25%の政権~それは悪夢だ
- 2021年 9月 24日
- 評論・紹介・意見
- 小原 紘選挙
韓国通信NO678
前回選挙で自民党は投票総数の47.8%で74.4%の議席を獲得した。
戦後二番目に低い投票率(53.68%)と野党の競合に助けられ、わずか25%の絶対得票率で安定多数を手中にした。
違法ではないかも知れない。露骨な一票の格差。政権の正統性自体が疑わしく感じられる。得票数に応じて議席を配分すれば自民党の過半数割れは自明である。低投票率と小選挙区制の弊害は指摘されてきたが、このまま放置すればわが国の民主主義精度は崩壊する。韓国の大統領選挙の投票率は77%、去年の総選挙は66%だった。
「私たちは国の主人公」という声がよく聞かれるお国柄。国政への参加意識は高い。だから選挙が終わっても政府は厳しい批判にさらされ続ける。有権者の半数が棄権したわが国は25%政権に、それも長期独裁政権を許してしまった。悪夢というほかない。
<落選運動>
菅内閣の閣僚20人のうち世襲議員は12名。国会議員全体の3分の1が世襲議員である。競馬ではあるまい、サラブレッドとはおこがましい。彼らは国政私物化の象徴だ。
2000年に韓国で繰り広げられた「落選運動」を思い出す。資料を翻訳して紹介したことがある。市民団体が立候補者を総点検して公表した。効果はてきめん。不適格と名指しされた候補者が続々と落選した。
刺激されて日本でも落選運動の動きがあった。しかし、資質、過去の選挙違反、不正蓄財を公表する落選運動は育たなかった。
わが国は事実を知らせるだけでも候補者への個人中傷と受け止められがちだ。
組織的な落選運動は難しいが、立候補者の情報はいくらでも集めることは可能だ。
千葉8区では自民党の現職議員が苦境に立たされている(と僕には感じられる)。前回選挙で野党候補が票を奪い合ったため当選した議員だ。今回も複数野党が立候補する事情に変わりはないが、野党が結束すれば必ず勝てる注目の選挙区になった。
私の地元である。選挙情勢をスケッチした。
<千葉第8区>
8区(柏・我孫子)の有権者数は42万人余り。前回の投票率は全国並みの50%前後。現職の自民党の櫻田義孝氏(71)はこれまで当選7回、最近は連続3回当選という地域の「ドン」である。櫻田氏は政務官、文科副大臣を歴任、第4次安倍内閣で五輪大臣として初入閣を果たした(2018/10)。次の選挙は圧勝と思われたが、翌年4月に大臣をやめさせられた。
国会議員の放言、失言は珍しいことではない。「見ざる言わざる聞かざる」菅首相は例外として、安倍前首相の虚偽答弁、ヤジ、麻生元首相の放言、失言に劣らず櫻田氏は放言、失言を繰り返し、国会で釈明に追われる醜態で全国に知れ渡った。資質が問われて更迭されたが、自民党体質まるだしの放言には定評があった。
文科副大臣時代の「従軍慰安婦は売春婦」発言は外交問題に発展し、問題をまるく収めようとしていた安倍首相を慌てさせた。
「被災地の復興より自民党の議員が大切」、指定廃棄物は「原発事故で人の住めなくなった福島に置けばいい」。さらに「女は子どもを三人産むべし」発言。水泳の池江璃花子の白血病の知らせに「ガッカリ」という発言はネットでも話題になった。
結局、釈明と撤回を重ねたあげく大臣を棒に振ってしまった。
面倒見と人柄の良さを挙げる地元民も多いが、地元紙『千葉日報』は五輪大臣更迭について選挙民の「落胆」「憤り」と、裏切られた支持者たちの声を詳しく報じた(2021/09/10)。わずか1年前のことである。
評判が地に落ちた櫻田氏だが、再選を目指す。古いポスターに替えて、田村厚労大臣、菅首相とのツーショット、最近は河野太郎まで登場する賑やかさである。町中に櫻田氏の名前と顔写真が溢れている。
<野党統一候補への期待>
千葉8区は立憲民主党と日本共産党による候補者の一本化が焦点となっている。去る8日、野党四党による共闘体制ができた。
野党の結集は多くの市民たちが望んできたことだ。野党は櫻田氏を含む自民党議員の議席に対する執念を見習って欲しい。不人気な菅首相を降ろして看板の塗り替え、イメージチェンジを図ろうと必死だ。
東海第二原発は廃炉に!
9月11日、東海第二原発の再稼働に反対する「首都圏ネットワーク」主催の駅前行動に参加した。水戸地裁判決にもかかわらず日本原電は再稼働を一向に諦めない。脱炭素社会実現という菅内閣の「すり替え」の波に乗ろうとしている。化石燃料を替えて自然エネルギーにすれば済むことだ。行動には9都・県の市民550人が参加し宣伝、署名活動を展開した。我孫子駅では「さようなら原発あびこ」のメンバーを中心に41名が参加した。
9月3日、駅前スタンディングデモを終え、白山の八坂神社にでかけ関東大震災で虐殺された朝鮮人3名を慰霊した。震災から98年。有志によるささやかな慰霊祭は今年で5年目になる。昨日まで神社の境内には菊の花束が置かれていた。
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