57 円地文子のやさしい言葉 フジバカマは秋の七草の1つだ。はじめて見る草である。華やかなものではない。藤色だ。近所のあづえさんが持ってきてくれた。小さい房がいっぱい垂れている。花瓶にいければ甘い香りがする。あづえさん
本文を読む日記の執筆一覧
リハビリ日記Ⅴ 55 56
著者: 阿部浪子55 平林たい子の独立独歩 リハビリ教室の送迎車が小道を行く。この辺りは、幼少時代は一面田んぼだった。今は変貌して小ぢんまりした家、家が並んでいる。ある家の庭に咲いた、白いアオイの花。さわやかだ。子どもたちは田んぼに下り
本文を読むリハビリ日記Ⅴ 53 54
著者: 阿部浪子53 伊藤野枝と八木秋子、同い年の自由人 こんな所に白いヤマユリが咲いている。たった1本。小屋のすみっこに。いつの風が連れてきたのだろう。 8月。連日の「危険な暑さ」に、熱中症警戒アラートが発表された。浜松のふなぎら
本文を読むリハビリ日記Ⅴ 51 52
著者: 阿部浪子51 森まゆみの伊藤野枝のこと リハビリ教室「健康広場佐鳴台南」のテーブルの上には、さまざまの花が咲いている。 いくつもの小さなガラス瓶に、旬の草花がかれんだ。わたしは毎週、わくわくしながらここへやってくる。なかでもグラ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 29 30
著者: 阿部浪子29 平野謙の持論 ナスには紫色の花が咲く。人の心を落ちつける色だ。スイカには? 黄色い花ではなかったか。何十年も見かけていない。 隣家に回覧板をとどける。手に洗面器をもったりえこさんが話しかけてくる。〈カラスにねぇ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 27 28
著者: 阿部浪子27 八木秋子の母子福祉 古井戸の周りにドクダミの花が咲いている。わが家の昔からの変わらぬ風景だ。ドクダミの白い花には、ナツミカンの白い花のような可憐さはない。粗野な感じがする。ドクダミは、生育の盛んな薬草でもある。草
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 25 26
著者: 阿部浪子25 八木秋子の後日譚 さちこさんちの庭は、いま春たけなわである。色とりどりの花たちが咲ききそっている。赤いバラに白いバラ。コントラストがひときわ鮮やかだ。その傍らに、つつましやかなシャクヤクの花。立てばシャクヤク 座
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 23 24
著者: 阿部浪子23 平林たい子の傑作 新座中央通りも、新緑の季節をむかえているだろう。小説家、堀辰雄もめでた、白いコブシの花たち。清楚な姿が目にうかんでくる。志木駅前から新座市役所へつづく20メートル通りが新設されたときから、わたし
本文を読むリハビリ日記Ⅳ 21 22
著者: 阿部浪子21 2月20日は小林多喜二の命日 あれっ、カワヅザクラだ。遠目にもはなやかで、うつくしい。つえをカタカタさせて、わたしはそのそばまでたどりつく。ソメイヨシノよりも早咲きのサクラである。のりひこさんが河津町で買ってきた
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑲⑳
著者: 阿部浪子⑲作家、佐川光晴さん おりからの強風で、ウメの白い花びらが舞いながら散っている。今年も昨年とおなじ老木から咲きはじめた。浜松特有の強風の音は、来る日も来る日も、鳴りやまない。ぼろ家をガタピシャ、ガタピシャと打ってくる。
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑰⑱
著者: 阿部浪子⑰辺見庸と編集者 米津海岸に沿ってサザンカ通りが東西にのびている。年末のこと。その通りを姪の運転でとおりすぎた。赤い花たちがつぎつぎと目にとびこんでくる。だが、さほどうつくしいとは思わなかった。サザンカの花は、民家の垣
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑮⑯
著者: 阿部浪子⑮上野千鶴子と籠池諄子 わが家にはチャノキが何本かある。白い花びらに黄色い中心部。ツバキの中心部と似ている。ホソバの木々の間から顔をのぞかせるチャノキ。歩行訓練をしながら、その花たちを見つめていた。自転車がとおる。〈さ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑬⑭
著者: 阿部浪子⑬吉田知子の『わたしの恋の物語』 わが家の門(かど)を出ると、空からつよい、あまい香りが降ってきた。おやっ? キンモクセイの木はどこにあるのだろう。見あたらない。ふと、脳裏をよぎった。ダイエー志木店前にキンモクセイの高
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑪⑫
著者: 阿部浪子⑪里村欣三のでかい口 空にむかって、ピンク色のムクゲの花が咲いている。早朝の散歩道だ。木の花はうつくしい。いつ見ても。どの花も。 ついでにファミリーマートに行く。新発売の「焼おむすび」と「北海道ポテトサラダ」と新聞を
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑨⑩
著者: 阿部浪子⑨半藤末利子の『漱石夫人は占い好き』 雑草に混じって、1つ黄色い花が咲いている。名前不詳。身のたけ10センチもない。けなげだ。今夏は猛暑のせいか、わが庭には雑草が一面にはびこっている。むさくるしい。昨夏には見られなかっ
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑦⑧
