23区清掃現場の非正規労働の現場
- 2012年 10月 11日
- 評論・紹介・意見
- 松岡宥二脱法行為非正規労働現場
ゴミ問題にはゴミゼロを目指して主として減量と環境問題が取り上げられるが、3K職場として見捨てられがちな清掃現場の労働現場の実状は知られていない。
2000年4月、東京23区の清掃事業は都から区に移管され、それから12年、当時14000名いた東京清掃労組は現在は4000名を切っている。
それは清掃事業が都から区に移管されて以降、作業員が退職しても職員を補充しないで、派遣、労働者供給事業の非正規労働者で穴埋めしてきたからである。
正規の作業員の50歳代の年収は700万円台だが、非正規は200万円台で、厚生年金には加入させず、定期昇給、賞与、有給休暇も退職金もなく、使い捨ての労働力で、経費節減と素直に喜べない問題である。
このまま推移すれば、23区の清掃現場から公務員の作業員はいなくなり、完全に民間委託になってしまう。
廃棄物処理法第4条は、国及び地方公共団体の責務が定め、同法第6条は、市町村の処理が定められおり、民間委託は廃棄物処理法の精神に悖るものと言わねばならない。
昨年4月、本誌184号で「不透明な23区清掃事業の請負契約」と題して、公的な行政の清掃事業における賃金のピンハネの実態を報告した。
23区の清掃労働者の非正規は、184号に掲載した安さを売り物にした労働者供給事業の労働者で、厚生年金にも加入させられていないので、高齢になって働けなくなれば、生活保護を受けなければ生きてゆくこともできないのである。
今年の5月、生活保護受給者が戦後最高となり、週20時間以上労働のパートにも厚生年金を、という時代に行政の行う清掃事業で堂々と脱法行為が行われているのである。
公契約条例がないとはいへ、労働基準法、厚生年金法にも違反することは明かであり、知らぬ振りをしているのは、行政の怠慢であり不作為である。
9月24日、杉並区議会決算委員会で結柴議員が、非正規の厚生年金未加入問題、有給休暇、週40時間時間労働制、日雇い扱いで長期間働かせている問題と清掃会社が労働組合をつくり、労働者を違法に供給している問題を追及した。
10月1日には、江東区議会決算委員会で中村議員が、23区清掃協議会名で東京環境保全協会(清掃51社業界団体)と契約し、それに基づいて、各区が清掃業者と契約している事業で違法行為が行われている実態について質問した。
特に、23区清掃協議会が随意契約している清掃会社の中に会社が労働組合を組織して労働者供給事業を行っているのは、労働組合法第2条、第5条に違反する悪質な脱法行為であり、看過することはできない。
23区はこれらの脱法行為を知りながら見逃しているのである。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1031:1201011〕
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