米原子力空母の動向を監視せよ
- 2014年 3月 31日
- 時代をみる
- 池田龍夫
横須賀基地を事実上の母港とする米海軍原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)号に、1992年就役以来太平洋の守りの要となっている。全長約3333㍍の大型空母は、加圧水型2基を動力としている。関西電力などの原発で使われている加圧水型。GWは2基搭載し、熱出力は120万㌔㍗で、関電美浜原発1号機(熱出力103万㌔㍗)を上回る。しかし、詳しい構造は日本に明らかにされておらず、政府の法規制を受けていない奇怪な存在。地元周辺の自治体からは〝治外法権〟的な空母を忌まわしく思っていた。
毎日新聞3月29日付朝刊は「米原子力艦30㌔圏自治体 独自防災計画の動き」と題して1、3面に大々的に報じた。見事な調査報道で、国の原子力艦対策の無策に警告を発している。福島原発事故(2011年3月11日)後も原子力艦対策は見直されず、04年当時のまま。横須賀港で事故が発生した場合被害は30㌔圏自治体に及ぶと指摘されており、30㌔圏には東京都の一部も含まれ、神奈川、千葉両県の東京湾岸が被害区域に含まれる。
「横須賀基地の30㌔圏内に位置する3都県と20市区町村にアンケートした。全自治体が回答を寄せ、浦賀水道に面した三浦市の防災会議は3月25日、新たに原子力艦対策を盛り込んだ地域防災計画案の修正を了承。米軍基地を持たない自治体が、原子力艦に特化した対策を地域防災計画に盛り込んだのは全国初めて。他の複数自治体も計画見直しの動きを示している」と同紙は報じていたが、政府の対策遅れが情けない限りだ。
原子力空母は日本周辺海域を遊弋しており、事故に安全な日本列島などあるはずがない。米海軍は日本側にほとんど情報公開せずに移動しているため、監視強化は当然なこと。政府は真剣に取り組んでほしい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2583:140331
〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。