本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(141)
- 2016年 12月 2日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
実物商品と金融商品
「イエレンFRB議長」が提起したように、現在の経済学には、いろいろな問題点が存在するが、特に、私が注目している点は、「お金」と「商品」との関係性であり、また、それぞれの変化である。具体的には、時代とともに、「お金」と「商品」が、価値と形態を変えている状況のことだが、既存の経済理論では、この点が、ほとんど無視された状況となっているのである。
その結果として、本当の意味での「インフレ(通貨価値の下落)」や「デフレ(通貨価値の上昇)」が理解されていない状況でもあるようだが、基本的には、「貨幣の総量」と「商品の総量」との関係性により、「通貨の価値」が決定されるのである。つまり、「商品の量」よりも、「貨幣の量」が多い場合には、「通貨価値の下落」という「インフレ」となり、また、反対の場合には、「デフレ」が発生する状況のことである。
しかし、現在の問題点は、「商品」に関して、「実物商品」の他に、「金融商品」が大量に生み出されたことにあるが、この点が、既存の「経済理論」で無視されているために、現在の統計数字では、「表面上のデフレ状態」となっているのである。別の言葉では、過去数十年間において、「デリバティブ(金融派生商品)」を中心にして、大量の金融商品が創られたのだが、この「金融商品」には、「貨幣」と「商品」との両方の性格が存在し、「インフレ」を判断する場合には、この点も考慮する必要性が存在するのである。
しかも、この時に発生した現象として、「コンピューターマネー」という「単なる数字」が、「コンピューターネットワーク」の中で大膨張した点が指摘できるが、現在では、「貨幣」と「商品」との両方が、「仮想現実」とも言える状態になっているのである。別の言葉では、「国家」や「通貨」への信頼感が存在する限り、「単なる数字」でも購買力を持ち、実物商品との交換が可能なのだが、いったん、「信用の喪失」が始まると、「膨大な資金が、金融商品から、実物商品に流れ出す状況」も想定されるのである。
具体的には、「金融商品」の二面性とも言える「貨幣」と「商品」の関係において、「商品」の価値が激減した時に、「貨幣」の側面だけが強調される状況のことだが、実際には、「コンピューターマネー」が「紙幣」に交換される状況が想定されるのである。つまり、「金融商品」の価格下落により発生した「不良債権」を埋めるため、「大量の紙幣」が増刷され、また、その「紙幣」が、「実物商品の価格」を押し上げる状況のことだが、実際には、このことが、本当の「インフレ」を意味しているのである。(2016.11.4)
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変化への対応
真偽の程は定かではないようだが、「ダーウィンの名言」として伝えられているのが、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」という言葉である。つまり、「変化の時代」には「変化への対応」が重要である点を強調しているのだが、現時点での感想としては、より具体的な解釈が必要なようにも感じている。
つまり、「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」と「平家物語」で語られているように、「世の中は、常に、諸行無常である」とも言えるようだが、実際には、「世の中は、常に変化し続けている」、そのために、「変化に対応するためには、変化の法則を知るべきだ」という点が、最も重要なこととも考えられるのである。より具体的には、「時代とともに、人々の興味と関心が移ろいで行き、結果として、大きな流れからみると、想像もつかないような変化が訪れる状況」のことだが、実際に、今から「150年ほど前」の日本では、「侍が丁髷を結い、刀を差していた時代」だったことも理解できるのである。
別の言葉では、安定した「平和の時代」が長く続き、結果として、ある一定の「社会体制」が確立された時に、突如として、「体制の崩壊」が起き、大きな変化が訪れるという状況でもあったようだ。そして、この時には、「変化に対応できたものが生き残った」ということにも間違いはないようだが、この時の注目点は、「混乱期は、往々にして、短期間で終了する」という点でもあるようだ。
そして、「安定期には、安定期の生き方があり、また、変動期にも、それなりの生き方がある」ということが「歴史の真実」のようにも思われるが、やはり、どの時代においても必要な点は、前述のとおりに、「変化の法則」を知ることでもあるようだ。具体的には、「文明法則史学」や「四柱推命」などを理解することにより、「現在が、どのような時代なのか?」を理解し、また、「経済学」を活用することにより、「世の中は、いったい、どのような状態になっているのか?」を考えることである。
また、この観点からは、確かに、「現在は、未曽有の規模での大変動期に遭遇している状況」とも言えるようだが、興味深い点は、「変動期はピンチであるとともに、大きなチャンスの時期である」ということである。つまり、「変化の法則」に沿って行動すれば、何も怖いものはなく、反対に、大きな「夢」や「希望」が生まれるようだが、残念ながら、現在の世界では、単に、「恐怖心」だけが支配している状況とも考えられるようである。(2016.11.5)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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