ヨーロッパの原子力村
- 2011年 11月 12日
- 評論・紹介・意見
- グローガー理恵フランスのEDF画グリーンピースをスパイ
恐らく日本ではこのニュースは報道されていないのではないかと推察し、お知らせすることにしました。フランスの原子力ジャイアンツEDFがグリーンピースをスパイしていたという驚くべきニュースです。下のBBC Newsへのリンクにこの記事が載っています。
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-15683090
概説:BBC News- Science & Environment (11月10日付)
EDF (Electricite de France SA –フランス電力公社)、グリーンピースの反原発キャンペーンをスパイした罪で罰金を科される
グリーンピースをスパイしたフランスの原子力ジャイアンツ、EDF(フランス電力公社-Electricité de France SA )に、フランス裁判所が有罪の判決を下した。裁判所はEDFに1.5百万ユーロの罰金を科すと共に、EDFのスタッフ二人に実刑判決を下した。
この事件には一連の出来事が関係している。
先ず、グリーンピースのキャンペーンの焦点は、EDFがフランスのノルマンディ沿岸Flammanvilleに建設中の新しい原子炉、EPR (European Pressurised Water Reactors –ヨーロッパ加圧水型原子炉)にあった。
EDFも原子炉建設会社アレヴァも、EPRはパワーがあり安全性も高い原子炉だと褒め称えている。しかし実際には、現在建設中のFlammanvilleの原子炉とフィンランドのOlkiluotoの原子炉の2基の完成までのスケジュールが大幅に遅れているばかりでなく、予算も上回ってきている。
現在、EDFは英国でも8基の原子力発電所を動かしている。そして、更に新しい原子炉4基を、それぞれ2基ずつ、英国のサイズウェル(サフォーク州)とヒンクリー(ソマーセット州)に建てる計画を持っている。これらの原子炉もおそらくヨーロッパ加圧水型原子炉タイプ(EPR)となる予定である。グリーンピースは、こうして英国政府とEDFが一緒になって、英国内の原子力オペレーションを拡大しようと計画していることに対しても異議を唱えている。
このようなグリーンピースの反原発運動を恐れたEDFは、グリーンピースの活動をモニターしスパイしようと謀ったのだった。そして2006年、EDFは、グリーンピース・フランスをスパイするため、カグー(Kargus)コンサルタントを雇った。そして、カグーのスパイオペレーションはグリーンピース・フランスのコンピューターシステムをハッキングするまでに至った。
フランスの裁判所は、スパイオペレーションに関わった2人のカグーの従業員に対しても実刑判決を下し、グリーンピースへは損害賠償として50万ユーロが支払われた。
トム・バーク(Tom Burke)氏 (Friends of the Earth前英国事務局長、インペリアル・カレッジ及びユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの客員教授)は、「このスパイ事件は、EDFが原子力批判を打ち消そうと絶望的になってきていることを示している。そして、原子力を所有しているEDFとフランス政府は、原子力を増やすことに反対する者を打ち破るためには、手段を選ばず、法律を犯すことも含めて何でもやってのける覚悟だということを明らかにしている」と述べた。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0681 :111112〕
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