――八ヶ岳山麓から(323)―― この夏はあまり良いことはなかった。 梅雨の長雨のために日光が足りず、ブロッコリーやセルリー(セロリー)、モロコシ(トウモロコシ)の成長が遅れ、目方が市場の規格に達しない「はねだし」が続出
本文を読む阿部治平の執筆一覧
対中国外交はまるごとアメリカ追従で良いか
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(322)―― 最近の米中関係で画期的なできことは、ポンペオ国務長官が7月23日にニクソン米大統領図書館でおこなった演説である。彼は、習近平主席は全体主義者だとか、中国は専制支配を世界に広げているとかと
本文を読む「中国は社会主義か」という討論について
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(321)―― 昨年12月、京都現代中国研究所とかもがわ出版共催で、「中国は社会主義か」というシンポジウムが京都で開かれた。討論の主題は、中国を経済社会構成体としてどうとらえるか、社会主義とか資本主義と
本文を読むモンゴル語を失うモンゴル人
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(320)―― このほど、中国内モンゴル自治区では、2020年第2学期(9月?)からいくつかの市や旗(モンゴル人地域の行政単位で中国本土の県にあたる)において学校教育のすべてを「国家通用語」(=漢語すな
本文を読む『チベット民族文化辞典』の刊行をたたえる
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(319)―― このほど、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所から『チベット牧畜文化辞典』が刊行された。この辞典は言語学・文化人類学・歴史学・生態学・農学にわたる日本人とチベット人研究者の共同研
本文を読む中印国境紛争が示唆するもの(続)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(318)―― https://chikyuza.net/wp-content/uploads/2020/07/c7ad9f1b026d280d62ae66e544c99bb9.pdf 初出:「リベラル
本文を読む中印国境紛争が示唆するもの
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(317)―― 6月18日AFP通信は、インド軍の発表によるとして、6月15日に標高約4500メートルのヒマラヤ山中で、インド軍と中国軍の間で数百人の衝突が発生し、インド側には少なくとも20人の死者が出
本文を読む遠ざかった夢、左翼衰弱の理由
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(316)―― いま日本の学生の多くは、自分のことに精一杯のためか、韓国や台湾の学生に比べて社会の動きに関心がうすいように思う。だが、第二次大戦敗戦後からおよそ30年間は、学生たちは政治の反動と軍国主
本文を読む「護郷隊」とはだれのことか
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(315)―― このほど、長野県駒ケ根市の旧赤穂町・旧中沢村で太平洋戦争の末期、日本軍が住民の思想傾向を探っていた文書が見つかった。同市博物館の専門研究員小木曽真一さん(71)の調査によるものだ。 発
本文を読むメディアだって恥ずべきことをやっている――黒川スキャンダルを巡って
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(314)―― 1月31日、安倍内閣は黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長を決定した。検察庁法改正案が国会に提出され、5月に審議に入った。これに対して黒川人事を「後づけ」する意図が見え見えだとして、
本文を読むコロナ明け、公立学校はボロボロになる
著者: 阿部治平——八ヶ岳山麓から(313)—— 先日江澤隆輔氏の『先生も大変なんです』(岩波書店、2020・3)を読んだ。結論を一口で言えば、これは大学生に読まれれば読まれるほど、教員志願者は減るであろうという本である。 書かれている
本文を読む重い現実、軽い言葉
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(312)―― 「線維筋痛症」という膠原病の一種にかかり、1月から今日まで4ヶ月激しい痛みとときどき起こる高熱に悩まされ、入退院を繰返している。カラマツ林の中の一人暮らしの苦しさをいささかでもまぎれさせ
本文を読む「中国のすさまじい軍拡を警戒せよ」―右派ジャーナリズムの見方
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(311)―― トランプ米大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだのに対して、中国外交部報道官がアメリカ由来の可能性もあるとして噛みついたことがあった。いまも双方けんか腰だが、これは一時的現
本文を読むチベット高原の3月は……
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(310)―― はじめに 地球規模で新型コロナウイルス感染が猖獗をきわめ、東京オリンピックが吹っ飛ぶかというこの時期に、チベットがどうだこうだというのはおかしいと思うものの、毎年3月が来るとどうしても何
本文を読む新型コロナウイルスの感染拡大がもたらしたもの
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(309)―― 中国でも日本同様、新型コロナウイルスの感染拡大が庶民の経済に大きな打撃を与えている。なかでも最下層の農民工(出稼ぎ農民)の生活は深刻な影響を受けている。 3月12日「財新」ネットは、ある
本文を読む新型コロナウイルスはチベット高原にも
