難波田節子の『遠ざかる日々』(鳥影社)は、読者をひきこむ、読ませる小説集だ。自伝的な連作短編ではない。こむずかしいテーマと格闘する小説群でもない。気どりのない文章で描かれた、6編の小説集である。 わたしはいっきに読み
本文を読む阿部浪子の執筆一覧
リハビリ日記Ⅳ 49 50
著者: 阿部浪子49 大久保友紀子のトラウマ 買い物の帰り道、タマエさんの家の前までくると、バラの花が目にとびこんできた。大きな茶色のかめに植わった1本の木に、赤い夏バラがいっぱい咲いている。とてもあざやかだ。ここはサッちゃんの実家で
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 47 48
著者: 阿部浪子(文芸評論家)47 有賀喜代子と娘、内田良子 庭木のツツジの花が4月になっても咲きそろわない。ぽつり、ぽつりと咲いている。木の手入れを怠っているせいだろうか。赤紫色の花びら。1つでも開花すれば、あざやかでうつくしい。早朝がたのしみだ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 45 46
著者: 阿部浪子(文芸評論家)45 岩藤雪夫のはがき 春のおとずれを告げるアオモジの木の花。アオモジは別名、卒業木だそうな。はじめて見るもの。白い小さな花が、枝に連なって咲いている。黄緑の葉たちも、清らかな感じがする。しかしテーブルの上では、その姿
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 43 44
著者: 阿部浪子43 ある小説家の昼下がり 赤いツバキの花が、ホソバの木の間から顔をのぞかせている。緑の葉っぱは1年中つやつやしている。赤い花たちを健気にひきたてている。 寒い日がつづいた。2月17日午後のこと。窓を開ける。おや? 白い
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 41 42
著者: 阿部浪子41 小説家、河野多恵子は悪人か 黄色い果実をつけたカリンの木の下に、白いスイセンの花が咲いている。ほんのり香ってくる。楚々たる姿はうつくしい。冬の白い花は冷たい感じがするけれど、花の中央の黄色い部分は春のあったかさを
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 39 40
著者: 阿部浪子39 平林たい子の『林芙美子』 黄色いチョウが低空をひらりひらり舞っている。晩秋の昼下がりだ。隣家の白いサザンカの花が、今年も咲いた。無垢な白い花びらにピンク色の花びらが混じっている。日を追って、ピンク色が全体に広がっ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 37 38
著者: 阿部浪子37 本多秋五、中野孝次の写真 近所のはるひこさんの家の裏庭には、ミョウガが生えている。10月初旬のこと、わたしは、黄緑の葉っぱのなかに小さな花を見つけた。白い。少し黄色っぽい。かれんだ。ミョウガの花は初めてである。立
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 35 36
著者: 阿部浪子35 高橋泰邦のアドバイス クリエイトへ買い物に行く。途中に、日の差さない空き地がある。青いアサガオの花がすずしげに咲いている。ムラサキツユクサも一面に咲いている。そばに政党の掲示板が立っている。「野党協議で新しい政治
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 33 34
著者: 阿部浪子33 稲葉真弓からの手紙 今年もまた、会館の前のサルスベリの花が咲いた。紅色だ。サルスベリとは、百日紅と書く。初夏から秋まで長いあいだ咲いている。しかしどういうわけか。縁起が悪いといって、わが家の庭にはサルスベリの木は
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 31 32
著者: 阿部浪子31 平林たい子・関係者への取材 8月1日。やっと梅雨が明けた。早朝から、ミンミンゼミの合唱がすさまじい。コロナ禍なんぞ、どこ吹く風か。わが世の夏をうたいまくっている。 近所の畑にカボチャの黄色い大きな花が咲いた。小
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 29 30
著者: 阿部浪子29 平野謙の持論 ナスには紫色の花が咲く。人の心を落ちつける色だ。スイカには? 黄色い花ではなかったか。何十年も見かけていない。 隣家に回覧板をとどける。手に洗面器をもったりえこさんが話しかけてくる。〈カラスにねぇ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 27 28
著者: 阿部浪子27 八木秋子の母子福祉 古井戸の周りにドクダミの花が咲いている。わが家の昔からの変わらぬ風景だ。ドクダミの白い花には、ナツミカンの白い花のような可憐さはない。粗野な感じがする。ドクダミは、生育の盛んな薬草でもある。草
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 25 26
著者: 阿部浪子25 八木秋子の後日譚 さちこさんちの庭は、いま春たけなわである。色とりどりの花たちが咲ききそっている。赤いバラに白いバラ。コントラストがひときわ鮮やかだ。その傍らに、つつましやかなシャクヤクの花。立てばシャクヤク 座
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 23 24
著者: 阿部浪子23 平林たい子の傑作 新座中央通りも、新緑の季節をむかえているだろう。小説家、堀辰雄もめでた、白いコブシの花たち。清楚な姿が目にうかんでくる。志木駅前から新座市役所へつづく20メートル通りが新設されたときから、わたし
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 21 22
