韓国の総選挙
- 2024年 4月 5日
- 評論・紹介・意見
- 小原 紘選挙韓国
韓国通信NO741
韓国の総選挙が今月10日に迫ってきた(議員定数300 小選挙区254/比例46)。
おととし5月に発足した尹錫悦政権の評価が問われる選挙だが韓国のどのメディアも情勢は混戦状態と伝える。独断的な政権運営が災いして発足当初から30%前後の低支持率で推移してきた政権支持率に異変が生まれている。野党「共に民主党」の不人気。新党「祖国革新党」の登場が注目されている。隣国の選挙とはいえアジアの平和に大きな影響を与える注目の選挙であることに違いはない。
従軍慰安婦問題、徴用工問題で日本に大幅譲歩をした韓国側の狙いは日本との軍事的期待だったことを忘れてはならない。それにしても日常的に「北の脅威」が強調される日本と比べて、韓国世論が意外と冷静なのは不思議である。選挙の中心テーマになっていないようだ。日本の選挙が近づくと北朝鮮報道がやたらと増える日本が異常に見える。
<医師たちの反乱>
深刻な韓国の医師不足。選挙直前になって韓国政府は医学部定員の大巾増を発表した。これに長時間労働、低賃金で働く大病院の若手医師が猛反発。一斉に辞表を提出して大騒ぎになった。政府は医師免許を取り消すと脅しをかけたが効き目なし。医師の特権意識と患者無視に反発する世論に対して一層深刻な医療の不在を招いた政府を批判する声も多く、今回の選挙の大きな争点になってしまった。医師たちの一斉蜂起には驚くが、いかにも韓国的な話。わが国では医師の過労死が注目を集め出したばかりである。
<韓国ドラマ『ホ・ジュン(許浚)』>
全64話にわたる超長編ドラマである。魅力に惹かれ4回目を見る「ホ・ジュン」ファンだ。16世紀中期に実在した医師がモデル。両班の妾の子に生まれた不遇の青年ホ・ジュンが流浪先で、ある医師との感動的な出会い、「心医」を目指す物語。
科挙試験に合格して宮廷医師になるが、出世は二の次、身分と貧富の差を越えて患者の治療に献身。主人公は医学書『東医宝鑑』の著書、朝鮮時代随一の名医として知られ、王の主治医まで務めた人物。ドラマでは人間性溢れる医師としてさまざまな障害を乗り越え苦悩する人物として描かれている。
現在BS141で午後1時から放映中。コマーシャルが多いのが難だが、現在64話中48話まで進んではいるが、途中乗車でも十分楽しめるはず。毎回、新たな発見と感動、出演者の好演技が光る。
最近まで病気と無縁だった私が入院を経験したことと関係があるかも知れない。病と死について考えさせられる類まれなヒューマンス・ストーリーである。『週刊金曜日』の植村隆さんが「『ホ・ジュン』で韓流ドラマにハマった」と大絶賛(NO1465/2024/3/22)。ドラマは時代を反映する。民主化直後の韓国の人たちが求めていた人間愛、社会の在り方にたいする熱い思いが時空を超えて私たちにも伝わってくる。韓国を知るためにも是非おすすめしたい。
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