SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】459 パレスチナと西サハラの民族自決権
- 2022年 1月 10日
- 評論・紹介・意見
- サハラパレスチナ国連平田伊都子民族自決権西サハラ
「今日は<民族自決の日>だが、パレスチナ人と西サハラ人にはない。事務総長の見解は?」と、2022年1月5日の国連事務総長定例記者会見で、アブドル・ハミド・パレスチナ人記者が、問い質しました。 「我々が言い続けてきたように、この問題に関する見解はかわらない。世界の人々は民族自決権を有している。それは、全ての人々に適応される権利だ」と、ステファン国連事務総長報道官が国連ボスの見解を代弁しました。
国連が決めた<民族自決の日>なんて、知らない人が多いかも知れません。
そもそも、<民族自決>って、何なんでしょうね?
① 民族自決権とは?国連広報センター資料から引用:
新年を祝して、最新(?)国連広報センター版<独立付与宣言>を復活させてみます。
「国連総会は、1960年12月14日、「植民地と人民に独立を付与する宣言(Declaration on the Granting of Independence to Colonial Countries and Peoples)」を採択した(決議1514(XV))。宣言は、外国による人民の征服、支配および搾取は基本的人権を否認するもので、国連憲章に違反し、世界平和と協力の促進にとっての障害であるとのべた。さらに、<信託統治地域、非非自治地域その他のまだ独立を達成していないすべての地域において、これらの地域人民が完全な独立と自由を享受できるようにするため、いかなる条件または留保もなしに、これらの地域人民の自由に表明する意思および希望にしたがい、人種、信仰または皮膚の色による差別なく、すべての権力をこれらの人民に委譲する迅速な措置を講じなければならない」と、述べている。総会は、決議1514(XV)において、<独立国家との自由な連合>、<独立国家への統合>および<独立>の三つは、完全な自治を達成するための正当な政治的地位についての選択肢であると定義づけた」と、国連広報センターが表記している。
「植民地と人民に独立を付与する宣言」を採択した当時の国連(出典は UN Photo)
さらに国連広報センターは、<植民地と人民に独立を付与する宣言>が現在も適用される地域として、17か所と、その施政国を表示している。アフリカで唯一の当該地西サハラは、トップに出てくるが、西サハラだけが施政国を明記されていない。
国連広報センターは西サハラに関して、「1976年2月26日、スペインは、同日付でサハラ地域におけるプレゼンスを終了させたと事務総長に伝えた。スペインは、サハラのために樹立された暫定統治への参加を中止したことから、それ以降はサハラの施政に関してはいかなる国際責任も免れると考えることを記録にする必要があると見なした。1990年、国連総会は、西サハラの問題は非植民地化の問題で、西サハラ住民自身が決定すべき事項であることを再確認した」と、特筆している。
2016年、国連広報局は、政治局と共同で、「非自治地域を支援するために国連は何ができるか(What the UN Can Do To Assist Non‒Self Governing Territories)」という広報用小冊子を出版した
② デミストラは何してる?
「ステファン、スタファン・デミストラは何をしているのか、我々に教えてくれ。彼は当該地域を回っているはずだが、どの国だ?いつだ?まだブリュッセルにいるのか?」と、同じ<民族自決の日>に、別の記者が質問した。ステファン報道官は「正解だ。彼の家はブリュッセルだからね、、私があんたたちに言えることは、、彼は今、彼にとって最初の当該地ツアーに出るべく、準備をしているところだ。彼は全ての関係当事者や近隣者たちと連絡をとっている。彼は当事者たちに会い話し合いができると、訪問に期待している。そんなところで、別に確約できる詳細も日程もない」と、ステファン報道官は答えた。
1月7日の国連定例記者会見で、再びアブド・ル・ハミド・パレスチナ人記者が、「先週の日曜日(1月2日)に、3人のモーリタニア市民が国連緩衝地帯で殺された。我々はMINURSOミヌルソ(国連西サハラ住民投票監視団)から何も聞かされていない。我々は、UNの正式ルートからではなく外部の報道関係者から停戦緩衝地帯での違反行為を知るしかない。一体、西サハラ解放区とモロッコ占領地・西サハラの紛争地で何が起こっているのか?我々にお報せください」と、丁寧に聞いた。ステファン報道官は「家では何も報告をもらわなかった。急かせてみる、、それからだね、何か判明するのは、、」と、報道官は答えた。
新MINURSOリーダー・アレキサンダー・イバンコは2021年8月に着任したが、動いてない。
新国連事務総長個人特使スタファン・デミストラは2021年11月に着任したが、まだ家にいるのかな?
