ムーミンとDHC、まったく似合わない、釣り合わない。
- 2021年 9月 1日
- 評論・紹介・意見
- DHCスラップ訴訟差別澤藤統一郎
(2021年8月31日)
富士には、月見草がよく似合う。ムーミンにDHCは似合わない。ムーミンの穏やかな雰囲気と、吉田嘉明の野蛮なヘイト体質。両者のコラボは、心あるムーミンファンには幻滅の極み、うまくいくはずもなかろう。
トーベ・ヤンソンはスウェーデン語系フィンランド人だったという。言語的マイノリティーだった。そして、レスビアンとして人生を過ごした。性的マイノリティーでもあった。デマとヘイトとステマとスラップというDHC・吉田嘉明とは、所詮住む世界が異なるのだ。
そのトーベ・ヤンソンがその生き方において、また作品で示した価値観とはまったく相容れないDHCとのコラボのたくらみ、発表されるやムーミンファンの声がこれを阻止した。
8月27日付で、下記の「ムーミン公式サイトより重要なお知らせ」がネットに掲載されている。掲載したのは、ムーミンのライセンスを日本で管理するライツ・アンド・ブランズ社。
「ムーミンを大切にしてくださる皆様へ
平素より、ムーミンをご愛顧いただきありがとうございます。
この度、当社がライセンス管理をする一部製品に関しまして、皆様へ不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
本国フィンランドのムーミンキャラクターズ社は、“いかなる差別も、助長ないし許容するものではない”との強い見解を持っており、当社も同一認識を持っております。これは、お互いを認め合い、共存することを尊重していた原作者トーベ・ヤンソンの思想が包摂されています。
今後は、ライセンス許諾時点において、反社会勢力に対する確認に加えて、人権関連についても厳しく審査をし、仮に認識がなく契約された場合においても、それらが判明した時点において、速やかに契約更新停止や生産終了等の働きかけをしていきます。
ムーミン公式サイトを通じ、様々なお声をいただきましたこと、真摯に受け止めております。
ムーミンとムーミンを愛する方々の気持ちを大切に、皆様とともにムーミンの世界観を伝えるために邁進してまいります。
今後とも何卒皆様の温かいサポートをよろしくお願い申し上げます。」
このネットの「お知らせ」で経過についてはあらかたの理解が可能である。今後ムーミンキャラクターの使用を認めるに際しては、「反社会勢力(=暴力団)だけでなく、DHCのごとき反人権企業も厳しくチェックをしていく」と言っているのだ。
問題視されたのは、DHCが8月23日に発売を告知した商品。ムーミンなどの絵柄があしらわれた「薬用リップクリーム」「薬用ハンドクリーム」「オリーブホイップハンドクリーム」の3商品。ムーミンの公式サイトとツイッターでこのことが告知されると、「ブランドにそぐわない」「ショック」などの声が相次ぎ、24日までに告知文は削除されたと報じられている。上記のネットでの「お知らせ」は、「皆様へ不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます」というとおり、ムーミンファンへの謝罪なのだ。
ムーミンキャラクターズ社では「いかなる差別も、助長ないし許容するものではない」「これは、お互いを認め合い、共存することを尊重していた原作者トーベ・ヤンソンの思想が包摂されています」と説明しているという。DHCの企業体質については、今さら繰り返すまでもない。ムーミンとDHCとは、水と油、氷と炭、月とスッポンなのだ。
ムーミン社側は、「公式サイトを通じ、様々なお声をいただきましたこと、真摯に受け止めております。ムーミンとムーミンを愛する方々の気持ちを大切に、皆様とともにムーミンの世界観を伝えるために邁進してまいります。」と言っているが、DHC広報部は、取材の各社に「本件に関するコメントは差し控えさせていただきます」と、いつものとおりだ。
DHCという企業は、オーナー会長吉田嘉明の迂闊なヘイトコメントを中心に、デマとステマとスラップで、企業イメージを著しく損ねて、経営的には大きなダメージを受けている。
これを回復するために最も望ましいことは、吉田嘉明が全面的に非を認め、悔い改めることである。まずは自社の公式サイトで在日差別に謝罪し、スラップ被害者にも反省と謝罪文を送ることだ。従業員のためにそのくらいのことをしてみてはどうだ。
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2021.8.31より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=17473
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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