野上俊明の執筆一覧

10/6 英紙ガーディアンの論説から Is Rohingya persecution caused by business interests rather than religion? ロヒンギャ迫害の背景に、宗教・民族的要素よりも経済的利害のより強い働きをみる

著者: 野上俊明

筆者のサスキア・サッセンによれば、ロヒンギャ危機に対して宗教・民族紛争(コミュナル紛争)という言い方は事柄全体の一部しか言い表していない。紛争の背景にあり危機をつくりだしているのは、小土地所有の農民などから土地を強奪する

本文を読む

ミャンマー人のロヒンギャ排斥感情の底にあるもの

著者: 野上俊明

 私の所属する日本人とミャンマー人の合同の組織では、月一回の定例会を持ちます。先月の会議では期せずしてロヒンギャ問題が話題になりました。この問題では二年ほど前、ロヒンギャという用語をNHKが使っていることに抗議する声明に

本文を読む

コミュナル紛争再考 ― 在日ミャンマー人の言説に触発されて

著者: 野上俊明

 ロヒンジャ問題が国際社会での重大イッシュ—化したためでしょう、日ごろ日本の市民社会向けに政治的な言説をあまりしない在日のミャンマー人の意見が、SNSに載るようになっています。それの最大公約数的意見は、ロヒンジャ問題には

本文を読む

NLD政府の反腐敗キャンペーン、および新党結成の動きについて(上)

著者: 野上俊明

 サプライズといっては失礼かもしれませんが、内部批判・自己批判の習慣のないようにみえたミャンマーの政治世界で、めずらしくも自分たちに厳しい方針提起が行われました。イラワジ紙によれば、6/24,25に開かれたNLD中央執行

本文を読む

菅野完「日本会議の研究」 ― 68世代としての読み方 ―

著者: 野上俊明

 本書は刊行からすでに一年を経過しており、世評も定まっておりいまさら書評でもないでしょうから、世代的回顧の視点から若干の論評を試みることにします。  著者は本書を挙げて安倍内閣の憲法改正に収斂するウルトラ・ナショナリズム

本文を読む

イラワジ紙主筆、久々の論説から思うこと ― 外来と土着との相克と克服 ―

著者: 野上俊明

<チョウゾワモー、久々に健筆をふるう>  亡命先のチェンマイで1992年に反体制新聞「イラワジ」(ビルマ語、英語)を立ち上げた88世代のアウンゾー(その後弟のチョウゾワモーが加わる)、軍部独裁時代からテインセイン政権時代

本文を読む

民主化勢力の立て直しが急務 - 期待と失望のNLD政権 一年 -

著者: 野上俊明

 ほとんどあらゆる国内外のメディアは、スーチー政権のこの一年間の実績に対して厳しい評価を下しています。内戦終結のための和平交渉、宗教紛争―わけても国際社会から厳しい批判を浴びたロヒンジャ問題、一般国民の生活向上、言論の自

本文を読む

マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (6)

著者: 野上俊明

Ⅳ 社会活動家として東洋と西洋の統合を体現する  マ・ティーダは医者であり小説家であり社会活動家であるという、ミャンマー民主化運動が生んだ多彩な側面を持つ稀有な人格です。医療技術を手に慈悲という東洋的ヒューマニズムに基づ

本文を読む

マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (5)

著者: 野上俊明

<試論的考察―マ・ティーダの生き方が示す四つの可能性> Ⅰ上座部仏教の可能性を拡げる  マ・ティーダは、ミャンマー人の道徳的な基礎となっている戒律遵守※の首尾一貫した生き方を発展させる複数の方向性を示唆しています。※最も

本文を読む

マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (4)

著者: 野上俊明

<上座部仏教に由来する道徳的世界観―近代的世界観との比較>  前近代社会における世界観では、存在(何があるか ザイン)と価値規範(いかにあるべきか ゾレン)の区別がなく、すべて(自然、社会)が人間の価値観念によって浸潤さ

本文を読む

マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (3)

著者: 野上俊明

<ヴィパッサナー瞑想による解脱をめざして>  正直私は上座部仏教の信者でもありませんし、瞑想の何たるかも実際感覚としてよく分かりません。したがってマ・ティーダの瞑想法実践の適否も判断できません。ただ結果からみて、仏法への

本文を読む

マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (2)

著者: 野上俊明

<総選挙勝利と投獄>  1990年5月に実施された総選挙でNLDは圧勝しましたが(392/485議席)、軍事評議会SLORCは前言を翻して政権移譲を拒否、民主化勢力は徹底的に弾圧されて冬の時代に入ります。スーチー女史、テ

本文を読む

マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (1)

著者: 野上俊明

 私たちが優れた政治的自伝に期待するものは、著者の功績がつまびらかになることはもちろんですが、それ以上に著者がどれだけ生きた時代の証言者になっているかということです。時代証言としての自伝の意義は、著者と同世代人に対しては

本文を読む