「瑞穂の國記念小學院」の敷地取得価格の怪(続)
- 2017年 2月 19日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
始めに、前稿「『瑞穂の國記念小學院』の敷地取得価格の怪」中で、不動産登記に関わり不正確な記述がありましたので訂正し御詫び致します。
それは、「勿論、不動産登記簿には、登記事項ですので必ず登載されています。」と簡易に書いた点です。 正確には、権利の移転に関わる原因は必ず記載される、と言う点であり、「売買」等の登記の事由です。
売価までは詳細に載りませんが、権利登記の原因を調査することに依って、売価を推量することが可能な場合もある、と言うのが事実です。
当該の「売買」では、「買戻し特約」と呼ばれる契約が付随していましたので、買戻しの際の特約条項である買戻し価が、売買の際の価格であろうと合理的に推量される訳です。
学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か 吉村治彦、飯島健太 2017年2月9日05時03分 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASK264H4YK26PPTB00J.html?ref=tw_asahi_tokyo
次に本題ですが、本件では、路線価に基づく価格、近隣の売買価格、等に比肩して著しく売買価格が低廉である事実に疑惑が収斂しています。 そして、その原因が当該地の地下埋設物の処理費にある、と当局の答弁にはあります。
自分の環境関連の実務経験に基づきまして、(一般的には)この国では、地下に一般公衆が知ることの無い一般廃棄物、更には、産業廃棄物が、関係当局の認知の有無に関わらずに実在することは、ある、とは言えるでしょう。
そして、土木・建築業者ならずとも、その事実を発見すれば対応に苦慮することがあるのも事実です。
例え、その処理に煩瑣な手続の要らない一般廃棄物であったとしても、大量の不法投棄があり、開発、建築、等の際に発見されれば、可成りの経費が嵩むのも事実です。
これ等の中で、一定要件に当たる用地は、大阪府下で政令指定都市、中核市を除く自治体については、大阪府で、その他の用地は、当該自治体で調査可能です。
(例 大阪府の場合)
廃棄物が地下にある土地の指定について
http://www.pref.osaka.lg.jp/sangyohaiki/sanpai/haikibutumaisetubutu.html
未だ、この点については報道されませんので、推理する他は無いのですが、仮に豊中市当局が認知していない当該地における埋設廃棄物が実在したと仮定して、その処理経費を売買価格から差し引くのは、売買契約の当事者として誠意のある対応であり責められることは無いでしょう。
但し、当該埋設廃棄物等の処理経費を証明出来得ることが必要です。
更に、豊中市が把握していない地下埋設廃棄物が産業廃棄物に該当する場合は、関連法令に基づいてその処理が適正に為されたかどうかが問われる処でしょう。 当該地に学校が立地する処から、適正に処理が為されたかどうかは、豊中市の環境関連部局へ報告する必要もあるでしょう。
その責は、瑞穂の國記念小學院に在ります。
売買契約当事者に、関係事実を立証し国民の資産を安価に売り払った事由を疎明する責めがあるのも当然です。
この事件では、残念ながら地方自治法では認められる住民監査請求が出来ません。 国の事務であるからですが、但し、国会から会計検査院に対する監査請求が可能です。
(関連法令)
会計検査院法(昭和22年法律第73号)
第30条の3 会計検査院は、各議院又は各議員の委員会若しくは参議院の調査会から国会法(昭和22年法律第79号)第105条による要請があったときは、当該要請に係る特定の事項について検査を実施してその検査の結果を報告することができる。
その実例は、多数あります。
国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請) 会計検査院
http://report.jbaudit.go.jp/org/yousei-mokuji.htm
如何なる事由であろうとも、国民の資産を適正価格で無く恣意的に安価に売買することは許すことは出来ません。 この問題は、今後とも追及したいと思います。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6517:170219〕
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