テント日誌12月5日…第二テントに描かれた絵を観に来てください
- 2015年 12月 7日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
経産省前テントひろば1547日
第二テントに描かれた絵を観に来てください。素晴らしいですよ
経産省の正門前から本館を見上げると、まだ全館に灯が燈っている。今日は金曜日だから遅くまで灯は消えないのだろうと想像する。もっとも、今日というのは12月4日金曜日のことで、あっという間に暗くなってしまった夕方のことである。毎週金曜日の抗議行動である。今週は官邸前抗議行動がお休みだったせいか、人は少な目だが、そででも各スピーカーが経産省の現状について批判を浴びせていた。それは批判と同時にお願いでもあるのだが、どこまで声は届いているのだろうか。あるいは心して聴こうとした人はいるのだろうか。そんな思いを抱いて左手の方を見ればそこにはテントが夕闇から浮かんでみえる。経産省本館の建物から見れば、掘っ建て小屋のように見えるテントは対照的な存在だが、堂々と対峙している。その内部は経産省の貧しさに比して豊かだ。
テントでは12月5日(土曜日)の今日、反原発美術が開設された。朝から、テントに直接絵を書く作業が進められ、多くの人がそれを見守りにきた。テントに描かれる作品ができあがった夕方からはこの企画のコーディネーターで映画監督の早川由美子さんとライブ・ペンテイングをした井上ヤスミチさんと長谷川直美さんのトークもあった。長谷川さんのアポリジニ―に伝わる「大地の毒に触れるな」というメッセージは原発問題の本質をついているし、命の声からの警告でもある。井上さんは「震える島で、考える」と題された作品を寄せられたのだが、これらは原発問題への鋭い反応にほかならない。原発事故がもたらしたもの、それは現在も続いていることだが、それはまだ言葉にならない多くの事柄としてある。それは僕らが対象化しようにもしきれない、経験として抽出しきれきれないものであり、事故の終息も見通せない事態としてある。僕らはそれを考え、それを対象化することを迫られているのである。これは原発事故が誰にとってもやらなければならないこととして迫っていることだ。だから、原発再稼働や存続は仮に権力側から出てくるにしても、そのことを前提に踏まえてしかありえない。経産省の再稼働決定―原発存続という方針はその作業を経ていないものであり、まだ、福島原発事故の検証を終えないでの暴走であり、権力の独断的行為である。原発事故をローカルな小さなものに見せかけ、やがて時が忘れるだろうという傲慢で度し難い所業である。
遅くまで灯のともる建物の中で官僚たちは「俺たちの決めることは天の声だ」という迷妄によってことを進めている。官僚たちが、権力の場所にあるというだけでことを進めている独断的で専制的なことだ。かつて官僚たちがあの戦争を進め、敗戦に導いたことと少しも変わらない。
上から見下されたようにあるテントでは原発事故について、そして原発の存続について彼らとは違ってその検討を進めている。それはいろいろの領域での反応や声を表現し、結集することをやっているのだ。テントはそのひろばである。そしてそのことで、経産省の独断的で、権力的な原発推進に対峙しているのだ。これは公的な事業として原発再稼働や原発存続を進める経産省に対して異議申し立てをし、真の公的なものとしての原発の方向を模索し提示しているのだ。テントは存在自体がその表現であるが、それは総合的である。あらゆる領域から原発問題への反応と声を集めているのだし、反原発美術館開設もその一つだ。国民の声を無視し、ことを進める官僚たちの貧しい行為を糾弾しているのだが、こちらにはアーティストの苦悩と心からの叫びがある。テントは掘っ建て小屋のように見えても、テントの描かれた絵は原発問題への深い考えを提示している。そこにあるものは豊かであるし、深いものだ。官僚や権力の貧しさとは対照的なものだ。僕はテントに描かれて絵が多くの人に何事かを伝えるだろうと思うが、この絵を見にテントに足を運んでもらいたいと思う。(三上治)
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テントからの案内
◎12月10日(木)福島原発告訴団『東京第一検察審査会激励行動』
12:00~13:00 検察激励行動 東京地裁前
◎2015年度第7回「集い」のご案内
原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!
「世界一きびしい規制基準」(安倍内閣)ってな~に?
