳しく報じた(「ブダペスト通信」2025年11月14日号、https://www.morita-from-hungary.com/j-07/07-01/2025/251114_040.pdf)。ヒラリオンにハンガリー国籍を与え、外交官パスポートまで与えた。この特権供与の便宜を図った人物が、シェンミエン副首相である。ヒラリオンはその特権を活かして、EU制裁を受けたロシアのオルガルヒにハンガリー国籍や滞在許可を与えるよう、シェンミエン副首相に働きかけていた。生臭坊主のヒラリオンはこの仲介で巨額の報酬を得ていた。オルガルヒからの仲介料を得るために、銀行送金の手段を使わず、現金授受を選んだ。そして、この授受は中東諸国で行われた。現金運搬のために二人の助手を同伴させ、アタッシュケースに詰めた現金をハンガリーに持ち込んだ。シェンミエンがヒラリオンから報酬の一部を得ていることは間違いない。その意味で、シェンミエンは通貨密輸という犯罪に深くかかわっている。

ここで興味深いのは、なぜ中東諸国が現金の受け渡しの場所になったのかである。オルバン・ヴィクトルが500ユーロの札束をポケットに入れていることは、マジャル・ピーテルが証言している(EU会議の休憩時に、ポケットから500ユーロの札束を取り出し、ハンガリー人外交官にチップとして500ユーロ札1枚を渡した)。問題はこの現金をどこから引き出したかである。欧州内の銀行で500ユーロ札を大量に引き出すことは難しい。高額紙幣の引き出しには身元確認が必要になるし、引出しデータが残る。しかし、大金持ちが多数居住する中東諸国では、何の問題もなく、高額紙幣を大量に引き出すことができる。ロシア系の銀行であれば、何の問題もない。

100枚の札束でも、新札なら1cm程度の厚さである。ヒラリオンは二人の助手にアタッシュケースを持たせていた。一つのアタッシュケースに5万ユーロ束(帯封1束は100枚が単位)が60束は入るから、アタッシュケース二つで600万ユーロ程度の現金を運ぶことができる。ヒラリオンはブダペストの空港で政府要人ゲートを使い、アタッシュケースの中身を調べられることなくハンガリーに現金を持ち込んだ。現金の密輸である。これを手助けしたのが、副首相のシェンミエンである。KDNP(ChristianDemocraticPoeples’Party)の代表として、Fidesz-KDNP連立政府の副首相に座っている。「キリスト教-民主-人民党」という党名は冗談にしか聞こえない。各種の醜聞にまみれているシェンミエンもまた、オルバン体制の腐敗を象徴する人物である。

オルバン・ヴィクトルが匿う腐敗政治家
オルバン・ヴィクトルは、汚職で有罪判決を受けたイデオロギー的に近い外国の政治家や有罪が確実視される政治家を「政治難民」としてハンガリーに受け入れている。

本国北マケドニアで汚職のために2年の実刑判決を受けた元首相グルエフスキー(NikolaGruevski)は、2018年、オルバンを頼ってハンガリーに逃亡した。グルエフスキーはオルバン・ヴィクトルを同じく権威主義的な政治体制を敷き、親EUから親ロシアへと政治姿勢を転換させた政治家として知られる。2022年にアメリカ財務省および国務省の汚職腐敗者リストに加えられ、同年に本国で懲役7年の判決を受けている(本人不在)。

2018年、グルエフスキーは収監を逃れるために、オルバン・ヴィクトルを頼った。政治的思考(だけでなく権力汚職も)を共有するオルバンはこれを政治亡命としてハンガリーに受け入れることを決めた。ハンガリー政府はこの逃亡手助けの事実を公式に認めておらず、グルエフスキーの逃亡の詳細は秘匿されている。しかし、メディアはマケドニアと周辺国のハンガリー大使館(領事館)が連携し、大使館員が同行して北マケドニアからいくつかの国を経由してハンガリーへの逃亡が実現したと伝えている。

ハンガリー移民局は1週間で難民認定を行い、EU内で大きな問題になった。現在もなお、グルエフスキーはハンガリーに滞在している。グルエフスキーは在任中にかなりの私財を貯め込んでいるが、オルバンに逃亡謝礼金を払ったかどうかは分からない。他方、ハンガリーの居住にかんしてオルバンは最大限の配慮を行っているはずである。

