本間宗究「ちきゅうブッタ斬り」(30)
- 2012年 10月 30日
- 評論・紹介・意見
- 国債本間宗究金融
金融大混乱の現状
現在では、今までの「世界的な金融大混乱」が一時的に忘れ去られ、「平穏な状態が戻ってきた」と感じる人もいるようだが、実際には、「暴風雨の中で、一時的な凪(なぎ)の状態が起きている段階」だと考えている。つまり、「株価や国債価格、そして、為替などは、一時的な安定状態にある」という状況であり、表面的には、「世界の金融混乱」が加速していないようにも見えるのだが、実際のところは、「太平洋戦争末期の大空襲時に、いつ、次の空襲が襲ってくるのか?」ということに怯えている状況とも感じられるのである。
つまり、「世界的な金融問題が解決されずに、より一層、借金爆弾の規模が大きくなっている」という事実を無視しながら、「今日は、問題が起きなかった」ということに「ほっとして、胸をなでおろすような状態」ということである。そして、内心では、「これから、どのような事が起きるのか?」ということを「知りたくもあり、また、知りたくもなし」と感じている人が増えているようだが、やはり、この時に役立つのが「歴史の知恵」だと考えている。
具体的には、「温故知新」という言葉のとおりに、「現在の金融混乱は、どのような理由で発生したのか?」を、歴史を振り返りながら、本当の原因を究明するということだが、「パンとサーカス」と呼ぶべき現状に慣れきった人々にとっては、「面倒なことを考えるよりも、今日の一日が楽しければ良い」という状況でもあるようだ。そして、このような人々が増えれば増えるほど、「権力の暴走」が激しくなり、結果として、現在の「金融大混乱」に繋がったのだが、もはや、「混乱の最終段階」に差し掛かっている現状では、どれほど警告を発しても、ほとんど意味を持たないようである。
このように、私の予想よりは遅れたものの、間もなく、「本格的な金融大混乱期」に突入するものと考えているが、このキッカケとなるのは、やはり、世界的な国債価格の暴落だと考えている。そして、「天災は忘れた頃に訪れる」という言葉のとおりに、「多くの人が安心した時に、突如として、問題が発生する」ということが、過去のパターンでもあったのだが、今回も、同様の状況が繰り返されることになるようだ。
しかも、今回は、「10月の庚戌」、そして、「11月の辛亥」という暦が、たいへん気にかかる状況でもあり、今まで以上の注意が必要だと考えているが、この時の注目点は、「世界的な株価や商品価格の急騰が、実は、世の中が安心できる状況ではなく、反対に、混乱が始まるサイン」ということである。 (2012.10.16)
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政権交代の意味
アメリカの選挙が間近になっているが、この4年間を振り返ると、どうしても、「オバマ民主党政権が、どのような意味を持っていたのか?」を考えざるを得ないようである。また、日本においても、自民党から民主党への「歴史的な政権交代」が起きたのだが、ご存じのとおりに、現在の民主党政権は、かつての自民党政権よりも、「より一層、官僚寄りの政治」を行っているようであり、この時にも、「日本の政権交代は、歴史的に、どのような意味を持っていたのか?」ということが、人々の大きな関心事とも言えるようだ。
また、現在では、「日本維新の会」が、マスコミの関心事であり、多くの国民も、「明治維新」の時と同様に、「世の中の体制が、大きく変化する」ということを期待しているようである。そのために、「明治維新の時に、どのような事が起きたのか?」ということが、今後の日本を見る上で、たいへん参考になるものと考えているが、現時点での感想としては、「日本の開国」に関して、「開国派」と「攘夷派」が争ったことが、今回の、「野党と与党との争い」と似たような状況だった可能性があるものと考えている。
つまり、「日本を二分して、いろいろな争いが起き、結果としては、大政奉還により、幕藩体制が終了した」という事実が、今後の参考になるものと考えているのだが、今回の、「民主党と自民党との政権交代」については、結果として、「官僚支配体制が強まっただけだった」とも言えるのである。具体的には、「消費税の増税法案」を成立させ、また、「国債の買い支え」が継続することにより、依然として、「ゼロ金利の状態」が保たれたという状況でもあったのだが、この点については、「日米ともに、似たような状況だった」とも言えるようである。
しかし、この点をよく分析すると、まったく違った側面も見えてくるのだが、それは、「国民が、政治に対する信頼感を完全に失った」ということである。そして、このことが、今後、大きな意味を持ってくるものと考えているのだが、具体的には、「政府に対する不信感が、通貨に対する不信感へと移行する」ということである。
別の言葉では、「国民不在の状況で、民主党と自民党とが争った」という状況下で、「本当の問題は、官僚による金融支配体制だった」という点に、世界の人々が、気付き始めたということである。そして、この「象徴」となるのが「日米のゼロ金利」であり、また、「異常なまでの、国債の買い支え」だったようだが、今後、想定される「国債価格の大暴落」は、明治維新の時の「大政奉還」と同じ役割を果たす可能性があるようだ。(2012.10.16)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/ja/column.html を許可を得て転載。
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〔opinion1055:121030〕
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