半澤健市の執筆一覧

半澤健市さんの『スバル座と八千草薫』を読んだ中後期オヤジの話し

著者: 川弾降雄

筆者はこのところ行けば必ず寝るので映画館に行けず、スカパーさまのお蔭で古い映画を楽しませてもらっている一映画ファンの職業人で、だから記憶に頼って書いているので間違いがあればご容赦お願いたしたいと存じます。 ちきゅう座にも

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スバル座と八千草薫 ― 日米映画競映への道と見れば ―

著者: 半澤健市

 東京・有楽町のスバル座が閉館になった。2019年10月の現実である。 この映画館は、戦後日本における「ロードショー」劇場の先駆者であった。敗戦後の一時期、スバル座のロードショーはアメリカ文化のショーケースの役割を果たし

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明るい反戦小説に私は泣いた ― 書評 飯島敏宏著『ギブミー・チョコレート』(角川書店) ―

著者: 半澤健市

《ウルトラマンの監督が書いた昭和の本郷》  本書のオビにいくつかの惹句が書いてある。 ■「少国民」と呼ばれた、ごく普通の子どもたちの物語。 ■僕たちは、歌い、笑い、未来を見ていた。 ■『ウルトラマンQ』、『ウルトラマン』

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世界を敵にした自滅への道(2) ― 芦田均『第二次世界大戦外交史』を読む ―

著者: 半澤健市

前回に、抜き書きを次の三点、すなわち ・軍部独裁への道 ・芦田の戦争総括 ・日本降伏時の首脳発言 に関して書くと言ったが、順序を変えて「日本降伏時の首脳発言」を紹介する。 《連合国も多様な顔をもつ》  ポツダム会談は、1

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世界を敵にした自滅への道 ― 芦田均『第二次世界大戦外交史』を読む ―

著者: 半澤健市

 1945年9月2日は、敗戦日本の降伏文書調印の日であった。東京湾頭、米戦艦ミズーリの艦上で調印式は行われた。74年前に起きて今に続く恥辱である。 《権力政治を生きた外交官・政治家の遺言》  私(半澤)は、この8月に芦田

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小泉進次郎の正体を報道せよ - 結婚報道は新次郎政権への開門 -

著者: 半澤健市

 小泉進次郎自民党衆院議員が、フリーアナウンサー滝川クリステルとの結婚を安倍首相と菅官房長官に報告し、その後の記者会見でそのことを発表した。滝川は懐妊しているという。この発表前後の進次郎報道で私の目にとまったものが二つあ

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山本太郎政権の可能性 - 参院選2019の結果をみて -

著者: 半澤健市

《山本太郎政権は夢物語だろうか》   何を夢想しているのかと思う読者が多いだろう。しかしそういう読者も、この夢の実現を、一瞬は考えたのではないだろうか。下記は一つのイメージ提示である。  前回2013年の参議院選挙時に山

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〈いまごろ丸山眞男か〉という君へ(2) ― 柄谷行人の「丸山眞男とアソシエーショニズム」を読む ―

著者: 半澤健市

《ポストモダンと丸山はどう結びつくのか》  柄谷は丸山をいつどこで捉えたのか。 彼が、本格的に丸山を論じたのは2006年の「丸山眞男とアソシエーショニズム」が初めてであるらしい。しかし柄谷の問題意識は80年代に始まってい

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〈いまごろ丸山眞男か〉という君へ(1) ― 柄谷行人による「丸山眞男の永久革命」を読む ―

著者: 半澤健市

 本稿は、思想家柄谷行人(からたに・こうじん、1941~)が書いた丸山眞男論の紹介である。紹介する理由は、私はこの論文―正確にはエッセイというべきか―に衝撃を受けたからである。(1)で柄谷論文の要約を行い、(2)でその「