著者: 阿部浪子⑦懐かしい小坂多喜子 あの曲がり角の家の庭に、クレマチスの花が咲いているはずだ。行ってみよう。歩行訓練だ。 7つの白い細長い花びらが、ぴんと外側に伸びている。上品な雰囲気がただよう。紫色のクレマチスも、すてきだった。
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ⑤⑥
著者: 阿部浪子⑤川端康成の女友達 今年もまた、さちこさんの庭にマツバボタンの花が咲いた。さちこさんが丹精こめて手入れする庭の地面に、這うように咲いた、ピンクと白の花が、かれんだ。マツバは、葉がとがった松葉に似ているからか。ボタンは、
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ③④
著者: 阿部浪子③武蔵野市民学校のこと ナツミカンの小さな、白い花がいっぱい咲いている。新緑の葉はつやつやしている。4月下旬のこと。ナツミカンの花は、清少納言の愛でた木の花のひとつ。花芯は黄色だ。こぶりの木にたくさんの実がなっている。
本文を読むリハビリ日記Ⅳ ①②
著者: 阿部浪子①平林たい子の「直す権利」 家電店の花壇にスミレの花がいっぱい咲いている。ファミリーマートで豆大福と「日刊ゲンダイ」を購入した帰り道、わたしは、その可憐な姿にちょっぴり興奮したのだった。でも、なんだか、花の紫色がうすい
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑰⑱
著者: 阿部浪子⑰テレビ出演した辺見庸 庭のウメのつぼみが、2つほころんだ。コケの生えた老木に楚々と咲いた。たしか昨年も、この木から開花したはずだ。地面には、スイセンが凛と咲いている。どちらも、浜松特有の強風にたえつつ、春のおとずれの
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑮⑯
著者: 阿部浪子⑮尾崎豊の父 黄色いチョウが目の前をひらひら舞っている。秋のチョウは、どこか弱々しくて寂しげだ。黄色いカリンの実が、2本のほそい幹にぴたりと身をよせている。おおぶりのが13個も。どうしたら、おいしく食べられるのだろう。
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑬⑭
著者: 阿部浪子⑬コロムビア・トップの二男 赤色のヒガンバナの花をみると、不吉な感じがする。なぜだろう。いつもの散歩道をいくと、田んぼのあぜに何本か咲いていた。20年も前の10月、まきこさんと埼玉県日高市内のヒガンバナの群生地をたずね
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑪⑫
著者: 阿部浪子⑪ふたたび、運命鑑定家と向田邦子のこと しずかな田舎道を歩いていると、花の香りがしてくる。草の匂いもする。化学肥料の匂いもする。ある家の庭までくると、あまい香りがしてきた。濃緑のおおきな葉っぱのあいだから、うすい褐色の
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑨⑩
著者: 阿部浪子⑨運命鑑定家と出会う 早朝からセミたちの声がかしましい。きょうも猛暑になりそうだ。外歩きに出かける。田んぼ道をいくと、ツユクサがかたまって咲いていた。昼になるとしぼんでしまう雑草だが、うすい青色の花たちは、朝のすがすが
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑦⑧
著者: 阿部浪子⑦学問に生きる わが家の庭には、何本ものクチナシの木が植えてある。いま白い花たちが咲きそろう。雑然たる庭には、クチナシの楚々としたたたずまいが一段とうつくしい。ハナミズキ、ユリ、ヤマボウシと、白い花の季節だ。 発病し
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ⑤⑥
著者: 阿部浪子⑤娘はひとり何役? 3月。きょうは暖かい日だ。冬眠から覚めた気分だろうか。ぽかぽか陽気にさそわれてマクドナルドへ出かける。あまりの寒さに手足がかじかんで、徒歩の遠出はひかえてきた。途中2か所のバス停のベンチで休んだ。マ
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ③④
著者: 阿部浪子③タウン情報誌の編集長 雨のあいまを縫って、わたしは地元の新津小学校へむかった。風がつよくて吹きとばされそうになる。校門の右側に、むかしはでっかい富士山が見えた。いまは見えない。きょうは衆議院議員選挙の投票日だ。入場券
本文を読むリハビリ日記Ⅲ ①②
著者: 阿部浪子①孫育て 真夏日の午前、わたしはS病院のリハビリ室をたずねた。7か月ぶりだった。S病院は浜松市内にある、リハビリテーション専門の病院だ。脳内出血を発症してから1年2か月が経過していた。わたしは、S病院を退院してから介護
本文を読むリハビリ日記Ⅱ ⑤⑥
著者: 阿部浪子⑤ひとりごとの反抗 浜松祭りはすでに終わった。そとは木々が青葉若葉に変身して、まばゆいばかりだ。どこか公園を散策したい。しかし、わたしはまだ、囚われ人みたいなもの。 だれだろう。〈ひずるしいから、カーテンを引いてく
本文を読むリハビリ日記Ⅱ ③④
著者: 阿部浪子③音声入りパソコンと作品集 窓ガラスから田んぼが見える。水をたたえて、すがすがしい。苗が日ごとに成長していく。もう、こんな季節なのか。しばらく、わたしはつえを左手にたたずんでいた。毎朝、この場所にきて、かかと上げの練習
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