――八ヶ岳山麓から(293)―― 1949年10月1日、毛沢東は北京天安門楼上で、中華人民共和国の成立を宣言した。70年後のことし2019年10月1日、習近平国家主席はこれを記念して盛大なパレードを催した。 しかしモンゴ
本文を読む阿部治平の執筆一覧
中国経済をどう見るか
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(292)―― この数年「中国経済は中所得国の罠にはまり始めた」「近々崩壊する」といった議論が論壇に繰り返し現れている。だが中国経済は減速したとはいえ、昨年もバブルははじけず、破綻もしなかった。だれが見
本文を読む敗北を「勝利」と思い込む革新派
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(291)―― 7月の参院選から3ヶ月たった。第4次安倍内閣の改造も終わった。いまさら参院選について何か言うことは気が引けるが、私は野党連合・国民民主党の羽田雄一郎氏当選のために、乏しい年金の中から(ほ
本文を読む中国の知識人は何を考えているか
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(290)―― 今年1月、元北京大学教授鄭也夫が「中国共産党は歴史の舞台から退場を」という趣旨の主張を公開したというニュースがあった(信濃毎日新聞2019・1・9)。習近平政権の思想統制のなか、リベラル
本文を読む高校では遅すぎる――低学力問題解決のために
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(289)―― 近刊の朝比奈なを著『ルポ・教育困難校』(朝日選書2019・7)は、高校の低学力問題に焦点を当てた著作である。氏はいわゆる研究者ではなく、高校・大学で低学力問題にずっと取り組んできた現場教
本文を読む新疆ウイグル地区を旅してきた ― 絶滅危惧民族のいま
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(288)―― 初めて中国新疆ウイグル自治区を友人たちと訪れた。 出発前から私はかなり緊張していた。中国は、新疆で少数民族約100万人を拘束し収容施設に入れている、という国際的非難を浴びているからである
本文を読む1970年代に社会主義への道を批判した市井人(3)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(287)―― 以下は前々回、前回に引き続き、畏友中村隆承(1934~83)の遺稿から、1970年代に既存の社会主義の再生と、資本主義国における革命の可能性を考察した部分を要約し編集したものである。(中
本文を読む1970年代に社会主義への道を批判した市井人(2)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(286)―― 前回に続き、中村隆承(1934~83)の遺稿から彼のレーニン論を紹介したい。 (前回同様、中村隆承はL、( )内は注、——以下は阿部のメモ) 日本では、80年代になっても「レーニン主義と
本文を読む1970年代に社会主義への道を批判した市井人(1)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(285)―― 畏友中村隆承(Lと略記)は、1983年に49歳の若さで世を去った。 Lは1956年東京大学経済学部卒業後、志を抱いて農協の全国機関に就職した。世間的にはエリートのはずであったが、さほど出
本文を読む文化大革命 ― 最終勝利者は官僚だった
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(284)―― 中国文化大革命とはいったい何だったか。これについて比較的最近になって中国人ジャーナリストによる90万字という大著の、抄訳編集本があらわれた。 ――それは、毛沢東、造反派、官僚集団が織りな
本文を読むこのままだと次も負けるぞ共産党
著者: 阿部治平私は、保守のリベラル派から左の政党なら時と場合でどの政党でも支持する、という締まりのない人間だが、この10年くらいは共産党の支持者であった。わが村に共産党しか左翼政党がないからだ。 このたび、その共産党の志位委員長による
本文を読む競馬から社会変化に至るまで、近未来予測は当たらない
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(282)―― 私はまもなく80歳になるが、今までの人生をふりかえって、もっとも強烈なショックを受けたのは、1989年の東欧の動揺から91年のソ連崩壊までの社会主義世界体制の消滅である。これは全く思いも
本文を読む選挙における左翼敗退の理由—わが村の場合
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(281)―― 地方選挙の都道府県議・政令市議選は、保守派の勝利に終わった。 公明党が343から337と停滞したものの、自民党当選者は前回1459から1485へ増加したからである。立憲・国民両党は合わせ
本文を読む農業の崩壊、それとどう闘うか
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(280)―― 2017年夏、わが村の野菜栽培を揺るがすニュースが流れた。一部の畑でブロッコリーが黄色くなって枯れ、商品として市場に出せなくなったのである。原因は作物に寄生するテンサイ・シスト線虫である
本文を読む教育は国の基とはいうけれど
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(279)―― 最近つづけて教育に関する新刊本を2冊読んだ。 1冊目は小川洋著『地方大学再生――生き残る大学の条件』(朝日新書、2019年3月)である。 著者はさきに、『消えゆく限界大学――私立大学定員
本文を読む日暮れて途遠し ― ダライ・ラマ亡命60年の今
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(278)―― 毎年3月になると、中国では全国人民代表大会(全人代)と全国人民政治協商会議が開かれるから、北京は厳戒状態になる。ところが、私が住んでいた中国西北の青海省も、3月には警察と武装警察と軍隊が
本文を読むある中国通の予言について思うこと
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(277)―― 2008年リーマンショック(世界金融危機)があった。中国政府は4兆元(およそ65兆円)を投下して景気回復を図った。効果は十分にあった。 先進国の経済は一時中国頼りとなり、フランス・サルコ
本文を読む明清帝国の再来か
著者: 阿部治平——八ヶ岳山麓から(275)—— わたしは、中国が従来の20世紀型帝国主義的政策に加えて、近年ますます前近代の明清帝国的ふるまいが露骨になってきたと感じる。 2017年第19回中国共産党大会で、習近平総書記は「新時代の中
本文を読む言わずにはいられない!