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「青い山脈」の成功と失敗 ― 亡き杉葉子を偲んで ―

著者: 半澤健市

《ヤミ屋に囲まれて生まれた「青い山脈」》  ■昭和24年1月に作曲されたこの曲のメロディーは、当時服部(良一)が大阪駅から京都駅へ行くすし詰めの電車の中で生まれた、という。ハッピ姿やハチ巻きの闇屋の大群がぎっしりと乗り込

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平成と令和の狭間に考える ― 「平成流」は持続可能だろうか ―

著者: 半澤健市

 4月30日の天皇譲位と5月1日改元の報道が少しは落ち着いてきた。 この時点で明仁・美智子夫妻の「平成流」とその前途について書いておきたい。 話を三つほどに分けて考える。 一つは、明仁夫妻が完成した「平成流」の凄さである

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メリルリンチへの惜別(2) ― 私的金融史の一コマ ―

著者: 半澤健市

メリルリンチ研修参加はウォール街への入門編であった。 そのあと欧米系、日系の証券運用に関わる機関投資家とその関係機関を回った。投資顧問会社、投信運用会社、銀行信託部、投資銀行、生保会社なとである。投信運用のメッカを自称す

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メリルリンチへの惜別 - 私的金融史の一コマ -

著者: 半澤健市

《ウォール街・1974年春》  近くメリルリンチの名前が消えるという報道を見た。 メリルリンチは米国の証券会社である。「リーマン金融不況」時に、大手銀行「バンク・オブ・アメリカ」の傘下に入り、2009年1月に、「バンクオ

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ジャパン・ハンドラーはいま ―「第4次アーミテージ・ナイ報告」紹介の紹介―

著者: 半澤健市

 本稿は、「第4次アーミテージ・ナイ報告分析―さらなる日米一体化への要求」と題する論文の紹介である。著者は、日米外交に詳しい弁護士(日本、ニューヨーク)の猿田佐世(さるた・さよ、以下敬称略)氏。『世界』の2019年3月号

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論壇は国民に影響を与えられるか(2) ― 奥武則著『論壇の戦後史』を読んで ―

著者: 半澤健市

 この状況のなかで『中央公論』1963年1月号に「現実主義者の平和論」が載った。筆者は高坂正堯(こうさか・まさたか)、ハーバード大留学から帰国した気鋭の京大助教授である。専門は国際政治で、同時期にハーバードの客員教授だっ

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論壇は国民に影響を与えられるか(1) ― 奥則武著『論壇の戦後史』を読んで ―

著者: 半澤健市

 本書は、早大出身の元毎日新聞記者奥武則(おく・たけのり、1947~)が書いた1940年代から現在までの論壇時評史である。  《論壇史の力作に感じた三つの感想を書く》  論壇とは何か。奥はそれを「国内外の政治や経済の動き

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四〇歳は「惨勝と解放」に何を見たのか - 堀田善衛『上海にて』を読む(2) -

著者: 半澤健市

《戦争と哲学と歴史》  一九四五年の春、堀田善衛は当時上海にいた作家武田泰淳と南京に旅行した。二人は南京の城壁に登った。その時に堀田は次のように考えた。 ■中国戦線は、点と線だというけれど、こりゃ日本は、とにかく根本的に

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現象描写あれど本質深耕に至らず - 2019年元旦の全国紙を読む -

著者: 半澤健市

今回で10回目である。年男の老骨に鞭打ったが、年々密度が薄くなる。 その文、引いて見えていると自己満足している。 まず社説から見ていく。各社の立ち位置、主張がそれなりに見えるからである。 《社説を巡覧するとこうなる》  

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文学青年が政治を発見するとき - 堀田善衛の『上海にて』を読む -

著者: 半澤健市

 『上海にて』の序文には一九五九年六月の日付がある。 敗戦後一四年を経て書かれたこの文章について、筆者は「私のこれまでに書いた、まとまりのないもののなかでも、もっともまとまりのないものである。まとまりをつけようと努力をし

