川内原発の再稼働を許すな -勢いづく脱原発運動-
- 2014年 5月 27日
- 時代をみる
- 原発岩垂 弘
「川内(せんだい)原発の再稼働を許すな」。原子力規制委員会が優先的に審査を進めている九州電力の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の再稼働に反対する行動が、5月29日から、東京と現地鹿児島県で連続的に行われる。これらの行動は以前から計画されていたものだが、今月21日に福井地裁で関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働を認めない判決があったことから、これらの行動を計画している脱原発団体は活気づいている。福井地裁判決が運動の追い風となっている感じだ。
東京電力福島第1原発の事故からまもなく3年3カ月になるが、全国で48基ある原発は、いずれも稼働していない。安倍政権は原発の再稼働を急ぐ方針で、現在、原子力規制委員会が、電力会社から運転再開に向けて審査の申請があった原発について、東京電力福島第1原発の事故を教訓につくられた、新しい原発事故対策の基準(新規制基準)に合格するかどうか審査している。安倍政権は新規制基準に合格した原発は順次、稼働させる方針だ。
電力会社から審査の申請があった原発は、現在18基。原子力規制委が、このうち川内原発1、2号機に対する審査を優先させることを決定したため、今年の夏には再稼働か、とみられていたが、九州電力の申請書に不備があったため審査が長引き、いまのところ、再稼働は9月以降か、との見方が強い。
こうした情勢に危機感を高めた脱原発運動側は、次々と抗議行動を計画している。
まず、5月29日(木)には、経産省前テントひろば、たんぽぽ舎、再稼働阻止全国ネットワークなどによる実行委員会と現代史研究会が、午後7時から、東京の明治大学リバティホールで、「川内原発を動かすな!東日本決起集会」を開く。
6月1日(日)には、毎週金曜日夜に首相官邸前で脱原発を訴える集会を開いている、個人中心のネットワーク「首都圏反原発連合」が、午後2時から、首相官邸前と国会議事堂周辺で「川内原発再稼働やめろ」と銘打った行動を繰り広げる。
6月13日(金)には、「ストップ再稼働!3・11鹿児島県実行委員会」が、午前9時から、鹿児島市の鹿児島県庁前で県議会包囲行動を予定している。この日開会される県議会に「川内原発再稼働反対」の声を届けようというわけである。「川内原発を動かすな!東日本決起集会」実行委員会は、これに東日本から100人を成田発の航空機で送り込む計画だ。
さらに、7月下旬には、作家・大江健三郎さん、作家・落合恵子さん、ノンフィクション作家・澤地久枝さん、ルポライター・鎌田慧さんらを呼びかけ人とする「さようなら原発一千万署名市民の会」、全労連、民医連、新婦人などを中心とする「原発をなくす全国連絡会」、それに首都圏反原発連合の3団体が共同して都内で「川内原発再稼働反対集会」を開くことを計画している。
福井地裁の大飯原発再稼働差し止め判決は、脱原発運動関係者にとっても予期せぬ判決だったようだ。それだけに、この判決によって、これからの脱原発運動に極めて有利な状況が生み出されたと歓迎している。一連の「川内原発再稼働反対」の行動でも、これを後押しする役割を演じそうだ。
5月23日金曜日の夜、首相官邸前。首都圏反原発連合による恒例の集会が開かれ、主催者発表で3300人が集まったが、福井地裁判決直後の集会とあって、これに地裁判決が色濃く反映していたのが感じられた。参加者が掲げたプラカードには「ついに勝った! 大飯原発訴訟 司法の声をきけ!」と書かれたものが目についた。そして、官邸に向けたシュプレヒコールでも、「原発やめろ」「原発ゼロに」「再稼働反対」「汚染水を流すな」「自然を守れ」「子どもを守れ」などのコールとともに「川内原発再稼働反対」といった声が夜空にこだました。
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