日 時:12月12日(土)13:30~16:30
お 話:木村雅英さん(再稼働阻止全国ネットワーク)
場 所:市川市文化会館第5会議室 *JR本八幡駅南口下車徒歩約10分
主 催:戦争はいやだ!市川市民の会
連絡先:菊池嘉久(090・6948・8998)
資料代:500円
◎12/12寺尾紗穂トーク&ライブ 『原発労働者』を語る
開催日間近!まだ席に余裕があります
ご予約はこちら info@hibakurodo.net
日 時:12月12日(土)14時~
場 所:早稲田奉仕園リバティホール(早稲田駅)
地図:http://www.hoshien.or.jp/map/index.html
歌とお話:寺尾紗穂 → http://www.sahoterao.com/
ゲスト:元原発労働者(田中哲明、大川一男)
主 催:被ばく労働を考えるネットワーク
要予約(先着80名)問い合わせ:info@hibakurodo.net
参加費:1000円
寺尾沙穂ピアノ弾き語りと、彼女の著書『原発労働者』に登場する
元原発労働者お2人を交えてのトークという見逃せないイベントです。
「ゼロから原発を考え直すために、ひとりの音楽家が全国の原発労働者を
訪ね歩き、小さな声を聴きとった!」
◎12/13講演会のお知らせ おしどりマコ&ケンさんを迎えて
<福島原発事故から5年>を前に (O・E)
日時:2015年12月13日(日)午後2時~5時(午後1時半開場)
会場:東京農工大学 府中キャンパス(農学部)第1講義棟16号教室
主催者:文明フォーラム@北多摩
内容:私たちは2014年12月に発足した市民団体で今回3回目の講演会を企画しました。
5年前の福島原発事故を契機に、文明の転換が迫られている時代として現代を認識したうえで、広く市民と科学者が集い、新しい文明のあり方について議論をする場を目指しています。マコ&ケンさんに、原発事故以来の5年間の活動を振り返って問題提起して頂き、ともに議論を深めたいと思います。
入場料:一般800円、フォーラム会員500円、学生500円18歳以下は無料 申込みは不要ですが、会場の都合により先着100名に限らせて頂きます。
連絡先:東京農工大学・農学部環境哲学(澤)研究室 tel:042-367-5586
経産省前テントひろば・反原発美術館
Occupy Kasumigaseki Anti-nuclear Tent Museum
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「経産省前テントひろば・反原発美術館」がオープンしました!
2011年9月11日、東京・霞が関のど真ん中、経済産業省管理のポケット・パーク内に建てられた「経産省前テントひろば」。4年以上の間、テントは脱原発を求める市民たちの声を代弁し、集会・コンサートやイベントなど、交流の場として親しまれてきました。
2013年3月、テントは経産省から立ち退きを求めて訴訟を起こされ、2015年10月、高裁で「控訴棄却」の判決が出ました。現在、テントは最高裁に上告中ですが、高裁での判決をもとにいつでも強制撤去されうる状況です。
そこで、脱原発を願い、原発再稼働・原発輸出を止めたいと願う市民たちの声を、今まで以上にアピールするために、テントのうちの丸ごと1棟(「原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに」通称:第二テント)を、美術館としてオープンすることになりました!
脱原発のメッセージを社会に発し続けてきたアーティストの方々の作品が、テントに直接描かれ、または大胆に飾られ、さらに強力な反原発のメッセージとなって放たれます。この美術館は、テントが国家権力によって破壊される最期の瞬間まで存続し続けます。皆様のご来場を心よりお待ちしております!
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2015年12月
原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに
イベント予定
(いずれも会場は反原発美術館テント内
2: 12月12日(土)18:00~
映画『ブライアンと仲間たち』上映
上映後、イギリスの国会前で座り込みの反戦運動を続ける人々とテントをスカイプでつなぎ、ディスカッションを行います(通訳あり)。
3: 12月19日(土)13:00~
A3BC:反戦・反核・版画コレクティブによる版画ワークショップ
(1955年12月19日=原子力基本法公布の日)
4: 2016年3月12日(土)13:00~
A3BC:反戦・反核・版画コレクティブによる版画ワークショップ
(2011年3月12日=福島第一原子力発電所の1号機爆発の日)
5: :2016年8月6日(土)13:00~
A3BC:反戦・反核・版画コレクティブによる版画ワークショップ
(1945年8月6日=殺戮目的で初めて原子爆弾が投下された日)
※いずれのイベントも入場無料・予約不要。テント内で開催のため雨天決行。
※予定されているイベント日より前にテントが強制撤去された場合、撤去日以降のイベントはテント内では開催できません。その場合は美術館のFacebook特設ページ及びTwitterでご案内いたします。
※Facebook特設ページは公開ページなので、Facebookに登録されていない方でもご覧いただけます。
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経産省前テントひろば 反原発美術館
年中無休・入場無料
開館時間:12:00~20:00
※イベント開催時は、開館時間が異なる場合があります。
※原則無休ですがメンテナンス等の事情により休館している場合もあります。
美術館所在地:東京都千代田区霞が関1-3-1
最寄駅:東京メトロ「霞が関」駅A12a出口、銀座線「虎ノ門」駅7番出口
主催:原発いらない女たちのテントひろば~福島とともに
コーディネーター:早川由美子(映画監督)
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