本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(82)
- 2015年 3月 23日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
秒読みを始めた金融時限爆弾
最近、海外では、きわめて衝撃的な言葉が使われ始めたが、具体的には、「2015年が審判の年になる」、あるいは、「西洋諸国の壮大な茶番劇が終焉の時を迎えている」というものである。つまり、異常なまでに大膨張した「マネー経済」に関する悲観的な意見のことだが、この点については、日本と海外とで、大きな認識の違いが存在するようだ。具体的に申し上げると、日本人は、「株価の上昇」に喜び、「アベノミクス」や「異次元の金融緩和」を高く評価しているようだが、海外の人々は、「金融時限爆弾が、秒読みを始めた可能性」を危惧しているようにも思われるのである。
つまり、今後は、「ギリシャ問題」や、あるいは、「ウクライナ情勢」などをキッカケにして、本当の「金融大混乱」が起きることを予想しているようだが、この点については、「歴史認識」や「金融に対する理解度」の違いを考える必要性があるようだ。具体的には、平和に慣れきった日本人にとっては、海外の人々が経験した「国家が消滅する事実」や、あるいは、「金(ゴールド)を抱えて、国境を越えた体験」が存在しないようにも思われるのである。
そのために、「どれだけ国家債務が増えようとも、日本がハイパーインフレになることは無い」と考える人が、いまだに、多数を占める状況のようだが、このことも、「日本人の性質」を考える上で、大きな意味を持っているものと考えている。つまり、「実際の大事件や大転換を経験しない限り、今までの考えや常識を改めることができない」という、一種の「慣性の法則」のようなものが、日本人には存在するのである。
しかし、不思議な点としては、「どのような事件でも、起きた後は、素直に受け止める」という性質も持ち合わせているようだが、このことは、「3・11の大震災」、そして、「福島の原発事故」以降の日本人の態度からも明らかなようである。つまり、古来、大震災などの天災に晒され続けた国民であり、その結果として、多少の事件には、驚かなくなっている可能性もあるようだが、実際には、農耕民族の特質とも言える「明日は今日の連続であり、それほど大きな変化が起きることはない」と多寡を括っている可能性も存在するのである。
このように、表面的には相反した性質を持ち合わせているようだが、この点については、間もなく、結果が明らかになるものと考えている。つまり、現代人が、命よりも大切だと考えがちな「現代のお金」に、大事件が起きる可能性が高まっているからである。(2015.2.25)
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黒田総裁のオフレコ発
国債のリスクに関して、黒田総裁による「オフレコ発言」が、市場の話題になっているが、マスコミの報道によると、「国債保有時のリスク計算が、現在のゼロから、リスクアセットに変化する可能性が存在する」とのことである。つまり、現在の「金融機関の自己資本比率」において、「国際業務」については「8%の自己資本」、また、「国内業務」については「4%の自己資本」が必要とされており、この「自己資本比率」の計算時に、「国債がリスクアセットとみなされるか否か?」が問題になっているのである。
そして、かりに、「国債がリスクアセットである」と判断された時には、当然のことながら、「国債などのリスクアセット」に関して保有残高を減らすか、あるいは、自己資本の増強を図る必要性が出てくることになる。しかし、今までの推移から考えると、「国債の保有残高を減らす」ということが、最も妥当な未来像とも言え、その時には、「国債価格の暴落」が起きることも予想されるのである。
つまり、昨年の「消費増税の先送り」と「選挙」に関して、財務省は反対の立場を取っていたようだが、安倍首相は、財務省の意見を聞かずに、選挙を断行したようにも思われるのである。そのために、日銀の黒田総裁としては、安倍首相から、若干、距離を置き始めた可能性もあるようだが、この時に問題となるのが、「国家の債務問題」であり、また、「国債の買い支え」とも言えるのである。
具体的には、「国債価格」の下落により、「中央銀行」のみならず、「金融システム」までをも危うくするほどの投資が行われているのだが、この時に気にかかる点は、「暦のフラクタル(相似形)」である。具体的には、「2015年2月」が「戊寅(つちのえ とら)」であり、「1998年」と同じ暦になるのだが、今回は、「ギリシャ危機」が、「LTCM事件」に匹敵するような問題だったようである。
具体的には、「日銀トレード」という、「日銀が買ってくれるから、どのような値段で買っても損はしない」というような「民間銀行による、バブル的な行動」に関して、大きなブレーキが掛かり始めるとともに、今後の「国債入札」に関しても、さまざまな問題が噴出し始める可能性が存在するのである。つまり、前代未聞の規模で発生した、現在の「世界的な国債バブル」において、今までの「上昇エネルギー」が、逆回転を始める可能性のことだが、その時には、世界の「金融システム」を崩壊させるほどの影響力が存在し、実際には、このことが「金融の大地震」でもあるようだ。(2015.2.25)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion5254:150323〕
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