日本政府は8月1日、韓国を米国以下27の輸出優遇国(ホワイト国)から除外し、韓国の重要産業の半導体関連産業に大きな打撃が必至となる措置を実行した。
これに対抗して、韓国政府は8月12日、武器製造に転用できる「戦略物資」の輸出手続きを簡略化する輸出優遇対象国(29ヵ国)から除外する制度改正案を発表した。韓国企業が世界的シェアを握る半導体メモリーは含まない。国民の意見を募ったうえ、9月中に実施する。
日本政府は、安全保障上の措置と発表したが、韓国大法院(最高裁)が昨年、元徴用工の慰謝料請求権を日韓請求権協定には含まれないとの判決を下し、それについて韓国の文大統領が「三権分立で政府は介入できない」との立場を堅持していることへの報復であることを否定しなかった。この事態は、東京とソウルを拠点とする世界のメディアも大きく報道したが、政治的な報復として自由貿易を縮小する日本政府の措置について、好意的な報道はなかったのではないか。
日韓両国と同盟関係が深い米国のトランプ政権は、対北朝鮮政策とも関連して日韓対立の深刻化を強く懸念し、日本政府には韓国のホワイト国(貿易優遇国)継続を、韓国には大法院判決で韓国側が差し押さえた、日本企業の資産の現金化を思いとどまるよう要請した。しかし、日本政府は韓国のホワイト国からの除外を強行、韓国側も8月12日、対抗して日本を輸出優遇対象国から除外し、新たに設置する1国だけの新設ランクに移すことを決めた。
国際的メディアの中で、日韓関係の悪化を懸念しつつ、冷静、公平に報道をしてきた少なくとも一つは、英国の公共放送BBCの国際電子版だと思う。BBC国際電子版は、24時間、国際的ニュースを地域別、テーマ別に分別して、主として英語で報道している。国際的な信頼度、影響力は、世界で最も大きいに違いない。日本政府がホワイト国から韓国除外を決定した前後(7月23日。8月2日、5日、12日)のBBC電子版の国際報道を、紹介しよう。
韓国、第2次大戦の処理をめぐる紛争で日本に反撃(BBC 2019.8.12)
韓国は12日、日本を輸出優遇国のリストから除外すると発表した。
これは、今月初め、日本が韓国を輸出優遇国リストから除外したことに対する報復措置だ。
成ユンモ産業通商資源相は、日本は新設する貿易制限リスト国に指定されると語った。
日韓の緊張関係は昨年、韓国の大法院(最高裁)が、第二次大戦中に日本企業に強制労働をさせられた元韓国人労働者に対して、補償金を支払うよう命じた判決を下したことから、燃え上がった。
この判決に対して、日本から、この問題は1965年に両国間の関係が正常化した時に解決済みにされているとの非難が浴びせられた。
両国は、1910年から1945年の日本敗戦までの植民地支配を含む複雑な歴史を共有している。
今回のハイテク技術の供与妨害をふくむ貿易紛争は、世界の電子産業界に危機感を引き起こしている。
どのようにアジアの一貿易紛争が世界の電子産業に打撃になるのか
七月、日本は韓国のハイテク産業にとって必需品の材料の輸出規制を厳格化した。
その対象となったのは、ディスプレイ・パネルとメモリーチップ製造の必需品で、すでに鈍化している韓国の経済成長の悪材料になることが懸念された。
両国はお互いに、不適切な輸出規制を非難した。
日本は今後、国際的な原理原則に沿った韓国の輸出管理制度にはなかった、新たなカテゴリーの国に分類される。
韓国産業通商資源省の高官は、日本を不適切な貿易制度の国になったと非難した(続く)。
写真説明: BBC電子版が12日に報道した記事に掲載した韓国の反アベデモの写真。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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