Broken English 

著者: 木村洋平 きむらようへい : 翻訳家、作家、アイデア・ライター
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表題のブロークン・イングリッシュとは、でたらめな英語、あやふやな、はっきりしない英語のこと。

いま、グローバリゼーションとともに世界中で英語が話され、学ばれている。英語の一極支配、英語への一極集中だ。だが、他方で、とりあえず外国人とコミュニケーションをとるのに英語を使うが、よくしゃべれないので、いい加減な “broken English” でなんとかしよう、とするひとも多いと思う。

英国でも地方によって、また階級によって方言や言葉遣いのちがいが大きいと聞くが(スコットランドの英語は、ロンドン人にはわからないとか。)、いまや世界規模になった英語はもっと多様化していいと思う。それに、そうならざるをえないだろう。

僕は外国人の友達と、つたない英語で話すけれど、向こうの言っていることの半分はよくわからない。聞き直すと、その半分はわかるが、もう半分はやっぱりわからない。向こうも、こちらのブロークン・イングリッシュを聞きながら、やはり同じだろうと思う。

これは、そのままでいいと思う。僕は「公式の」英語を学んで、上手な話者になりたいとは思わない。日本語についてはちがう。日本語を話し、書くときは伝統に根差したきちんとした日本語を標準としてもっていたい。でも、英語はそうではない。

世界中の英語を話したいひとたちが、気ままに「不純な」英語を話したらいいと思う。そして、英語が母語であるひとびともみな、方言でもなんでも、自分たちの「好きな英語」をそれぞれ話したらいいと思う。そして、たくさんの不純な英語が(ここは「英語」が複数形だ。)世界にあふれたら、たったひとつの純粋な言語が支配するよりも、ずっとすばらしいと思う。

それは、僕らが願わなくても、自然とそうなるのかもしれない。言語にはもともと変化と多様性が満ちているのだから。政府だか名門大学だか学者さんだかは、余計なことはしないで、「正書法」とか「正しい発音」みたいなことを制定するのも、教育するのもやめてほしい。

みんなで、英語をぶっこわそう!
Let’s Break English!

初出:ブログ【珈琲ブレイク】:http://idea-writer.blogspot.jp/2013/09/broken-english.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
〔opinion1454:130914〕