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(274)―― ことしの元旦に「リベラル21」編集委員会による「今年は護憲派にとって決戦の年――2019年の年頭にあたって」が掲載された。安倍改憲案を葬るために汗を流そうという趣旨に大いに共感したが、同
本文を読む人口予測から見た中国の近未来
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(273)―― 今日中国の人口を巡っては多くの議論があるが、たいていは少子高齢化を軸に展開している。近藤大介著『未来の中国年表』(講談社現代新書2018・7)もその例にもれないが、こちらは人口の変化を道
本文を読むあの悲劇はなぜおきたか――天安門事件から29年
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(272)―― 『八九六四』という表題にひかれて、安田峰俊著『八九六四』(KADOKAWA、2018年5月)という本を読んだ。「八九六四」は1989年6月4日に北京の長安街と天安門広場で、中国共産党の支
本文を読むわが集落の70周年記念集会で話したこと
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(271)―― 私の住む集落は、先日入植70周年の記念式典と宴会を開いた。 私がいるのは長野県の八ヶ岳西麓の山間集落であるが、歴史は短い。敗戦直後の1948(昭和23)年、古くからの集落すなわち親部落の
本文を読む続・第二のふるさと訪問記
著者: 阿部治平―-八ヶ岳山麓から(270)―- 前回書き残したことを順不同でいくつか書く。 ほめたたえよ 西寧から高速道路で2時間ほどの、チベット人地域チェンザ県の元「千戸」のナンチェンの屋敷へも行った。ここは2度目だった。周囲を二階
本文を読む第二のふるさと訪問記
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(269)―― 中国の西北、青海省の少数民族が多い大学での日本語教育から離れて満7年、日本への留学を支援した学生たちも順次日本で博士の学位を取得し、母国に帰って大学での教職に就くようになった。これを機に
本文を読む偉大な歴史学者、先駆的な左翼だった農民・伊藤富雄の生涯
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(268)―― 長野県の諏訪神社は全国に1万社余りあるという諏訪社の本祠である。諏訪湖をへだてて南北に上社・下社があり、古来の特異な神事が残されていることでも知られている。 宮地直一氏(1886~194
本文を読む柳条湖事件記念日に思ったこと
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(267)―― 今年9月18日の柳条湖事件(「九一八」)記念日は、日本ではどこにも記念行事はないけれども、中国でもあまり盛大ではなかったらしい。瀋陽市の「九一八歴史博物館」で約1000人が参列して記念式
本文を読む暑苦しかったスポーツ界の夏
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(266)―― 夏のはじめ、女子レスリング強化本部長栄和人氏らが斯界の逸材伊調馨選手のトレーニングの場所と機会を奪ったという告発があった。すったもんだのあげく加害者栄氏は辞め、協会理事を解任された。だが
本文を読むある中国論――なんとも奇奇怪怪!
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(265)―― 7月26日付朝日新聞朝刊に、元中国総局長藤原秀人氏の「”礎”失い、迷走続く日中」と題する論評が掲載された。中国の大国主義を指摘し、民主化の課題と日中関係改善の困難
本文を読む「生死はときの運、興亡は天にゆだねよう」―― 習近平批判
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(264)―― 7月24日習近平独裁体制と政治路線を真正面から批判する論文が現れた (https://www.boxun.com/news/gb/pubvp/2018/07/201807260816.s
本文を読む右派ジャーナリストの中国論を読む
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(263)―― このたび、石平・矢板明夫『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた――わが青春の中国現代史』(ビジネス社)を読んだ。著者の石平氏は代表的な右派ジャーナリズム産経新聞の定期寄稿者であ
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