今年に入って、ポーランドの前法相ジョブロ(ZbigniewZiobro)が妻とともにハンガリーに亡命したというニュースが流れた。巨額資金の詐取で聴取を受けるところ、出頭しないでハンガリーへ逃亡した。トゥスク内閣が成立する前のNationalistLawandJustice(PiS、法と正義)政府で法相の地位にあり、公金詐取で告訴されていた。オルバン首相は「法と正義」の党に親近感を抱いており、ジョブロからの要請に応えて、ハンガリーへの亡命を容認した。これもポーランド政府の激しい抗議に合い、EU内でも問題になっている事件である。

ジョブロは2025年10月に、26の罪状で告訴された。そこでオルバン・ヴィクトルと連絡をとり、逃亡受入れを要請した。10月末にハンガリーを訪問してオルバンと会い、「難民」申請の意図を伝えた。ご丁寧にもオルバンFidesz政府は2025年11月に、「本国からの送還要請があっても、当該国で難民認定を受けた者の引き渡しを拒否できる」という法律を採択し(2026年1月1日発効)、腐敗政治家の引渡しを拒否できる国内法を制定した。そして、12月末にハンガリー政府はEUにたいし、「ポーランドの政治家ジョブロとロマノフスキー(次官、MarcinRomanowski)を難民認定した」ことを報告している。

ポーランドの裁判所は本年2月に入って、正式な逮捕状を出し、ジョブロとロマノフスキーを国際手配した。今後、EUを舞台に、ポーランドがハンガリーにたいして厳しく対応することが予想される。ハンガリーの政権交代が実現すれば、グルエフスキーとジョブロの難民認定が取り消される可能性がある。本国へ送還される前に、この二人は再びオルバンの口利きでアラブ首長国連邦に逃れるのだろうか。

このように、オルバン・ヴィクトルはFideszにイデオロギー的に近い政党の政治家の亡命を積極的に受け入れ、蓄財疑惑の犯罪者を匿っている。自らも同じ運命を辿るかもしれないことを見越してだろうか。巨額資産の蓄積で野党から批判されている長女夫婦は、すでに昨年、巨額の資産を抱えてアメリカに移住している。

2010年12月、ハンガリーの石油ガス企業MOLがクロアチア石油公団INAの株式を取得した際に、MOLは当時のクロアチア首相サナデルに1000万ドルの裏金を払った。クロアチア検察が収賄容疑でサナデルを逮捕しようとしたところ、オーストリアに逃亡したが、翌年7月にオーストリアで逮捕され、クロアチアへ送還された。第一審判決で10年の懲役刑の判決を受けた。

これに伴い、クロアチア政府は、贈賄の疑いでMOL社長ヘルナディ・ジョルトの引き渡しを求めたが、オルバン政権はそれを拒否し、現在もなお引き渡しは実現していない。少なくともハンガリー側はヘルナディ社長の解任を行うべきだった。しかし、オルバンはヘルナディを助ける代償として、MOLを自らの支配下に置くことに成功しただけでなく、ハンガリー最大企業MOLを地元のサッカークラブのスポンサーにつけることで政権内部の決着を図った(拙著『体制転換の政治経済社会学』日本評論社、2020年、225頁)。

この事例からも分かるように、オルバンは犯罪者を匿う代償として、必ず何がしかの見返りを要求している。このパターンは現在まで続いている。巨額の国立銀行資産を詐取したマトルチ父子に目を瞑り、事実上の亡命を容認したオルバン・ヴィクトルはとうの昔に金銭授受にかかわる社会的倫理を失っている。ロシアから裏金を取得し、長女・次女夫婦の蓄財を手助けしながら、自らは500万Ft(230万円)の貯金しかないと財産公開している。各種の裏金だけでなく、首相報酬として月額700万(年8400万)Ftやそのほかの手当てをもらい、ポケットに5万ユーロ(2000万Ft)の札束を入れながら、500万Ftの貯金しかないと見え透いた嘘を平気で付ける。犯罪者を匿い、家族や友人の私財蓄積を助け、国外に資産を貯め込みながら、自らは無一文だという。白々しい限りである。

「オルバンのハンガリー」がマフィア国家と名付けられる所以である。

「リベラル21」2026.02.21より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-6980.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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