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(308)―― WHOによれば、中国の新型コロナの感染は山を越した、今や最大の懸念は日本・韓国・イラン・イタリアにあるという。最近の中国は2月下旬から規制が緩んで、省境地帯以外の高速道路や郷村の検問所は
本文を読む元自衛隊高級将校の「安全保障論」を読む
著者: 阿部治平—八ヶ岳山麓から(307)— 著者が元陸将という渡邊隆著『平和のための安全保障論――軍事力の役割と限界を知る』(かもがわ出版 2019・12)を読んだ。 新型コロナウイルス問題が発生するまでは、なにかというと自衛隊の退職
本文を読む新型肺炎の蔓延について思うこと
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(306)―― 2月7日、新型コロナウイルス患者の治療中に感染した武漢市中心病院の眼科医が亡くなったという発表があった。医師の名は李文亮という。 それ以前の1月1日、国営中央テレビは「原因不明の肺
本文を読む美しい言葉で飾られた共産党大会だったが(つづき)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(305)―― 共産党の大会はいつもシャンシャン大会で、私は支持者としてそれが残念である。今回の共産党大会でも、議論されてしかるべきことが、そうされなかった。そのいくつかについて意見と疑問を述べたい。
本文を読む美しい言葉で飾られた共産党大会だったが
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(304)―― 1月15日から18日まで日本共産党の28回大会があった。 この間「しんぶん赤旗」は、「大志と決意」とか「笑いと感動」といった言葉でいっぱいだった。だが今大会は、現行の「2004年綱領」の
本文を読む弁護士らを一斉摘発 ―くり返される「大一統」の呪縛
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(303)―― 中国各地で昨年12月下旬以降、人権派弁護士や活動家ら10人以上が公安当局に摘発されていたことがわかった。去る6日の『信濃毎日新聞』に載った共同電によると、拘束者の大半は同月開かれた国政を
本文を読むサハロフ賞受賞、されど受賞者の消息は不明
著者: 阿部治平12月18日、欧州連合(EU)の欧州議会で、人権や民主主義を守る上で功績のあった人に贈る「サハロフ賞」の授賞式があった。今年の受賞者、ウイグル族の経済学者イリハム・トフティ氏(50)は、中国で国家分裂罪に問われて収監され
本文を読む〈賄賂〉のある暮らしについて
著者: 阿部治平—八ヶ岳山麓から(301)― 以下の文章を読んで、どこの国のことかと問われたら、読者の皆さんはどうお答えになるだろうか。 (1)警察官に賄賂を要求されるのは、交通規則違反に対してだけではない。免許を取るにも、自動車教習所
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(7)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(300)―― ここでは皇帝に匹敵する権力と階級闘争の論理が少数民族の衰退を導いた経過を見る。 反右派闘争の始まり 1956年2月、ソ連共産党20回大会でのフルシチョフ首相のスターリン批判は世界に大きな
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(6)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(299)―― チベット人は現行の行政区分とは別に、チベット人地域を3区分する。ラサやシガツェを中心とする地域はウ・ザンである。カムは現在のチベット自治区のチャムド地区と四川省甘孜州、雲南省徳欽州、それ
本文を読む周回遅れのランナー - 日本共産党の綱領改定案を見て -
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(298)―― 11月6日、日本共産党(以下日共という)の綱領改定案が発表された(日刊赤旗)。綱領は国家でいえば憲法である。志位委員長の党中央委員会への提案は、説明を入れて6ページに及ぶ長いものだが、そ
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(5)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(297)―― いわゆるチベット叛乱は、農牧民のレベルでは、民族の自決とか高度の自治を要求するものではなかった。初めは「民主改革」への抵抗である。こののちは中共軍の殺人と破壊からの逃亡である。 パンチェ
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(4)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(296)―― チャムドへの進軍 1959年3月、チベットの王にしてチベット仏教最高位の僧ダライ・ラマはインドに亡命した。かくしてこの政教一致の国家は消えたが、その画期となったのはラサ政府の拠点チャムド
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(3)
著者: 阿部治平すべては毛沢東から始まった 1949年の中華人民共和国成立後から1953年までに、中国内地(漢人地域)では農地改革が完了した。このとき、すでに農業生産合作社(のちの生産隊)が試行されていたが、それは期待通りに経営されてい
本文を読む少数民族から見た中国革命70周年(2)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(294)―― 2019年10月1日は中国共産党にとって建国70周年だったが、少数民族にとっては過酷な日々の始まりの記念日だった、と前記(八ヶ岳山麗から(294))で書いた。とりわけチベット人にとっては
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