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『堀田善衛を読む―世界を知り抜くための羅針盤』を読む

著者: 半澤健市

生きているうちに、あと何冊本が読めるだろうか。 読書だけではない。全ての日常的な営みに関してそう思う。後期高齢者の心理である。 《気になっていた堀田善衛》  一、二冊を読んだだけで、ずっと気になってきた著述家を、誰もが、

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国内外労働者をモノ扱いするな ―資本の論理を加速する安倍政権―

著者: 半澤健市

《ゼロ成長と新自由主義の発動》  1960年から30年間、「高度経済成長」を続けた結果、日本は一時世界第二の経済大国となった。それが1990年を境に高度成長は停滞期に入った。この30年間は、いくらかの誇張を加えれば、ゼロ

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日中首脳会談で大東亜戦争を語れるか(2) ―『保守と大東亜戦争』を読んで考える―

著者: 半澤健市

 公平を期するために、林健太郎の例を挙げておく。林健太郎(1913~2004)はドイツ近現代を専門とした歴史学者で、マルクス主義から出発したが次第に離れていった。東大全共闘と強気に対決した伝説の人である。東大総長も務めた

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日中首脳会談で大東亜戦争を語れるか(1) ―『保守と大東亜戦争』を読んで考える―

著者: 半澤健市

 靖国神社秋の例大祭への閣僚の集団参拝はピタリと止んだ。安倍晋三が習近平に会いに行くからである。この「ピタリ」ほど、政治家のご都合主義と軽薄な信念を示すものはない。 《リベラル保守による「保守言説」の再評価》  著者中島

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樹木希林の「戦争ドキュメンタリー」 ― ユーモラスな女優の胸底にあるもの ―

著者: 半澤健市

《『戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅』》  2015年秋に「東海テレビ」(東海テレビ放送株式会社・名古屋本社)は、『戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅』という番組を放映した。1本約90分、6本の大作である。

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毅然とした時代批判に感動する  ―斎藤貴男『「明治礼賛」の正体』を読んで―

著者: 半澤健市

《国策「明治150年」への果敢な反論》  ジャーナリスト斎藤貴男(さいとう・たかお、1958~)による70頁の小冊子は 安倍晋三の「明治礼賛」論を粉砕する快作である。 本書『「明治礼賛」の正体』は三章で構成され、第1章で

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世界のポピュリズムへ新論点を提起 ―真鍋弘樹『ルポ 漂流する民主主義』を読む―

著者: 半澤健市

本書は、日本人ジャーナリストによる世界大の「民主主義崩壊」―正確には「崩壊の危機」―の報告である。朝日新聞記者の真鍋弘樹(まなべ・ひろき、1965~)は、今世紀初頭から現在まで,日本本土・沖縄・米国各地・欧州を経巡った。

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犬養毅の5・15をめぐる知的対話 ―保阪正康『昭和の怪物 七つの謎』を読んで―

著者: 半澤健市

 ノンフィクション作家保阪正康(ほさか・まさやす、1939~)は、過去半世紀近く、インタビューと文献渉猟によって「昭和史」を書き続けてきた。しかし「昭和」も遠くなり、「平成」もあと一年半で終わる。今この作家は、なお新作を

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1968年は何処へいった(4) ―闘争当事者の発言を読む―

著者: 半澤健市

 前回までの1968年論は研究者の冷静な分析であった。同時代の当事者の発言を知りたい。それで『ピープルズ・プラン』誌の80号(2018年春号)の特集「再考 1968」から対談「『1968年』・『全共闘』反乱とは何か」を紹

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1968年は何処へいった(3) ―『思想』の鼎談を読んで考えたこと―

著者: 半澤健市

 前二回で「提起と鼎談」(以下「鼎談」)の紹介をした。 今回は、その評価と「私にとっての1968年」について述べたい。 《違和感の理由を挙げると》  鼎談を読んで、研究者3名の分析と発言に大いに啓発された。 客観的で俯瞰

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