著者: 阿部浪子21 2月20日は小林多喜二の命日 あれっ、カワヅザクラだ。遠目にもはなやかで、うつくしい。つえをカタカタさせて、わたしはそのそばまでたどりつく。ソメイヨシノよりも早咲きのサクラである。のりひこさんが河津町で買ってきた
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑲⑳
著者: 阿部浪子⑲作家、佐川光晴さん おりからの強風で、ウメの白い花びらが舞いながら散っている。今年も昨年とおなじ老木から咲きはじめた。浜松特有の強風の音は、来る日も来る日も、鳴りやまない。ぼろ家をガタピシャ、ガタピシャと打ってくる。
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑰⑱
著者: 阿部浪子⑰辺見庸と編集者 米津海岸に沿ってサザンカ通りが東西にのびている。年末のこと。その通りを姪の運転でとおりすぎた。赤い花たちがつぎつぎと目にとびこんでくる。だが、さほどうつくしいとは思わなかった。サザンカの花は、民家の垣
本文を読む書評 『純粋な幸福』辺見庸・著 毎日新聞出版・刊
著者: 阿部浪子辺見庸の詩文集『純粋な幸福』(毎日新聞出版)は、著者の才能と努力のみごとな開花にちがいない。読後、わたしは、鮮烈な印象をうけたのである。 作家、辺見庸の感覚のすべてが、全開している。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、とりわけ嗅
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑮⑯
著者: 阿部浪子⑮上野千鶴子と籠池諄子 わが家にはチャノキが何本かある。白い花びらに黄色い中心部。ツバキの中心部と似ている。ホソバの木々の間から顔をのぞかせるチャノキ。歩行訓練をしながら、その花たちを見つめていた。自転車がとおる。〈さ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑬⑭
著者: 阿部浪子⑬吉田知子の『わたしの恋の物語』 わが家の門(かど)を出ると、空からつよい、あまい香りが降ってきた。おやっ? キンモクセイの木はどこにあるのだろう。見あたらない。ふと、脳裏をよぎった。ダイエー志木店前にキンモクセイの高
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑪⑫
著者: 阿部浪子⑪里村欣三のでかい口 空にむかって、ピンク色のムクゲの花が咲いている。早朝の散歩道だ。木の花はうつくしい。いつ見ても。どの花も。 ついでにファミリーマートに行く。新発売の「焼おむすび」と「北海道ポテトサラダ」と新聞を
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑨⑩
著者: 阿部浪子⑨半藤末利子の『漱石夫人は占い好き』 雑草に混じって、1つ黄色い花が咲いている。名前不詳。身のたけ10センチもない。けなげだ。今夏は猛暑のせいか、わが庭には雑草が一面にはびこっている。むさくるしい。昨夏には見られなかっ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑦⑧
著者: 阿部浪子⑦懐かしい小坂多喜子 あの曲がり角の家の庭に、クレマチスの花が咲いているはずだ。行ってみよう。歩行訓練だ。 7つの白い細長い花びらが、ぴんと外側に伸びている。上品な雰囲気がただよう。紫色のクレマチスも、すてきだった。
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑤⑥
著者: 阿部浪子⑤川端康成の女友達 今年もまた、さちこさんの庭にマツバボタンの花が咲いた。さちこさんが丹精こめて手入れする庭の地面に、這うように咲いた、ピンクと白の花が、かれんだ。マツバは、葉がとがった松葉に似ているからか。ボタンは、
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ③④
著者: 阿部浪子③武蔵野市民学校のこと ナツミカンの小さな、白い花がいっぱい咲いている。新緑の葉はつやつやしている。4月下旬のこと。ナツミカンの花は、清少納言の愛でた木の花のひとつ。花芯は黄色だ。こぶりの木にたくさんの実がなっている。
本文を読む辺見庸Ⅳ―わたしの気になる人⑭
著者: 阿部浪子辺見庸が地下鉄サリン事件の被害者を救助した体験に、わたしは心から注目したい。単に美談としてではない。1995年3月20日、東京の神谷町駅でのことだ。ほとんどの通勤客は、被害者たちをまたぐようにして職場へ急いだ。辺見庸も
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ①②
著者: 阿部浪子①平林たい子の「直す権利」 家電店の花壇にスミレの花がいっぱい咲いている。ファミリーマートで豆大福と「日刊ゲンダイ」を購入した帰り道、わたしは、その可憐な姿にちょっぴり興奮したのだった。でも、なんだか、花の紫色がうすい
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑰⑱
著者: 阿部浪子⑰テレビ出演した辺見庸 庭のウメのつぼみが、2つほころんだ。コケの生えた老木に楚々と咲いた。たしか昨年も、この木から開花したはずだ。地面には、スイセンが凛と咲いている。どちらも、浜松特有の強風にたえつつ、春のおとずれの
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑮⑯
著者: 阿部浪子⑮尾崎豊の父 黄色いチョウが目の前をひらひら舞っている。秋のチョウは、どこか弱々しくて寂しげだ。黄色いカリンの実が、2本のほそい幹にぴたりと身をよせている。おおぶりのが13個も。どうしたら、おいしく食べられるのだろう。
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