本日で、当ブログの《毎日更新》を終了いたします。これまでのご愛読に感謝します。引き続き、よろしくお願いします。
- 2023年 3月 31日
- 評論・紹介・意見
- 澤藤統一郎
(2023年3月31日)
本日で、当ブログの連載が満10年となった。2013年4月1日からの連続更新が、本日3652回目。10年の間に、閏年が2度あったことになる。この間、一度の休載もなく毎日書き続けてきた。日曜も盆も正月も、出張も海外旅行も無関係に、例外なく一日一稿を書き続けてきたことになる。幸いにして、大病を患うことも、大きな事故に遭遇することもなかった。
誰に命じられたことでもない。経済的見返りはまったくない。業務の宣伝を意識したことも一切ない。むしろ、人との軋轢を生じるタネとなったことが少なくない。それでも書き続けたのは、もの言わぬは腹ふくるる業だからというしかない。
ではあるが、相当の負担でもある。齢もとった。目も霞んできた。考えを纏めるにも文章を書くのにも時間がかかる。ずっと減らしてはきたが本業も抱えており、これに差し支えることもある。いったん筆を擱きたい。毎日必ずこのブログを書くという自分への拘束を解いて、今後は気の向いたときに、本業に差し支えないように不定期の掲載としたい。
連続更新を広言してこのブログを書き始めた当時、3年も続ければなにかが見えてくるかと思った。しかし、何も見えてこなかった。5年なら、3000日なら、などと思い続けて10年経ったが、やはり同じこと。とりたてて新しく見えてきたものはなく、世の中の動きを見る目が変わったなどということもない。
10年のブログ。人に誇るべきほどのことではない。何か価値あることを達成したという感慨もない。それでも、自分に課したことを、自分なりにやり遂げたという、小さな達成感がないわけではない。怠惰な自分をすこしだけ褒めてもよいという甘い気持はある。
ところで、10年は一昔である。このブログを書き始めたのは、第2次安倍晋三政権が始動した時期だった。復活して、またぞろ出てきたこの唾棄すべき右翼政治家の改憲策動に抗わねばならないという思いからであった。思いがけなくも安倍政治が長期に続いて、ブログの連載も長期となった。そして、ようやくアベ政権が崩壊したものの、アベスガ政権となり、さらにアベスガキシダ政権となって、安倍以後もしばらくは連載をやめるわけにはいかないという心情になった。
この10年、改憲の危機は去らないものの、幸いにも保守勢力が悲願とする改憲のたくらみは実現していない。当ブログも、改憲阻止の一翼を担ったと言えなくもないのは、それだけで喜ばしいことである。
喜ばしいことばかりではない。10年は短くはない。この間に、このブログをめぐっていくつもの「事件」があった。印象に残るその最初のものが、「宇都宮健児君、立候補はおやめなさい」シリーズである。2013年の暮れから正月を挟んでの連日33日間。私は、渾身の怒りを込めてこの記事を書き連ねた。批判の対象は、小さな権力を理不尽に振りかざした熊谷伸一郎(岩波書店)であり、上原公子(元国立市長)であり、人権感覚の鈍い宇都宮健児(都知事選候補者)であった。読み直すと、当時の怒りがよみがえってくる。
吉田嘉明を批判した私のブログが名誉毀損だとして、まったく唐突にDHC・吉田嘉明からのスラップ訴訟の被告とされた。損害賠償請求額は2000万円。これこそ典型的なスラップと批判するシリーズをこのブログに書き始めたら、損害賠償請求額が6000万円に跳ね上がった。この訴訟に勝訴し、さらに反撃訴訟を提起してこれにも勝訴が確定した。こちらの方は、終わり良ければすべて良しの心もちである。
この10年、すべてのブログに目を通してくれている妻は、「怒ってばかりで読むのに疲れる。気が滅入る」と言う。確かに、10年の持続は怒りのエネルギーがあったればこそである。理不尽なものへの怒りである。しかし、それだけでもない。10年の自分のブログをパラパラと読み返してみると、懐かしいだけでなく、結構面白いし楽しい。けっして無駄なことをしてきたとは思わない。
なお、妻からは「毎回、長すぎる」という批判も受け続けてきた。これに、反省の意も、恭順の意も見せぬままの10年である。これからは、「毎日がんばる」とか、「それなりの水準のものを」などという気持はサラリと捨てよう。気の向いたときに、気楽な文章を書いてみたい。お付き合いをよろしくお願いします。
また、満10年で一旦擱筆を当ブログに告知して以来、知り合いからは、少なからぬ方から、ありがたいご意見やご感想をいただいている。もし、まったく面識のない方で、当ブログへのご意見やご感想があれば、下記メールアドレスまでご連絡をください。よろしくお願いします。
sawatoichiro@gmail.com
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2023.3.31より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=21152
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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