国会議員は「定数是正」論議をサボタージュ
- 2014年 12月 5日
- 時代をみる
- 池田龍夫
12月14日投開票される衆院選の―票の格差は是正されていない。最高裁は2012年衆院選において一票の格差が2・43倍もあり、「違憲状態」と判断。その最大の要因は、各都道府県に議席を1つずつ割り振る「1人別枠方式」だとして抜本的改革を要請したが、国会の反応は鈍い。安倍内閣で13年6月、小選挙区定数を「0増5減」とする選挙区割りが成立。最大格差1・998倍となったものの、最近の住民基本台帳で計算すると一票の格差が2倍以上の選挙区が複数出てきているという。「0増5減」を合言葉にしただけで、各党の熱意はさっぱりだ。どうにもならず、「第三者機関」に調整を頼んだとは情けない。
最高裁が参院選格差に「違憲状態」
一方、「一票の格差」が最大4・77倍だった昨年7月の参院選について、最高裁は11月26日、「違憲状態」と断じた。しかし参院論議は盛り上がらず、〝どこ吹く風〝とはとんでもない話である。
理想を言えば、人口を議員の数で割った人口をもとに選挙区を作るのが望ましいが、それでは議員が都市部に集中してしまい、国民全体に反映される政治にはならない可能性が出てくる。地方の意見も国政に取り入れる為、地方にもある程度の議員数が必要なわけだ。
今の選挙区はこの都市や地方に意見が反映されるように各県で2名以上の議員が選出されるように選挙区分けがなされているが、今度は議員一人当たりの有権者数に差が出てくる。同じ当選でも、有権者の一票の大きさは割合的に地方のほうが大きい。これが、一票の格差。有権者が少ない程一票の重みは大きくなり、有権者が多い程一票の重みは小さくなる。しかし、一票の格差を無くそうと都市部の選挙区を増やせば、地方がお座なりになる。だからと言って、大幅な格差是正をさぼっているとは情けない。
米国上院の合理的な定数
ちなみに、米国上議員の定数は各州2名で、任期6年、2年毎に3分の1改選。改選しない州が毎回出るが、各州2名と固定しているため問題無いという。日本の参議院も都道府県各2名の計94名なら違憲訴訟不能になるのではないか。
日本の国会議員は自分のイスに縛りつくばかり。日本の政治家の大半が〝政治屋〟だから無理からぬことなのだろうか。
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