新・総合特別事業計画を批判する
- 2014年 2月 19日
- 交流の広場
- ootomi akira
電気代不払いタイムス The TEPCO Unpaid Times
2013年2月17日号 転送/転載/拡散歓迎
ちょっと時間がかかってしまったけど、
新しい総合特別事業計画を徹底批判します。
「脱原発東電株主運動ニュース」より。
■新・総合特別事業計画を批判する
(大富亮/東電を破綻させよう!市民の会、電気代一時不払いプロジェクト)
本年(2014年)1月15日、政府は東京電力の新しい「総合特別事業計
画」を認定した。この計画の問題点をいくつか指摘したい。
計画の要点は、火力発電の燃料費を圧縮すること、グループ全体で2千人規模
の希望退職を募集すること、そして最大の問題は、柏崎刈羽原発の7基ある原子
炉のうち、1、5、6、7号機を本年度中に再稼働するとしていることだ。計画
には記されていないが、東電は内部文書で「16年度中に全7基再稼働」さえ想
定しているという(「週刊金曜日」12月20日号)。
計画では、こうした「合理化」努力によって収益力を高めるが、もしも原発の
再稼働ができなかった場合には、電気料金を最大で10%上げる考えも示してい
る。これは電気代を人質に取った再稼働の脅迫と言ってよい。
柏崎刈羽原発は新潟県中越沖地震で3千カ所を超える損傷や不具合が発生し、
その検証すら、福島原発事故で中断している。泉田新潟県知事が、新しい総合特
別事業計画を「モラルハザードだ」と厳しく批判しているとおりだ。
また、今回の総合特別事業計画によって、政府から東電に対する支援はさらに
増加することになった。除染費用2兆5千億円と、除染によって発生する廃棄物
を一時保管する中間貯蔵施設の建設費1兆1千億円を政府が東電に交付する。
さらに大きいのは、原子力賠償支援機構を通じて政府が東電に貸し付ける費用
の上限を、これまでの5兆円から9兆円に引き上げたことだ。この貸し付けに対
する返済の原資は電気料金しかない。
交付、貸し付け含めて、東電に対しては13兆6千億円もの税金が注入された
ことになる。これに対して東電の純資産は8千億円強に過ぎず、とっくに破綻企
業と化している。
東電をめぐる現状はどうか。事故を起こした福島第一原発1号炉~3号炉は、
事故収束どころか、大量の水を注入して核燃料の熱を取る応急処置を続けている
だけだ。現場には寿命の短い汚染水タンクが相変わらず作られ、汚染水漏れを止
めることもできていない。そして今も、15万人以上の人々が原発事故のために
避難生活を余儀なくされている。この人々が新しい土地を得て生活を軌道に乗せ
なければ、賠償は終わらない。
事故の収束、賠償、どちらも道のりが見えない状況で、東電は再び原発を稼働
しようとしていることになる。
各種の世論調査によれば、世論の6、7割は原発の再稼働に反対しており、賛
成はわずかだ。東電が今やるべきことは、これまでのやり方をずるずる続けるの
ではなく、すべての原発を廃炉にし、その人員を廃炉に充てることだ。また、政
府に天文学的な血税を要求するのではなく、まず破たん処理(法的処理)を行
い、8兆円の債務を帳消しにする時だ。これは、銀行・株主に投資家としての責
任を問うことでもある。
かりに原発が再稼働できたとしても、そのコストはこれまで電力会社と政府が
発表していたような1kWhあたり5.5円ということは決してなく、最近の大
島賢一氏、金子勝氏らの試算では少なくとも10円強、イギリスでは原発新設に
際して政府が1kWhあたり15円で電力の買い取り保証をするようになってい
る。原発の高い発電コストは、東電の場合、事故以降投入された13兆円の税金
にはっきり現れている。これだけコストの高い発電方法を維持する意味はまった
くない。
(「脱原発東電株主運動ニュース」No.235 2014年2月16日より転載)
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