破れ鍋に綴じ蓋
- 2018年 5月 22日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
昨年来のこの国を揺るがすモリもカケも、中央省庁キャリア組の官僚がアベ政権、就中、首相に「忖度」したのではないか、とは多くの方々が言われる処です。
しかし「忖度」してまかり間違えば自身に違法行為の謗りを受ける恐れのある行いをキャリア組の官僚がするでしょうか。 私には、想像も出来ません。
私には、官僚と保守政治家とが同等の価値観を有し、両者の利害が一致した、と捉えるのが良いように思えます。 何故なら、両者の政治意識と価値観は同等と思えるからです。
実際にも、極一時期を除き、この国では、保守政党が政権についています。 そして、本来、官僚は保守的なのです。 尤も地方では、一時、革新自治体が相当数出来て、中央省庁との確執もありました。 しかし、今日では、国と自治体ともに職員労働組合が少数派になり、革新自治体と呼ばれる処も無くなりました。
一般世間でも同様です。 中身に異論もあるのですが、「保守化」が著しい、と言えるでしょう。
今回の事件は、そうした世上の中で生じた事件です。 同等の価値観を有する者同士が利害を計算し取引をした、と捉えるのが良いようです。
その観点に立った見方の例証の一つがあります。 国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ「すくらむ」がアベ政権と中央省庁、中でも、経産省キャリア組の官僚との腐れ縁を鋭く指摘されているのです。
(以下引用)
第2次安倍内閣になって経済産業省は官邸を牛耳り、官邸主導による産業競争力会議や規制改革会議などを通じて自分たちのやりたい施策(社会保障費の削減、年金積立金を使っての株価操作、労働者保護の破壊、国家戦略特区による規制緩和等)を進めてきました。
前から経済産業省は他省庁の縄張りにまで口を出すので霞が関の嫌われ者でしたが、官邸を牛耳ることによって大手を振って他省庁の庭先に入り込むことができました。
その結果、今は経済産業省に対する他省庁の恨みつらみは頂点に達しているのではないかと思います。
もし、安倍内閣が倒れたら、経済産業省に対するさまざまな攻撃が始まるのではないかと戦々恐々の日々を過ごしていて、そのため、恥も外聞もなく安倍首相を支えるのに必死なのではないでしょうか。
以上出典:柳瀬元首相秘書官の大ウソ=安倍首相に報告しない・首相から指示ない・メモ取らない・名刺交換しない (すくらむ 2018-05-11)
https://ameblo.jp/kokkoippan/entry-12375150336.html
世の流れの時々で陽のあたる省庁には栄華盛衰があるのでしょう。 例えば、日本列島改造論が持て囃された時代には、当の書物自身をも著した処の角栄氏の陰で全総(全国総合開発計画)に踊るこの国の舵取りに必死の旧建設省キャリア組が居たのでした。
と言えば、信濃川河川敷払い下げ問題と似た様相もあるのですが、若い世代には当時の知識も無いのでしょうし、対比する意味も無いのかも知れません。 ただ、昔から、この国の保守政治家とキャリア組官僚との間には、共通の接点があるようです。
財務省の官僚とアベ・アソウ氏との関係も、同様のようです。 アソウ氏がセクハラ官僚をあそこまで庇うのが何故なのか、と不思議でしたが、やはり、共通の接点がある、と思わざるを得ないのです。
更に、重大な事態にあるのが、自衛隊に関わるものです。 現職自衛官の国会議員に対する暴言問題でその深層にある深刻な事態が明らかになっているのが上記と同様の関係なのです。
17万人の現役自衛隊員が所属する「隊友会」が日本会議と連携し、改憲署名運動を推進していたことが判明 (BUZZUP! 2018年5月7日)
https://buzzap.jp/news/20180507-jsdf-kaiken/
どうやら、世上は、戦前回帰の方向のようですが、二・二六事件のような自衛隊の一部隊員に依る蜂起はあるのでしょうか。
私の尊敬するマハトマ・ガンジーには、次のような言葉があります。
「もし我々が進歩を望むなら、歴史を反復してはならない。むしろ新しい歴史を作らなければならない。」 悲劇でも喜劇でも、歴史は繰り返してはならないのです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7666:180522〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。