現代史研究会「ハイデガーとラカン」へのお誘い
- 2024年 6月 12日
- 催し物案内
- ハイデガーラカン小笠原晋也現代史研究会高橋順一
日時と場所:7月6日(土)午後2時〜5時、本郷会館洋室A(地下鉄「本郷3丁目」駅より徒歩5分)
講演者:小笠原晋也さん(精神分析家・東京精神分析クリニック)
コメンテーター:高橋順一(早稲田大学名誉教授)
演題:「Ab-grund des durchgekreuzten Seyns[抹消された存在という 基礎的な深淵 / 深淵的な基礎](Heidegger) と trou du non-rapport sexuel[「性関係は無い」の穴](Lacan) — 否定存在論 (ontologie apophatique) について」
参加費:500円
現代史研究会「ハイデガーとラカン」へのお誘い
小笠原さんは、名古屋大学医学部を卒業後、パリ第8大学に留学しました。大学時代は、廣松渉氏がつくった学生サークル「現代史研究会」に所属し、そこでジャック・ラカンと出会いました。パリ大では、ラカンの一番弟子ジャック=アラン・ミレールの講義と週5回の教育分析を受けたそうです。高等師範学校で指導教官のルイ・アルチュセールからラカンを読むように勧められたというミレールはラカンの末娘と結婚し、ラカンからセミネールの編纂作業を委託されました。ミレールは難解かつ謎めいたラカンのテクストの読解法を「シャンポリオン風」と形容しています。小笠原さんはそのミレールから直接指導を受けたわけですが、ミレールのテクスト編纂方法に次第に疑問を持つようになったそうです。
小笠原さんは自著『ハイデガーとラカン 精神分析の純粋基礎としての否定存在論とそのトポロジー』(青土社)の中でこう書いています。「ミレールのラカン読解の誤りは、根本的に言って、「無意識」のラカン的な概念はいかなるものであるかということを、彼が捉えそこなっていることに、存する」。その理由はラカンがハイデガーの「否定存在論」に準拠しているにもかかわらず、ハイデガー嫌いのミレールがそのことを「過小評価しているからだ」とのことです。小笠原さんによると、ラカンが「主体」という言葉を好んで使ったのは、ヘーゲルの『精神の現象学』に準拠しているからであり、ハイデガーを学んだ後はハイデガーの「抹消された主体」(le sujet barré)として捉え直したとのことです。
今回の講演では、日本におけるラカン研究の第一人者である小笠原さんに、ハイデガーの「否定存在論」をキーワードに、謎めいたラカンのテクストの謎解きをお願いし、みなさまを「無意識という迷宮」へと誘いたいと思います。
主催:現代史研究会
顧問:岩田昌征、生方卓、岡本磐男、西川伸一、(廣松渉、栗木安延、岩田弘、塩川喜信、田中正司、内田弘)
土田 修、合澤 清(cell1917kiyoshi@yahoo.co.jp)
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