③ 国連の民族自決権を無視するモロッコは、<一帯一路>のアフリカ水先案内人:
「国連の民族自決権は時代錯誤」と、馬鹿にするモロッコは、国連民族自決権など無視して、強国との2国間取引で、<モロッコの西サハラ領有権>を承認させようと、二国間外交を工作してきた。中国にも、長年アタックしている。
モロッコ国王モハンマド六世が2016年5月に北京を初訪問した。同年の3月に潘基文前国連事務総長が西サハラを訪問しREFERENDUM レファレンダム(国連西サハラ人民投票)の機運が高まっている中、モロッコ国王は国連より中国へ、中国が狙うAUアフリカ連合へと外交の舵を切ったようだ。この国王訪問で、モロッコと中国の間では32件の契約が交わされた。同じ5月31日に、40年来西サハラ難民を率いてきたアブデル・アジズ大統領が急死した。
2017年1月30日、モロッコはAUアフリカ連合に復帰した。1984年、AUが西サハラを正式加盟国と承認したことに大憤慨し、以降33年間、モロッコはAUを脱退していた。そして同年、モロッコは中国の「一帯一路」構想に署名した。モロッコの署名はマグレブ(北アフリカ)のみならずアフリカでは初めてだった。翌2018年4月3日、ブハリ西サハラ難民政府国連代表が突然、死んだ。2018年7月13日、モロッコは、西サハラ報道を国連記者室から続けていたリー記者を、追放した。2020年4月1日、西サハラ難民政府のMINURUSOミヌルソ担当ハダドが急死した。前大統領、前国連代表、前MINURSOミヌルソ担当者と、<国連西サハラ人民投票>実現を目指していた西サハラ難民政府の重鎮たちが、次々と消されてしまった。下手人はモロッコ?それとも??
2021年7月、「一帯一路」の医療契約に基づいて、モロッコは大量のシノファーム製中国ワクチンを入手した。モロッコ保健省の発表によると、2022年1月7日の段階で、モロッコ全人口3,603万人のうち、24,590,739人が2回のワクチン接種を完了しているそうだ。しかし、元旦のコロナ新規感染者数が1,357人だったのに、1月7日は7,064人に膨れ上がっている。シノファームもコロナ感染を防げないようだ、、
2022年1月5日、モロッコは、<一帯一路>を仕切る<中国国家発展改革委員会>と、オンラインで新契約を、ナンバー2のニング・ジジェと交した。春一番にモロッコは、アメリカ前大統領を騙したように、「西サハラはモロッコ領土」との言質をとりたかった。が、今のところ保留になっているようだ。モロッコの外交活動に関して、現アメリカ大統領の見解を聞いてみたい。
「一体一路」とは、中国の習近平国家主席が2013年に提唱した、<陸路シルクロード=一帯>と<海路シルクロード=一路」からなる経済圏構想だそうだ。、
友好条約を結んだモロッコとイスラエルは、共に国連憲章や国連決議や、国連そのものも無視しバカにしています。 国連憲章を犯し国連決議に違反するモロッコとイスラエルに、どうして国連は制裁を科すことができないのでしょうか?
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2022年1月10日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion11651:220110〕
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