響きわたる「改憲を許すな」の声 東京で前年を上回る憲法大集会
- 2024年 5月 4日
- 時代をみる
- 岩垂 弘憲法憲法記念日戦争
「武力で平和はつくれない」「守ろう!平和・いのち・くらし」。3万2000人のコールが、雲一つない快晴下の広場に響きわたった。憲法記念日の5月3日(金・祝日)午後、東京都江東区の有明防災公園で開かれた「武力で平和はつくれない!とりもどそう憲法いかす政治を2024憲法大集会」。ウクライナ戦争、バレスチナ・ウクライナ紛争、米中対立などの世界情勢を機に岸田政権が大軍拡と集団的自衛権行使、ひいては改憲に突進しつつあるところから、会場は「日本政府は平和外交に徹すべきだ」「改憲は絶対に許さない」との声に満たされた。
大集会の主催は、平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会。
護憲団体が統一して毎年憲法記念日に開く憲法大集会は2015年に始まった。年ごとに参加者が増え、2019年には6万5000人が集まった。2020年と2021年は新型コロナウイルスの感染拡大のため中止。再開した2022年の参加者は1万5000人、2923年の参加者は2万5000人だったから、今年の参加者数(3万2000人)はコロナ禍に沈滞を余儀なくされた護憲運動が再興しつつあることを感じさせた。(参加者数はいずれも主催者発表)
この日は連休の真っ只中とあって都内各地は観光客で溢れていたが、東京湾岸に展開する有明防災公園にも旗、のぽり、プラカードをもった労働組合員のほか、護憲団体・平和団体、宗教団体、学生集団などの関係者、一般市民らが続々とつめかけた。
のぼりやブラカード、ゼッケンに書かれた文字には、こんなのもあった。
「戦争はダメ‼」「戦争はいやだ!」「戦争への改憲を許すな! 平和憲法、九条を守る!」「9条 こわすな」「憲法9条に自衛隊明記NO!」「辺野古工事を断念せよ」「辺野古の海を元に戻せ」
どれも普通の市民の率直な気持ちや危機感が反映されている、と感じた。
午後1時から始まったメインステージでは、小田川義和氏(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が開会あいさつ。同氏はその中で、「岸田政権は、いわゆる安保3文書で、防衛費を5年間で43兆円とすることや、殺傷能力のある武器の輸出を打ち出した。そればかりでなく、今回の日米首脳会談で自衛隊を米軍の指揮下に置くことに同意した。先ごろの衆院議員補欠選挙では、自民党全敗という結果になったが、これは、自民党政治への国民の怒りの表れと言える。自民党に代わる政府を野党共闘で実現しよう」と訴えた。
スピーチで登壇した伊藤真氏(弁護士・伊藤塾塾長)は「党派を超え、意見の違いを超え、憲法を守るという一点でこれだけの人が集まった。なんと素晴らしいことでしょう」と切り出し、「世の中には変えてはいけないことと、変えていいことがある。変えてはいけないことは、憲法への愛だ。自民党は、憲法9条に自衛隊を明記しようといっているが、いまだに変えられない。反対する人がいるからだ。それに、改憲には800億円もかかる。こんなこと、国民は許さないでしょう。むしろ、憲法を活かす政治を取りもどさねば」「先の日米首脳会談で、自衛隊が米軍と一緒に戦うことが可能になった。今こそ、憲法に保障されている言論・集会の自由や選挙権を活用してそうならないように努めようではないか」と述べた。
同じくスピーチをした猿田佐世さん(弁護士・新外交イニシアチブ<ND>代表)は、先の日米首脳会談で、岸田首相が「日本は米国のグローバルパートナーとなる」と言ったことを問題視し、「これは、日本が日本自身を守るということでなく、東アジアや地球の裏側まで守るということを言明したことにほかならない。そして、これは、これまで平和国家と言われてきた日本が軍事大国を目指すということを意味する。しかし、一発の銃声が世界大戦を引き起こすことがある。日本は、外交で紛争を解決する道を歩むべきだ」と述べた。
集会後、参加者たちはパレードに移った。
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