さようなら原発全国集会に参加して
- 2023年 3月 25日
- 評論・紹介・意見
- 原発反原発小原 紘
東京・代々木公園で開かれた反原発の集会に全国から4千7百人が集まった。原宿駅前は祝日とあって大変な人で賑わっていた。だが、明治神宮前から会場へ向かうと人の列は激減。決して少なくはない4千7百人の集会がみすぼらしく感じられた。
開会冒頭、主催者を代表して鎌田慧さんが亡くなった大江健三郎さんへ感謝の気持ちを述べ、全員で黙とうを捧げた。澤地久枝さんも骨折をおして参加。「原発回帰」という異常事態に登壇者たちは口々に大江さんの遺志を継いで新たな運動のスタートを誓い合った。
≪ステージ登壇者たち≫
福島からの報告―「これ以上海を汚すな!市民会議」、「避難の協同センター」「甲状腺がん子ども支援ネットワーク」。新潟からは 「柏崎刈羽原発再稼働おことわりグループ」。脱原発首長会議から元湖西市長の三上元さん、原子力資料 情報室の松久保さんからの報告が終わると原宿と渋谷の二コースに分かれてデモ行進が行われた。
かつてこの会場に十万人近い人が集まった頃の活気を思い出す。首相官邸と国会議事堂前には毎週金曜日にシュプレヒコールがこだました。古い原発を再稼働させ、新しい原発まで作ろうという驚愕の政府方針に5千人足らずしか集まらなかったのは残念だ。
NHKは代々木公園の中にあると言ってよい。市民たちの運動を伝えることを使命としている韓国のメディアに比べNHKを筆頭とする日本のメディアの惰眠ぶりは異常だ。WBCでの優勝、首相のウクライナ電撃訪問で忙しかったとは言わせない。NHKは、汚染水を処理水と言いかえてまで政府の広報役をつとめ、眼下に見える集会を12年間無視し続けて来た。集会とデモ行進の画像を流すのは「公平」「中立」でないとでも思っているようだ。
≪当日のビラから≫
会場でもらったチラシを紹介する。
「南西諸島の戦場化を許さない3.27集会」「神宮外苑アクション!銀杏並木の聖地神宮外苑を守ろう」「とめよう東海第二原発・首都圏連絡会」「G7広島戦争サミット許すな」「現役自衛官セクハラ支援の会」「沖縄を再び戦場にするな」「落合栄一郎バンクーバー便りー放射線は何故危険なのか4.2講演会」
渋谷駅周辺は肩が触れ合うほどの賑わいだった。通行人の彼らには「フクシマを忘れるな」「汚染水を流すな」は発見だったかも知れない。集会を報道しないNHKよりデモ隊を見送る通行人たちのほうがよっぽど健康に見えた。日本にもデモをする人がいるのかと驚く外国人には、想像もしたことのない「日本発見」だったかもしれない。
≪3.21代々木公園の映像≫
≪着実に広がる独自の運動≫
12年間、私たちは大集会とは別に着実に独自の運動を広げてきた。
毎週金曜日の首相官邸前の集会に代わりに毎月第三金曜日に『首相官邸前抗議』が行われている。
青森でも宮城でも、佐賀でも毎月11日に「福島を忘れない」「原発イラナイ」の行動が行われている。
地域で声を上げている人たち。柏駅頭の反原発の街頭宣伝は3月4日に500回を迎えた(スゴイ!)。
毎月3日の「スタンディング」デーは全国各地で行われている。我孫子駅頭では2016年から。小出裕章さんたちは松本駅で。高槻の友人も。東久留米でも。
地元の「さようなら原発あびこ」からは元気な写真が送られてくる。ネットで調べると全国で無数の人たちが街角に立っている。
代々木公園に集まった人が5千人足らずと嘆くようでは地域で頑張っている人たちに申し訳ない。
反原発と安保法制反対の運動からわが国の市民運動がめまぐるしい飛躍を遂げたのを実感する。
代々木公園の会場には若者たちの姿もちらほら。うれしかった。
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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