2年前、ブレイディみかこさんの本『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、2019)を読み、感想を本ブログに書いた(2019.12.16掲載)。それは、労働者と移民と性的マイノリティが多い町ブライトンの、
本文を読む鎌倉矩子の執筆一覧
『ぼくはイェローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだ
著者: 鎌倉矩子―平成おうなつれづれ草(11)― ブレイディみかこ著『ぼくはイェローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、2019)を読んだ。新潮社の月刊情報誌『波』に連載されていたものだが、最初の16回分が単行本化されたと知り、もう
本文を読む男と女、実はくっきりとは分けられない?
著者: 鎌倉矩子―平成おうなつれづれ草(10)― この夏の終わりは雨が多く、気分の晴れない日が続いた。ふとおもいついて、映画『おくりびと』のDVDを観た。その中にちょっと、不意打ちを喰らうシーンがあった。 おくりびと本木雅弘が若い女性の
本文を読むひとすじに生きて尊し
著者: 鎌倉矩子―平成おうなつれづれ草(9)― ことし9月半ば、友人Nが亡くなった。彼は私の小学校時代の同級生である。 私がNに再会したのは今から6年ほど前、小学校卒業後57年を経てのことである。その頃私は、長い勤務生活を終えて故郷H村
本文を読む東京ステーションホテル
著者: 鎌倉矩子―平成おうなつれづれ草(8)― 昨年の12月20日。その日は東京駅開業100周年に当たるのだそうで、記念に売り出されたSUICAを求めて人々が殺到し、さばき切れなくなったJR当局が発売を中止するという騒動があった。なるほ
本文を読むおひとりさま入院記
著者: 鎌倉矩子―平成おうなつれづれ草(7)― 私は老人のひとり暮らしである。 3年前に右肺に腫瘍のカゲがあることを指摘され、以来経過を追っていたが、昨年の末ついに、「もうそろそろ、手術で取ったほうがいいかもね」と勧告を受けた。そう言っ
本文を読む記憶障害について、ある青年の物語
著者: 鎌倉矩子― 平成おうなつれづれ草(6)― 前回私は、「記憶障害とともに生きること」と題して、母親の最晩年のことを書いた(’13.10.31、平成おうなつれづれ草(5))。そこでは、記憶と記憶の力を損なわれた者の日常がどのようなも
本文を読む記憶障害とともに生きること
著者: 鎌倉矩子人はたいてい、還暦に近づく頃から、“記憶”ということに無関心でいられなくなる。言おうとした人物の名や物の名が出てこない、物のありかを忘れて探し回る、「あれ、何をしようとしていたんだっけ」と自分の用事を忘れかける、といった
本文を読む心が彼岸にわたるとき
著者: 鎌倉矩子― 平成おうなつれづれ草(4)― 8月13日。旧盆の入りの日。夕暮れに、門口にひとりしゃがみこんで樺を焚いた。樺は火がつきにくいのに、ひとたび点火すれば黒い煙がもうもうと上がる。 この煙を見て父と母は本当に帰ってくるのだ
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