先週は、Wirtschaft Wocheの記事のせいで気分が悪くなってしまったが、今週はそんなにひどい記事には出会わなかった。勿論、だからといってドイツの態度が変化したわけではない。ヨーロッパからは遠い極東の島国にいる
本文を読む脇野町善造の執筆一覧
周回遅れの読書報告(その11)
著者: 脇野町善造東京新聞(2010年6月25日夕刊)で辺見庸がタブッキの「インド夜想曲」の映画版を材料にして記憶のいい加減さを巡る興味深いエッセーを書いている。須賀敦子が訳した『インド夜想曲』は私も知っていた。辺見はこの映画版をかつて
本文を読む周回遅れの読書報告(その10)
著者: 脇野町善造「人には添うて見よ」という。本について言えば、「本は最後まで目を通して見よ」ということになろうか。「添うて見」ても詰まらない人間であることもあるし、最後まで読んでみても面白くもなんともない本であることもある。しかもその確
本文を読む「火事場泥棒」を公言するということ──先週の新聞から(7)
著者: 脇野町善造読めばすぐにわかることだが、「先週の新聞から」としているものの、話題は国際金融に限定している。それが精いっぱいで、他の事には手が回らないというが理由である。 だから、本当はここで書くようなことではないのだが、12月9
本文を読む「ドイツのヨーロッパ」と「囚われ人スペイン」──先週の新聞から(6)
著者: 脇野町善造世界金融に関する新聞記事を読むことを目的にしたこの報告を開始したのは先月初めのことであった。その頃、世界金融の話題の中心となっていたのは、アメリカの金融緩和とドルの下落、人民元の為替操作であった。しかし、いつの間にか関
本文を読む周回遅れの読書報告(その9)
著者: 脇野町善造不思議な小説を読んだ。文庫版が出てすぐに買ったと書きこんであるから2003年の暮れには入手していたことになる。それから6年半、この本を手にすることはほとんどなかった。ずっと、本箱の片隅に放っておいた。小説のモデルが産経新
本文を読む周回遅れの読書報告(番外)
著者: 脇野町善造これまでこの報告で新刊を取り上げたことはない。新刊の書評は様々なメディアでなされているし、この報告を使ってそれらを読むことを薦めるつもりは毛頭ないからだ。しかしその著者がもう少し生きていて欲しかった人間で、その死去が残
本文を読むドイツはユーロ解体の処刑人か、それとも火事場泥棒か──先週の新聞から(5)
著者: 脇野町善造11月22日付けのGuardianやSpiegel(online版)は、アイルランドの経済危機が同国の政治的動揺をもたらしていると伝えている。Spiegelは同時に、アイルランドの危機の評価を巡るヨーロッパ各国の微妙な
本文を読む周回遅れの読書報告(その8)
著者: 脇野町善造読書報告とは通常は「読んだ本」に関する報告のことをいう。その限りにおいて、今回の報告は「読書報告」とは言い難い。これは、ある本がいまだに読めないでいる報告である。話は10年以上前に遡る。1998年の秋、「こぶし書房」の代
本文を読む教科書的知識と空文句──先週の新聞から(4)
著者: 脇野町善造大昔に読んだ国際金融の教科書では、次の三つを同時に達成することは出来ないとされていた。これは納得できるし、今までこのことを否定する言説を聞いたことはない。 ア 為替レートの安定(あるいは為替レートの固定) イ
本文を読む周回遅れの読書報告(その7)
著者: 脇野町善造この報告の(その1)に日本経済新聞を読まなくなったこと、それと同時に読む本も古い本が多くなったことを書いた。それは読み手である私が「古い人間」となりつつあることを意味している。しかし、古い本には新しい本にはない楽しみも
本文を読む「通貨戦争」のもう一つの側面──ドイツの対米批判と保護主義の亡霊
著者: 脇野町善造ソウルでのG20は案の定、実質的な進展はないままにおわった。あらかじめ想定されていた失敗あるいは分裂ということになるのであろうか。そうなると、こういう事態を招いたのは誰か、ということに関心が行くのは当然のことである。F
本文を読む11月6日に京都で何が起きたのか──朝日が伝えなかったこと
著者: 脇野町善造のっけからまたWall Street Journal(WSJ)の記事を引くことになる。次のものは、11月8日の同紙の記事である。 京都市で5、6の両日開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会合で、ガイトナ
本文を読む周回遅れの読書報告(その6)
著者: 脇野町善造民主党の高速道路政策がフラフラしている。フラフラしているのは、高速道路政策に限るわけではないが、高速道路については振幅が大き過ぎる。『文藝春秋』の2010年6月号に猪瀬直樹が「小沢の狙いは道路公団の復活だ」という批判記
本文を読むジャーナリズムでわからないこと──慶州G20の共同声明を巡って
著者: 脇野町善造2010年8月14日付けで、「海の大人」氏が「朝日新聞がつまらない」というタイトルで、朝日新聞は「金融が世界を支配する時代に、とうとう、『朝日を読んでも世界金融はわからない紙面構成に改定』したのだ」という記事を載せている
本文を読む周回遅れの読書報告(その5)
著者: 脇野町善造前回に続き、物置に放置しておいてネズミがかじり残した古い本の話。ネズミがかじったのはハードカバーの本が比較的多かった。製本に使われている糊をかじったからであろう。ただ、一番ひどくかじられていたのはハードカバーの本ではな
本文を読む周回遅れの読書報告(その4)
著者: 脇野町善造初版本とか署名本とかの稀覯本というものにほとんど興味はない。中身が分かればそれで充分だと考えている。初版で読もうが、全集や文庫本で読もうが、何も差はないと思っていた。しかし、それはどうも違うのではないかと、ごく最近思う
本文を読む周回遅れの読書報告(その3)
著者: 脇野町善造なぜ本を読むかという質問は愚問であろう。報告(その2)で紹介したモームは『要約すれば』で「好奇心と知識欲とから」本を読んだとしている。もっともモームは、読書が必要欠くべからざる人間にとっては、哲学が「最も変化の多い、最も
本文を読む周回遅れの読書報告(その2)
著者: 脇野町善造数ヶ月前に編集委員長から「会員の投稿数が極めて少ない。ちきゅう座の会員ならば少なくとも一ヶ月に2、3冊の本は読んでいるのだろうから、その書評を書いて投稿することくらいはできるはずだ」という手厳しい批判を受けた。確かに月
本文を読む周回遅れの読書報告(その1)
著者: 脇野町善造日本経済新聞を読まなくなってから随分と時間が経った。読むといっても経済紙として読んでいたわけではない。経済紙としての同紙には1997年の夏に愛想が尽きた。1997年の年初は、世界経済に関してはほとんどの専門家、専門誌紙が
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